侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜



「あっ、帰る前に商品名だけ考えて欲しいんだけど」

「いつも通り候補を出してくれたら、そこから選ぶよ」

「そうだね……標準型は……洗浄 《ウォッシュ》、洗衣 《ランドリー》、洗衣 《ウォルム》。高性能型が……浄乾 《ピュリファイ》、清衣 《クリーン》、浄衣 《ヴェルム》あたりはどうだろう」

「んー……じゃあ、標準型が洗衣 《ウォルム》で、高性能型が浄衣 《ヴェルム》かな。音が似てるし」

「よし、洗衣 《ウォルム》と浄衣 《ヴェルム》だな」

アレク叔父さんが書類に記入した。

「気になってる部分もあるから、今後改良もしていくと思う。まぁ、食事処で使う物の魔導具化が終わってからになると思うけど」

「……ん?食事処で使う魔導具を作るのかい?」

「うん。調理器具とか」

「……なるほど。それらも屋敷などで使える魔導具?」

「そうだね。元々、屋敷でパンケーキを作ってもらった時に、魔導具化したら便利だろうなぁって思ったのがきっかけだし」

「……そうか。それらも今後、販売しても?」

「うん。そのつもりだったけど?」

「……まだまだ忙しい日が続きそうだ」

アレク叔父さんが嬉しそうだけど、どこか遠い目をしているような……?

まぁ、いいか。

「じゃあ、俺、帰るね」

「あぁ。では二日後に」

俺はリリエン商会を後にし、屋敷に戻った。


「お帰りなさいませ、フィン様。夕食の準備が整っておりますが、そのまま食堂へ向かわれますか?」

「ただいま。そうだね、お腹空いたし食堂に行くよ」

食堂にはすでに父さんと母さん、ティアナがいた。

「あら、フィン。帰ってきたのね」

「うん。洗濯機型魔導具が出来たんだ」

「珍しく外出しても、フィン兄様がどこにいるのか分かりやすいわ。リリエン商会以外に行くところはないの?」

「いや、一応仕事で行ってたんだけど。あっ!茶葉を買って帰るの忘れてた……」

「茶葉?うちにもいろいろ揃ってるじゃない」

「いや、うちには無いやつだね。美味しいお茶の配合をリリエン工房の職人さんに教えてもらったから、帰りに買って帰ろうとしてたんだけど、アレク叔父さんと話してたらすっかり忘れてた」

「そんなに美味しいなら、私も飲んでみたいわ!」

「あぁ。茶葉の配合を使用人に教えておくから、飲んでみるといいよ。そういえば、ティアナは食堂《オールド・ハース》に行ったことあるよな?そこで出るお茶、覚えてるか?あれに似たお茶なんだけど」

「あぁ!あの店の!香ばしいお茶でしょ?美味しかったから覚えているわ。あれに近いものが飲めるのね。楽しみ!」

俺がじぃちゃんに連れて行ってもらうと、ティアナが羨ましがって、何度か一緒に行った。

「あの店は私も父上に教えてもらってから、たまに行っているな」

「父さんもじぃちゃんに教えてもらってたんだ?知らなかった。でもあの店で騎士を見かけたことがない気がする」

「騎士団であの店の話をしていないからな。だが、店でたまたま何人かに会ったことがあるぞ」

「そうなんだ」

俺が会ったことなかったのはたまたまか。

「どんなお店なのかしら?私も気になるわ」

「母さんは行ったことないんだ?あたたかい雰囲気の素敵な店だよ。煮込み肉が美味しい。でも侯爵夫人が行くような店ではないかも」

「では、イレーネ。次の休みにでも私と一緒に行くかい?」

「まあ!デートね!楽しみだわ!」

……仲が良くていいことだ。

俺はそんなことを考えながら、夕食を食べ終えた。


部屋に戻りソファに深く座った。
次からは調理器具の魔導具化だけど……何から作っていこうかなぁ。比較的簡単そうな、泡立て器の魔導具化から始めるのが良さそうか。
あっ、焼肉も食べたいからホットプレートも早めに作りたいな。……もしかして、食事処で焼肉も出来る……いや、それなら焼肉屋を別で作る方が匂いの問題も……。
……さすがに食事処もまだなのに焼肉屋を考えるのは違うな。