「え、それだけでいいの?」
てっきりフリースロー対決でもさせられるのかと思ったから、それぐらいなら僕でも勝てそう。
「大塚お前ええええ!」
女子が窓越しに腕を伸ばして、大塚君の胸の辺りにパンチをくらわそうとしたのを、大塚君はひらっとよけた。
「チャンスは1回、来週の金曜日、今の時間に体育館まで来いよ。チャレンジ成功したら、来週の土曜に出かけるぞ。開けとけよ」
そう言って、大塚は日が暮れて薄暗くなった渡り廊下を走り体育館まで戻っていった。
「わー。勝ったらスィーツバイキングだって。嬉しい」
僕がぱちぱち手を叩いて大喜びしてたら、女子が両側から僕の肩をぽんっと叩いて来た。
「大塚。あいつ……、ヘタレだな」
「自分から告ればいいのに、誘い下手か……」
様子を片づけしながら見守ってくれてた他の部員もわらわら窓まで集まって来た。
「どうしたのみんな」
小首を傾げたら女子がみんなで円陣を汲むみたいな姿勢になった。
「ピュアで、チョロくて、可愛くて、この感じ……」
「あーもう。澪は私たち調理部のアイドルだから、めちゃめちゃ心配になっちゃう」
「心配?」
「うーん、なんか諸々口実に使われちゃってるみたいだけど、いいのかなあって」
「口実? なんの?」
「デー……」
クラスメイトの女子の口を、部長が後ろからばっと塞いだ。
「ちょっと待て! それは私たちから言うと、流石に大塚が哀れだから……。二人で解決したらいいよ」
なんか変に言葉を濁されたけど、「分かった! チャレンジしてみる」って僕はぐっと拳を握った。
こんなの簡単なチャレンジだと思うでしょ? これがやってみると意外と難しい。最後の最後で噛み噛み、緊張すると3回目ぐらいですぐ噛んじゃう。



