侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜



昼食の時間になり、食堂へ向かった。

「あれ?母さんだけ?」

「えぇ。ティアナはセレスティア様、アリシア様と出かけているわ」

「そうなんだ」

「それはそうと、フィン。ウィルフリード殿下からお手紙が届いたのでしょう?またお返事を後回しにしているのではないでしょうね?」

「……食後に書く予定だったよ」

「本当かしら……。王妃様主催のお茶会の件でお手紙を頂いたの?」

「あっ、それはマティアスからの手紙に書いてた。そういえば、ティアナもお茶会に参加するの?ウィルフリード殿下の婚約者候補としては、年齢的にもおかしくないし」

「いいえ。今回のお茶会の出席者は十八歳以上になっているはずよ」

「へぇー、そうなんだ」

まぁ、ウィルフリード殿下って、年下が好みではなさそうだもんなぁ。……たぶん。

「フィンもしっかりアピールしてくるのよ?」

「……え?」

「あなたも相手を探し始めるべきでしょう?」

「いや、俺より先に兄さんたちでしょ……。エミール兄さんはともかく、フィリップ兄さんに言った方がいいんじゃない?」

「あの子は……同じ魔導師団の方か、理解ある方でないと難しいでしょうね」

……それは同意。
魔法のことになると、俺より引きこもりになるもんなぁ。

「息子ながら顔はいいのに……はぁ。もったいないわ……」

「フィリップ兄さんの場合、綺麗すぎて一歩引かれてる可能性もあるよね。中身を知ればそんなことないんだけど」

あっ、魔法に夢中なところを知って、一歩引かれてる可能性もあるのか!
……どっちにしろ一歩引かれてることに違いはないか。

「それで、ウィルフリード殿下からはどういった内容のお手紙だったの?」

「あっ、そう!それ!なんか、もう食事処の話が陛下に伝わってるみたいなんだよ。それで、食事処の近くに俺に屋敷をって話と、男爵位をって話が出てるらしくて、それを先に知らせてくれたんだ」

「まぁ、そうだったの。……そのお話は断れないということは理解しているわよね?」

「……やっぱりそうなんだ。でも、そうだとしても早くない?俺、エミール兄さんが結婚するまで、この屋敷にいるつもりだったんだけど」

「ここにいたとしても、屋敷を準備するのに時間もかかるから、早々に話を進められているのでしょうね」

「……確かに」

俺も食事処が開店するのは春頃になるし、屋敷を準備するのにも数ヶ月はかかるか……。

「……まさか、授爵式とかないよね?」

「そうね……あなたの立場を公にするかどうかで、授爵式をするかどうかも変わってくるでしょうし……。今のところは分からないわね」

「授爵するのは……まぁ、あきらめてるけど、授爵式は話が変わってくる……。めんどくさい……」

「どういう流れになってもいいように、覚悟だけはしておきなさい」

……なんか思ってた以上にめんどくさい流れになりそう?
忙しいのに勘弁して欲しい……。


食事を終え、作業部屋へ戻ってきた。

……とりあえずプレート部分でも作るか。

魔導陶板に魔力を纏わせて、形成していく。……あっ、焼肉なら溝があった方がいいのか?
……どうせなら二、三種類のプレートを作って付け替え可能にしてもいいな。

とりあえず平面のプレートと、焼肉用のプレート、あとは……少し深めのプレートでいいか。
炒め物とか、少し汁気のあるものにも使えるだろうし。

…………。

……焼肉用のプレートの溝、ちょっと深い気もするけど……まぁ、いいか。
平面のプレートと少し深めのプレートも、とりあえずこれでいいとして……。
この六枚のプレートに魔導回路か……。

火属性と風属性を組み込むことを考えて、魔導回路を描かないとな。

…………。

溝の部分が地味に描きづらい……。ペン先を細いのに変えるか。
……あっ、でもそうなると熱の伝わり方が……変わりそうな気が……。いや、あえてそれを利用してもいいのか?

そうすれば、肉を焼く時に綺麗な焼き目がつきそうだけど……?

まぁ、一旦それで進めてみるか。