侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜




……おぉ!
髪が真っ直ぐになった!

チリチリにもなってないし、蒸気のおかげか、髪がしっとりしてツヤも出てる。
やっぱりサイズ違いを作って良かったかもな。
俺の髪だと、細い方が使いやすい。

これを応用すれば、コテ……だったか。
カールアイロンも作れそうだ。

何度か髪に通しているうちに、天使の輪っかが出来た。
……すごいな、これ。

ヘアアイロンはこんな効果があったのか。……水属性を組み込んで正解だったな。
これなら母さんも喜んでくれそうだ。


魔導時計を見ると、そろそろ昼食の時間だったから、食堂に向かった。


「……フィン兄様!髪の毛が!」

食堂に着くとティアナがすでにいた。
俺の髪を見るなり、驚いたように目を見開いている。

「あぁ。昨日言っていた魔導具が出来たんだ。試しに使ってみたら、髪がサラサラになった。あとでティアナも試してみくれ。チリチリにはならないはずだ」

「……ツヤが。私の髪にも、ツヤが……?早く試してみたいわ」

そんなことを話していると、父さんと母さん、じぃちゃんとばぁちゃんが食堂に集まってきた。

「お祖母様、お母様!フィン兄様の髪を見てください!新しい魔導具で試したそうです」

「……まぁ!すごく綺麗にまとまっているわね!」

「本当に!ツヤもしっかり出ていて、綺麗な髪ね」

「水属性を組み込んで、髪を傷めないようにしてみたんだ。使い心地を知りたいから、あとでばぁちゃんと母さんも使ってみてよ」

「楽しみだわ」

ばあちゃんも母さんもティアナも、嬉しそうに笑っている。

「……ほぉ。魔導具が出来たのか」

「うん。乾風《ブロア》の応用と、水属性を組み込んだんだけど、それが良かったみたいで、髪にツヤが出た」

「これはアレクシスが喜ぶだろうな」

「え?アレク叔父さんが?」

「私から見ても、髪が綺麗になったのが分かる。これを欲しいと思う女性は多いだろう。アレクシスは商機に敏感だからな」

そう言いながら、じいちゃんは笑った。

「あぁ、そっちか」

アレク叔父さんが、髪を気にしているのかと思った。

母さんたちの反応を見てから、アレク叔父さんに仕様書を持って行こうかな。

「明日、リリエン商会に顔を出すつもりなんだが、フィンも一緒に行くか?」

「……あぁ。……じゃあ、行こうかな」

早めに仕様書を丁寧に書き直そう。

「じぃちゃんは職人のほうに回るの?」

「……状況次第では、手伝うかもしれん。フィンもどうだ?」

「俺はいいよ。他にも作りたい魔導具あるし」

「相変わらずだな」


和やかに昼食を終え、食後のお茶もそこそこに、俺たちは応接室へ移動した。
どうやら、みんな早くヘアアイロンを試したいらしい。

ノアに作業部屋からヘアアイロンを取ってきてもらった。

侍女に使い方を説明し、まずは、ばぁちゃんから試していく。

最初は蒸気にびっくりしていたばぁちゃんだが、次第に笑顔になっていった。

「.....まぁ」

仕上がった髪を鏡で見たばあちゃんが、目を丸くした。

「まぁ!お義母様、髪にツヤが出て、とっても素敵です」

「お祖母様、とっても若々しいです!すごい!」

「……こんなにも変わるのね。とっても気に入ったわ。次はイレーネさん、試してご覧なさい」

母さんの髪も、ティアナの髪も艶やかにまとまり、すごく喜んでもらえた。

「使い心地はどうだった?」

俺は侍女に使用感を尋ねた。

「皆様、毛量がしっかりありますので、太い方がしっかり髪を挟めて使いやすかったです。前髪など、細かくセットしたい時は、細い方が使いやすいかと」

「なるほど。持った感じの重さとかも大丈夫そう?熱かったりしなかった?」

「はい。重さも問題ありませんでした。ただ……不意に側面に手が当たってしまいまして……少し熱かったです」

俺は慌てて侍女の手を確認した。

「ちょっと赤くなってる!早く冷やしてきて!」

侍女は慌てて部屋を出ていった。

「なんだ?火傷をしたのか?」

「……うん。側面に触れたみたい。もう少し安全面を考慮した方が良さそう」

「そうだな。女性が使うことが多いと考えると、火傷はして欲しくないからな」

「うん」