きみと生きられる幸せ




 なくなるなんて、信じられなかった。

 わたしの手の中にのこされた、このわずかな幸せですら。

 奪われるなんて、信じられなかった。

 わたしが何とかして守りたかった、あの小さな笑顔ですら。



「ただいま」



 そういう声を、聞きたかった。



「おかえり」



 そうやってきみに、言ってあげたかった。



「だいすきだよ」

「だいすきだよ」



 そう言いあって、笑いあう日々を。

 そう言いあって、抱きしめあう日々を。

 ふたりで一緒のベッドで眠って。

 二人でご飯をわけあって。

 一緒に、生きて。



 その日々すらも、奪われるなんて。



 明日も、きみに笑っていてほしかった。