次は軸にも魔導回路を描いていく。
……あっ、これに関しては魔導回路を真っ直ぐ描かない方がいいのか?回転方向を交互に切り替えたいから……魔導回路自体を螺旋状に描いていく方が……。
……よし。
土台に軸を挿し、魔力を流し確認する。……うん。これなら螺旋状で問題なさそうだな。
次は軸に風属性を組み込んでいく。……無属性も組み込むから、それも考えて接触しない位置を確認する。……いや、ここは闇属性だな。無属性だと、この洗濯槽の大きさを制御するには足りない。
……微調整をし、闇属性も続けて組み込んでいく。
前までは面倒だった属性の組み込みも、最近やたらと扱っていたからか、修正する必要もなく終えた。
あとは……洗濯槽に風属性と火属性を組み込んでいく。……火属性はペン先が細いやつでよさそうだ。風属性に合わせて太めのペン先にしたら、火属性の出力が強すぎて乾燥時に服が縮んでしまう気がする。
で、問題の水属性の組み込みだけど……。結局いいアイディアが思いつかなかったな。まぁ、とりあえず水量を固定で何段階か設定して、そこから選べるようにするのが、今のところ簡単だよなぁ。
考えてたやつは、またいつか試したらいいし。
…………。
……よし。出来た。
最後に脱水……これは洗浄機能を応用するから……洗濯槽の下部に水属性を組み込んで……あっ、こっちにも風属性が必要だったな。
……さっき思い出せてたらまとめて風属性を組み込めたのに、二度手間になったな。……しょうがない。仕様書にはちゃんと書いておこう。
……これでいいな。
あっ、全然最後じゃなかった……。
……起動・停止のスイッチがないんじゃ、話にならないよな。洗い、すすぎ、脱水、乾燥まで全てをするから、スイッチって一つでいいのか。……いや、水量選択のスイッチもいるな。
そういえば、前世ではいろいろ組み合わせたり、好きなように設定できたよな……。でも、今はそこまで考えなくてもいいか。起動させてから水量を選択すれば、そのまま洗濯が始まる仕組みにすればいい。
とりあえず基本になる物を作って、気が向いた時にでも、いろいろ出来るように改良すればいい。それに、まだまだ作りたい魔導具が多いから、今はテンポよくいきたいし。
スイッチは本体上部にまとめればいいか。起動・停止と水量選択、それぞれのスイッチを並べれば分かりやすいだろう。なら、そこにも魔導回路が必要だな。
これも太めのペン先で描いていく。
……よし。
次はスイッチに必要な無属性を組み込んで……最後に中型の魔核を取り付ければ――
出来た……。
あっ、魔核を取り付ける前に魔力を流して、動作確認する方が良かったな。……よし。外そう。試すためだけに中型の魔核を使うのはちょっともったいないからな。
魔力を流しながら起動スイッチを押し、水量選択をする。
……水の出が少し弱い気もするけど……まぁいいか。
洗濯槽の回転は大丈夫そうだな。軸がしっかりしてるみたいだ。
排水、脱水も問題なさそうだ。
……火属性の出力は大丈夫そうだけど、風属性の方がもう少し出力があっても良さそうだな。
そうなると……風属性用に魔導回路を増やして、乾燥時の風量を増やす?それか、
高性能の新しい魔法陣を使って組み込むか……。
これは仕様書に書いて、アレク叔父さんに相談だな。
高位貴族向けなら魔法陣で対応して、ちょっと高級な洗濯機型魔導具と、一般的な洗濯機型魔導具の二種類を最初から販売できるってなったら、アレク叔父さんは喜びそうだし。
仕様書を書いていると――
「フィン、そろそろ工房を閉める時間だ」
顔を上げ、周りを見ると、職人たちが帰る準備をしていた。
「……もうそんな時間か。あっ、アレク叔父さん。一応洗濯機型魔導具、完成したよ。今仕様書を書いてるところなんだけど……」
「思っていた以上に大きいな。これはここに置いておいて、商会長室に移動しようか」
「そうだね」
俺がここにいたら工房を閉められないだろうし。
商会長室に着いて、お茶を飲みながら仕様書を仕上げた。
「よし。はい、これ」
「……なるほど。これは旋髭《ローテム》と鼻整 《トリーム》の回転を応用か。洗濯槽は……青銀鋼。確かに水に強いけど、ちょっと材料費がかかるね。まぁ、最初は高位貴族向けになるだろうし、問題ないだろう」
「仕様書にも書いたけど、乾燥時の風量を増やすために風属性を組み込む際、高性能の魔法陣を使うのもありだと思う」
「あぁ、少し前に販売されたばかりの魔法陣だね。それくらいなら大丈夫そうだ。……うん。二種類か……いいね。機能と価格に違いをつければ、買う側も自分に合ったものを選べるからね。……あっ、フィン。次いつ空いてる?商人ギルドでいくつか空き物件を紹介してもらって、良さそうなところを見てきたんだ。だから次はフィンも一緒にと思ってるんだけど」
「俺はいつでもいいよ。洗濯機型魔導具が出来て一段落したところだから」
「じゃあ、二日後の昼からでどうだろう」
「わかった」
「では、二日後の昼に商人ギルドで待ち合わせよう」
……それにしてもアレク叔父さん、松葉杖をつきながら空き物件を見て回ったってことだよな。
ちょっと申し訳ない気もするな……。
