侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜




「フィン!起きてるかー!」

「……起きてるよ。 おはよう。ウィル、ガレス」

「おぅ!おはよう!」

「おはよう、フィン」

……使用人に、起こしてもらえるように頼んでおいて良かった。

「……とりあえず、顔を洗って髭剃りを試そうか」

俺たちは部屋の奥にある洗面台の前へ移動した。


「まずは、俺がやって見せる」

俺はそう言うと、髭剃り型魔導具を起動させ、薄っすら生えている毛をゆっくり剃っていった。

「おぉ! 思っていたより、簡単そうだな」

「確かにこれなら、侍従に剃ってもらわなくても、自分で整えられそうだね」

「それに、早いな!」

「そうだね。 フィンが髭剃り型魔導具を作りたくなったのも分かる」


……よし。こんなものかな。

「……こんな感じで使うんだけど、今のところ切り傷も出来なくて、いい感じだと思うんだよね。使ったあとは、ヘッド部分を外して水洗いするんだけど……。あ……」

「どうした?」

「これは、使ったあとヘッド部分を外して、水洗いするんだけど……どうせなら、洗浄機能も付けた方が良かったなって思って」

「なるほど。 その方が、より自分で使いやすいかもしれないね」

「確かに! 手入れが簡単な方が俺もいいな!」

「じゃあ、次の試作には洗浄機能を付けるよ。 とりあえず、剃り心地を試してもらっていい?」

「よし!俺からやる!」

ガレスはそう言うと、髭剃り型魔導具を起動させ、剃り始めた。

「おぉ! このヘッド部分? こんなに動くんだな。すごく顔に沿ってくれるから、剃りやすい。しかも剃ったあと、チクチクもしてない! ここまで剃るとなると、普段だったら小さな切り傷が出来てしまうのに、全くない。いいな、これ!」

「次は私だね。 ……本当だ。スムーズに動くんだね。 それに、痛くないと言うか……」

「保護板に、水属性をクッションとして組み込んだんだ。圧が分散されるから、痛くなりにくい」

「なるほど。 刃が見えていないのに、剃れるのが不思議だったが、そういう仕組みだったんだね 」

「うん。前世でもこんな感じで、安全対策してあったんだ」

「そうなのか」

とりあえず、剃り心地は問題なさそうだな。

「他に何か気になったことはない?」

「そうだなぁ。 俺はもう少し持ち手部分が太めでもいいかも」

「あぁ――……ガレスは手が大きいからなぁ。ウィルはどうだ?」

「そうだね……もう少し太くてもいいかもしれない。これは柔軟樹脂だよね?これが巻かれているから、少し太めでも持ちやすいと思う」

「なるほど」

……俺の手は小さめなのかも。

「柔軟樹脂ってよく分かったな! 俺、全然分からなかった」

「学園時代、フィンが魔導具研究会にこもっていただろう?その時に、私もよく行っていたからな」

「ウィルは逃げてきてただけだろ」

「あぁ!ウィルは令嬢たちから上手く逃げてたもんな!」

「私も少しだが、作ったりもしていたよ」

「え、そうなのか?」

「あぁ。ガレスは魔導具研究会の方に、来ることがなかったから知らなかったか。 下手なりに楽しかったよ」

「へぇ。 俺も誘ってくれたら良かったのに」

「……ガレスはマティアスに、補習つけてもらったりしてただろ」

「……確かに」

本当は出来るやつなのに、やる気がないと言うか、勉強を後回しにすると言うか……。まぁ、俺も人の事、言えないけど。

「……あ! この髭剃りの魔導具って、子供でも使えるよな?」

「子供? まぁ、使えると思うけど……」

「従兄弟が肌が弱いみたいで、髭剃りに苦労してるって言ってたんだよ。思春期に入ったから、余計に気になるんだろうな」

「……なるほど。 大丈夫だとは思うけど、もう少し改良しても良いかも知れない」

「それなら、女性にもいいかもしれないね」

「……女性も髭剃りするのか?」

……いや、前世でも化粧のノリを良くするためとかで、顔剃りをするって聞いたことがあるな。

「顔ではなく、腕とか脇だよ。一部の貴族女性の間では、ドレスを着る際に整えているらしい。従来の剃刀より、魔導具の方が安全なら、女性も使いやすいんじゃないかなって」

「……そうなると、持ち手部分は男性用と女性用で、太さを変えるのもいいな」

……とりあえず、これはアレク叔父さんに相談だな。