「……いつも俺ばっか食べさせてもらって悪いからさ、今度なんか奢る」
「わー、ありがとう」
別に見返りを求めて食べさせてたわけじゃないけど、気を使ってくれてるのは嬉しいなって思う。そしたら僕等のクラスメイトの女子部員が窓の近くにやって来た。
「大塚! あんた澪君にたかり続けて、やっと奢る気になったか」
調理部の女子は僕のモンペって名乗る子ばっかり。代わりに大塚君にはすごく厳しくて目の敵にしてる。
「……別に、こいつが食いにくればっていうからさ」
窓越しに肩を組まれて、僕もうんうんって頷いた。
「部活するとお腹すくもんね?」
「そうそう」
「あーもう、そうやって大塚を甘やかす! 澪君、人が良すぎるよ! 毎週こいつの分も作ってあげなくていいんだからね!」
同級生の部員が僕の両側に立って大塚君を威嚇してるけど、僕としては作ったお菓子を美味しいって食べてくれるのは嫌な気分じゃない。
「あーうるせぇな。分かったって。だから奢るって言ってるだろ」
大塚君は憮然として口をへの字にしてる。少し素直じゃないところがあるんだ。
だから僕は自分の気持ちを素直に伝えてあげようって思ってる。
「本当に嬉しいよ。なに奢って貰おうかなあ」
大塚君に笑いかけたら、向こうもちょっとはにかんでる。こういう所は可愛いと思う。
「なんでもいいよ。澪は……甘いものがいいか?」
「うん。そうだね。甘いものがいいかなあ」
頭の中にはほわん、ほわんっていろんなスィーツが浮かぶ。そういえば駅前のカフェに秋の味覚フェアのポスターが貼ってあったっけ。
「モンブラン、葡萄のパフェ、さつま芋のプリン……。しょっぱいものでもいいなあ。すぐには決められないなあ」
口元が嬉しくて緩まっちゃう。大塚君がにやって笑って僕の頬をきゅって摘まんだ。
「ほんとお前、ほっそいのに、食べるの好きなんだな」
「もー、痛いよ。すぐ頬っぺた摘まむの止めて」
手を掴んで止めさせようとしたけど、大塚君がしつこく摘まんでくる。
「ああ、澪くんの癒しの笑顔。可愛い、尊い」
「護りたい、この笑顔。美味しいもの食べさせてあげてよ! 大塚!」
「あれだけただ食いさせてきたんだから、がっつり奢ってもらわなきゃだめだよ」
「あーうるせぇな。もうそろ、帰らないと」
大塚君は逆の手に持ってたスコーンの最後の一欠片を口に投げ入れて、もぐもぐって食べ終わった。
「これ、お水飲んで。むせたら危ないよ」
僕がずっともってた水の入ったコップを差し出すと、大塚君はひったくるように受け取ってごくごく飲み干した。
「本当に澪君に甘えすぎじゃない?」
さらに部員が集まってきて口々に文句を言ったら、大塚君はへそを曲げてしまったようだ。
「あー、でも普通に奢るんじゃつまんないな。澪、豪華ビュッフェをかけて俺と勝負しない?」
「はあ? あんたなに様! 普通に奢りなさいよ!」
「へー。面白そう。別にいいよ。でもバスケ部とフリースロー対決とか無理だよ」
「それは私たちが許さないから!」
息まく女子を尻目に、大塚はにやりって、ちょっとだけ悪そうな顔をした。
「澪が俺に『好きです、付き合ってください』って10回噛まずに言えたら奢るのはどう?」
「わー、ありがとう」
別に見返りを求めて食べさせてたわけじゃないけど、気を使ってくれてるのは嬉しいなって思う。そしたら僕等のクラスメイトの女子部員が窓の近くにやって来た。
「大塚! あんた澪君にたかり続けて、やっと奢る気になったか」
調理部の女子は僕のモンペって名乗る子ばっかり。代わりに大塚君にはすごく厳しくて目の敵にしてる。
「……別に、こいつが食いにくればっていうからさ」
窓越しに肩を組まれて、僕もうんうんって頷いた。
「部活するとお腹すくもんね?」
「そうそう」
「あーもう、そうやって大塚を甘やかす! 澪君、人が良すぎるよ! 毎週こいつの分も作ってあげなくていいんだからね!」
同級生の部員が僕の両側に立って大塚君を威嚇してるけど、僕としては作ったお菓子を美味しいって食べてくれるのは嫌な気分じゃない。
「あーうるせぇな。分かったって。だから奢るって言ってるだろ」
大塚君は憮然として口をへの字にしてる。少し素直じゃないところがあるんだ。
だから僕は自分の気持ちを素直に伝えてあげようって思ってる。
「本当に嬉しいよ。なに奢って貰おうかなあ」
大塚君に笑いかけたら、向こうもちょっとはにかんでる。こういう所は可愛いと思う。
「なんでもいいよ。澪は……甘いものがいいか?」
「うん。そうだね。甘いものがいいかなあ」
頭の中にはほわん、ほわんっていろんなスィーツが浮かぶ。そういえば駅前のカフェに秋の味覚フェアのポスターが貼ってあったっけ。
「モンブラン、葡萄のパフェ、さつま芋のプリン……。しょっぱいものでもいいなあ。すぐには決められないなあ」
口元が嬉しくて緩まっちゃう。大塚君がにやって笑って僕の頬をきゅって摘まんだ。
「ほんとお前、ほっそいのに、食べるの好きなんだな」
「もー、痛いよ。すぐ頬っぺた摘まむの止めて」
手を掴んで止めさせようとしたけど、大塚君がしつこく摘まんでくる。
「ああ、澪くんの癒しの笑顔。可愛い、尊い」
「護りたい、この笑顔。美味しいもの食べさせてあげてよ! 大塚!」
「あれだけただ食いさせてきたんだから、がっつり奢ってもらわなきゃだめだよ」
「あーうるせぇな。もうそろ、帰らないと」
大塚君は逆の手に持ってたスコーンの最後の一欠片を口に投げ入れて、もぐもぐって食べ終わった。
「これ、お水飲んで。むせたら危ないよ」
僕がずっともってた水の入ったコップを差し出すと、大塚君はひったくるように受け取ってごくごく飲み干した。
「本当に澪君に甘えすぎじゃない?」
さらに部員が集まってきて口々に文句を言ったら、大塚君はへそを曲げてしまったようだ。
「あー、でも普通に奢るんじゃつまんないな。澪、豪華ビュッフェをかけて俺と勝負しない?」
「はあ? あんたなに様! 普通に奢りなさいよ!」
「へー。面白そう。別にいいよ。でもバスケ部とフリースロー対決とか無理だよ」
「それは私たちが許さないから!」
息まく女子を尻目に、大塚はにやりって、ちょっとだけ悪そうな顔をした。
「澪が俺に『好きです、付き合ってください』って10回噛まずに言えたら奢るのはどう?」



