幼馴染の恋人になりたいので、アピールを始めました

 そんな想いを知るよしもない律は今日もいつも通り、朝マンションの下で日向を待っていた。だが、時間になっても来る気配が無い。ようやく来たメッセージには、『ごめん、寝坊したから先に行っといて』と。
 いつもやったら寝坊しても『寝坊した!』って言いながら下りてくるのに。まあ、ええか。どうせ昼休みに会えるし。
 そう思い、一人で学校へ向かった。
 昼休み。日向とご飯を食べようと七組へと向かう。だが、そこには日向の姿はなかった。
 「あ、ねえ、坂本日向、どこ行ったか分かる?」
 近くにいたクラスの人に聞く。
 「ああ、なんか部活の奴らとどっか行ったで」
 「そうなんや。ありがとう」
 いつもやったらそういう時、連絡くれるのに。
 千優とも気まずいままな俺は一人で屋上でご飯を食べた。
 
 夜。ゲームをしようと日向に誘いの連絡を入れるが三十分経っても返事がない。
 いつもすぐ既読がついて返事が来て家に遊びに来るのに。なんなん、今日の日向。
 返事が来たのは二時間後のことだった。『ごめん、勉強してて携帯見てなかった』だけ。
 嘘つけ。お前がいつ勉強したんや。わかりやすい嘘つくなや。
 それからというものの、日向はあれやこれやと理由をつけて俺を避けるようになった。メッセージ送っても返事は遅く、電話をしても繋がらず、家に行っても居ない。そんな状態が一週間も続いた。今まで日向と喧嘩したことなかったし、こんなに長い間、離れるのも初めてだった。
 俺を避ける理由は何や。
 俺は確実に日向に会うため、日向の部活終わりに帰り道で待つことにした。
 「部活、お疲れ」
 「律、なんで」
 「なんで、はこっちのセリフや。お前、なんで俺のこと避けるねん」
 「……別に避けてない」
 「嘘つけ。どう考えても避けてるやろ」
 「……」
 「なあ、俺なんかした?悪いことしたなら謝るし、言ってくれたら直すから。だから避けんといてよ」
 「……律はなんも悪くないよ」
 そう言って日向は足早に立ち去ろうとする。しかし、律が日向の腕を掴んで引き留め、振り向かせる。
 「じゃあ、なんで避けるん?俺、日向とこのまま離れるの嫌やって」
 「……やから」
 「え?」
 「好きやから!律のことが好きやから離れることにしたんや!」
 「……え?」
 「中一ん時からずっと好きやったよ。中学生になって成長していくお前を見て、なんか知らん間に惚れとって。毎日ドキドキして」
 日向の堰き止めてた想いが溢れ出す。
 「でも、律は俺のこと好きやないし、そんなんで告白したらもう隣におられへんくなるの分かってたから」
 日向の想いは止まらない。
 「でも、この前、山口が律に告白してるの見て先越された気がして悔しかったし、そしたら女子たちが山口がした告白は全部成功するって言うし」
 感情のコントロールが効かずに日向の顔に涙が溢れる。
 「待って、日向」
 「付き合うんやろ?お前ら」
 「え?」
 「そらそうやんな。律、山口と仲良かったし、俺なんかよりあんなイケメンの方がいいやんな」
 「日向」
 「とにかくもう、誰かの恋人になったお前と一緒におるのは辛いねん。まだ気持ちの整理もついてないし、立ち直れてなし」
 「なあ、日向」
 「ごめん、もう……ごめん」
 日向はそう言うと走って行ってしまった。俺は思いがけない告白に衝撃で体が動かず、日向を追いかけることができなかった。