「明日はデートしましょう」
カルカルでのやるべき案件が片付いたリリスはサナールへ戻る前に行きたかった場所やカップルがよく訪れるオシャレなカフェに行きたいと言ってきた。
「それは構わないけど、俺は君が楽しめるようなプランを提供出来る情報は持ってないぞ」
俺の言葉に人差し指を左右に振りながらリリスは笑顔で答える。
「そんなの私が最高に楽しめるデートプランを立ててあげるから覚悟しなさいよ」
リリスが張り切っているので俺は「分かった。楽しみにしているよ」と全てを彼女に任せる事にした。
「それじゃあ明日の朝食が終わったら鐘つき堂前の噴水に来てね」
「リリスは朝食はどうするんだ?」
「私はいつもより早めに食べて先に出掛けるわ」
「ん? 同じ宿なんだから一緒に食べて一緒に出かければ良いんじゃないか?」
俺は普通に思った事をリリスに伝えると急に彼女の表情が変わり、口元は笑っているが目が笑っていない凄まじい圧力で「黙って従ってくださいね」とお願い? してきた。
「はい、分かりました。是非ともそのようにさせて頂きます」
その迫力に俺は反射的に背筋を伸ばして彼女に敬礼をしながら答えていた。
◆
次の日の朝、俺はリリスに言われた通りにいつもの時間に朝食を食べてから待ち合わせの場所へと向かった。
こちらの世界に転生してからは電話が無くて離れている時の連絡手段が無いのが不便だったが時間を気にしながら待ち合わせをするシチュエーションは何だかレトロな感じで悪くなかった。
「えっと、鐘つき堂の前で待ち合わせと言っていたよな……あれ? どっちに曲がるんだったかな?」
そもそもカルカルの町の地図を持っている訳でもないし土地勘がある訳でもない俺は昨夜リリスが教えてくれた内容を必死で思い出しながら町をさまよっていた。
いや、本当にマズいな。どうやら迷ったようだ。こんな時スマホがあれば連絡や地図検索なんて楽勝なんだけど……まあ、無いものを考えても仕方ないからその辺の人に聞こう。
「すみません。鐘つき堂はどっちに行ったら良いですか?」
俺が道を聞きながら待ち合わせ場所に向かっている頃、リリスは待ちぼうけをしていた。
◆
「――遅いわね。いつもどおりに朝食を食べて出掛けたのならばそろそろ来てもおかしくない筈だけど……。まさか寝坊してるとか、道に迷ってるとかなのかな?」
リリスが心配をしていると後ろから声がかかった。
「おまたせ~。待った?」
「何よ! 遅いじゃないの!」
リリスがそう言いながら声の方を向くとそこに居たのはナオキでは無く、チャラい格好をした若い二人組の男達だった。
「おっ! 可愛いぞ! やったぜ当たりだぜ! 後ろ姿だけだと時々ハズレを引く場合があるからな。って言うかこの娘リリスじゃね?」
「リリス? あの斡旋ギルドの受付嬢の?」
「おっ! 本当だ、最近見なくなって本部に引き抜かれたって聞いてたけどこんなところに居たんだな」
「まあ、超ラッキーと言うことで、これから俺達と遊びに行こうぜ。楽しい事や気持ちいい事を体験させてやるからよ」
背の高い方の男がリリスの手首を掴んで強引に連れて行こうとする。
「何するんですか! あなた達みたいな人と一緒に行くわけないでしょ!」
リリスは掴まれた手を振り払おうとするが男の力には敵わない。
「まあ、そんなに邪険にするなよ。でないと痛い目に遭うか恥ずかしい目に遭う事になるぜ」
リリスは他の人に助けを求めるがまだ時間が早いためか周りには数人の人しか居ないうえに関わりたくないのか目を逸らして足早にその場を離れる人ばかりだった。
こんな事ならナオキと一緒に出かけるんだった。
恋する乙女の心情としてやはりデートには夢があり、もちろんリリスも例外ではなく同僚達と恋バナをする時には必ず話題にあがっていたシチュエーションを現実に体験したかったのである。
「いいからさっさと来い!」
掴んだ手首を強く引き、引きずるようにリリスを連れて行こうとしたために抵抗した彼女はその場に転倒した。
「痛っ!」
片手を掴まれていた為に上手く受け身が取れなかったリリスは膝を擦りむき血が滲んでいた。
「ほれみろ、無駄に抵抗なんかするから怪我をしたじゃないか。素直についてくればこれ以上痛い思いをせずに済むぜ」
相変わらず自分勝手な事を吐く男達。
「いい加減、面倒臭くなったな。もういいから、気絶させて拉致しちまうか?」
背の低い方の男がゲスい笑いをしながらリリスに近づく。
「そいつは名案だな。腹に一発入れちまえばすぐに意識は飛ばせるだろうし、介抱してるように背負って行けば簡単にいくんじゃね?」
その言葉にリリスは恐怖し、青ざめた。一度拉致されてしまえばすぐに見つけ出す事など不可能だし、逃げ出す事も許されるはずもない。
考えの纏まらないリリスのお腹に男の拳が入ったのはその直後だった。
「おお! 大丈夫ですか? 気分が悪くなられたのですね。僕達がどこか休めるところに連れて行ってあげましょう」
芝居じみたセリフを吐きながら背の高い男がリリスを背負って連れて行こうとした時、後ろから男の声が響いた。
カルカルでのやるべき案件が片付いたリリスはサナールへ戻る前に行きたかった場所やカップルがよく訪れるオシャレなカフェに行きたいと言ってきた。
「それは構わないけど、俺は君が楽しめるようなプランを提供出来る情報は持ってないぞ」
俺の言葉に人差し指を左右に振りながらリリスは笑顔で答える。
「そんなの私が最高に楽しめるデートプランを立ててあげるから覚悟しなさいよ」
リリスが張り切っているので俺は「分かった。楽しみにしているよ」と全てを彼女に任せる事にした。
「それじゃあ明日の朝食が終わったら鐘つき堂前の噴水に来てね」
「リリスは朝食はどうするんだ?」
「私はいつもより早めに食べて先に出掛けるわ」
「ん? 同じ宿なんだから一緒に食べて一緒に出かければ良いんじゃないか?」
俺は普通に思った事をリリスに伝えると急に彼女の表情が変わり、口元は笑っているが目が笑っていない凄まじい圧力で「黙って従ってくださいね」とお願い? してきた。
「はい、分かりました。是非ともそのようにさせて頂きます」
その迫力に俺は反射的に背筋を伸ばして彼女に敬礼をしながら答えていた。
◆
次の日の朝、俺はリリスに言われた通りにいつもの時間に朝食を食べてから待ち合わせの場所へと向かった。
こちらの世界に転生してからは電話が無くて離れている時の連絡手段が無いのが不便だったが時間を気にしながら待ち合わせをするシチュエーションは何だかレトロな感じで悪くなかった。
「えっと、鐘つき堂の前で待ち合わせと言っていたよな……あれ? どっちに曲がるんだったかな?」
そもそもカルカルの町の地図を持っている訳でもないし土地勘がある訳でもない俺は昨夜リリスが教えてくれた内容を必死で思い出しながら町をさまよっていた。
いや、本当にマズいな。どうやら迷ったようだ。こんな時スマホがあれば連絡や地図検索なんて楽勝なんだけど……まあ、無いものを考えても仕方ないからその辺の人に聞こう。
「すみません。鐘つき堂はどっちに行ったら良いですか?」
俺が道を聞きながら待ち合わせ場所に向かっている頃、リリスは待ちぼうけをしていた。
◆
「――遅いわね。いつもどおりに朝食を食べて出掛けたのならばそろそろ来てもおかしくない筈だけど……。まさか寝坊してるとか、道に迷ってるとかなのかな?」
リリスが心配をしていると後ろから声がかかった。
「おまたせ~。待った?」
「何よ! 遅いじゃないの!」
リリスがそう言いながら声の方を向くとそこに居たのはナオキでは無く、チャラい格好をした若い二人組の男達だった。
「おっ! 可愛いぞ! やったぜ当たりだぜ! 後ろ姿だけだと時々ハズレを引く場合があるからな。って言うかこの娘リリスじゃね?」
「リリス? あの斡旋ギルドの受付嬢の?」
「おっ! 本当だ、最近見なくなって本部に引き抜かれたって聞いてたけどこんなところに居たんだな」
「まあ、超ラッキーと言うことで、これから俺達と遊びに行こうぜ。楽しい事や気持ちいい事を体験させてやるからよ」
背の高い方の男がリリスの手首を掴んで強引に連れて行こうとする。
「何するんですか! あなた達みたいな人と一緒に行くわけないでしょ!」
リリスは掴まれた手を振り払おうとするが男の力には敵わない。
「まあ、そんなに邪険にするなよ。でないと痛い目に遭うか恥ずかしい目に遭う事になるぜ」
リリスは他の人に助けを求めるがまだ時間が早いためか周りには数人の人しか居ないうえに関わりたくないのか目を逸らして足早にその場を離れる人ばかりだった。
こんな事ならナオキと一緒に出かけるんだった。
恋する乙女の心情としてやはりデートには夢があり、もちろんリリスも例外ではなく同僚達と恋バナをする時には必ず話題にあがっていたシチュエーションを現実に体験したかったのである。
「いいからさっさと来い!」
掴んだ手首を強く引き、引きずるようにリリスを連れて行こうとしたために抵抗した彼女はその場に転倒した。
「痛っ!」
片手を掴まれていた為に上手く受け身が取れなかったリリスは膝を擦りむき血が滲んでいた。
「ほれみろ、無駄に抵抗なんかするから怪我をしたじゃないか。素直についてくればこれ以上痛い思いをせずに済むぜ」
相変わらず自分勝手な事を吐く男達。
「いい加減、面倒臭くなったな。もういいから、気絶させて拉致しちまうか?」
背の低い方の男がゲスい笑いをしながらリリスに近づく。
「そいつは名案だな。腹に一発入れちまえばすぐに意識は飛ばせるだろうし、介抱してるように背負って行けば簡単にいくんじゃね?」
その言葉にリリスは恐怖し、青ざめた。一度拉致されてしまえばすぐに見つけ出す事など不可能だし、逃げ出す事も許されるはずもない。
考えの纏まらないリリスのお腹に男の拳が入ったのはその直後だった。
「おお! 大丈夫ですか? 気分が悪くなられたのですね。僕達がどこか休めるところに連れて行ってあげましょう」
芝居じみたセリフを吐きながら背の高い男がリリスを背負って連れて行こうとした時、後ろから男の声が響いた。



