んー……二階はまぁ、アレク叔父さんが言ってたみたいに、私室と工房みたいに使うのがいいか。
……この作業部屋の三倍以上の広さだったよなぁ。
あの広さがあれば素材を綺麗に収納できるだけじゃなくて、魔導具たちをお洒落にディスプレイ出来るぐらいの余裕が出来るな。……まぁ、お洒落にディスプレイ出来るようなセンスが、俺にはないけど。だから今も乱雑に置いてるようにしか見えないし……。やっぱり見せる収納は向いてないよな……。
窓は南向きだったから、明るい工房になるのは嬉しいポイントだ。窓際に作業スペースを作って……というか、作業テーブルと椅子、まだ買い替えてなくてよかったぁ!もったいないことをするところだった。
作業テーブルと椅子はやっぱり、今使ってるものと同じところで買う……いや、あの部屋に合わせてオーダーした方がいいな。
私室は……まぁ、なんでもいいか。
それにしてもまさか、本当に自分の工房を作ることになるとはなぁ……。食事処のついでだけど。
そういえば、裏庭みたいなスペースもついてたから、なにか試したくなった時にあのスペースも使えるってなると便利だな。
前に冷凍庫を魔導具化した際に、箱ごと凍らせたせいで、溶けるまで外に置いてたからなぁ。またあんなことがあったら、裏庭があると助かるし。……そんなことにならないように、作るつもりだけど。
……引っ越したとしたら、この作業部屋ってどうなるんだろ。そもそも、俺の部屋ごとなくなるんだろうか?
じぃちゃんとばぁちゃんが当主の座を父さんに譲って領地に引っ越した時は、二人が使っていた部屋を父さんと母さんが使うようになったけど。
あっ、エミール兄さんが結婚して子供が生まれたりすれば、この部屋を使うことになるのか。
もう少し丁寧に部屋を使うべきだったか……。いや、そうなった時には、それこそ改装したりするだろう。
コンコン――
「フィン様。ウィルフリード殿下とマティアス様からお手紙が届いております」
「えっ?マティアスから?珍しいな。なんだろ?」
ウィルフリード殿下も手紙?
まさか、また夜会に参加しろとか言うんじゃないだろうな……。
とりあえずマティアスから読むか。
「フィン。先日は、数日世話になって、とても楽しい休暇だった。
カードゲームやリバーシが販売されたら、私も買わせてもらうつもりだ。
また、みんなで集まれた時はゲームをしよう。
あと、あの話を父上から聞いた。
そのことを伝えておこうと思って、今、手紙を書いている。
フィンから聞いた時は本当にびっくりしたが、変わらず面白い奴には変わりないので、今まで通りのフィンでいてほしいものだな。
次に会うのは、王妃様主催のお茶会だろう。ちゃんと参加するように」
クローデン侯爵に聞いた報告の手紙か。律儀だな。
……というか、お茶会のこと忘れるところだった。そろそろ貴族たちは避暑から戻ってくる頃だろうから、お茶会ももうすぐってことか……。気が重い。
……ウィルフリード殿下の手紙はなんだろ?
「フィン。避暑では本当に世話になったな!みんな忙しいとは思うが、またあのような時間を過ごせたらと思う。
それで、さっそく本題だが。フィンが食事処を作るという話が進んでいると耳にした。それに関してはとても喜ばしいことだ!私自身楽しみにしている。
それでだ。本決まりではないが、その食事処の近くにフィンの屋敷を、という話が陛下から出ている。
男爵位を、という話もな。近々、フィンに連絡が行くと思うが、先に知らせておこうと思って手紙を書いた。
まぁ、前向きに捉えてくれたらと思う。
では、お茶会で会おう」
……やっぱりウィルフリード殿下の手紙は、ろくなことがない。
今頃、橋の調査をしている頃だと思ってたけど、なんで食事処のことを把握できてるんだ?
それにしても、食事処の話が、もうそんなに広がっているとは……。貴族の情報網はどうなってるんだろ……。
