「ちょっとリリス!? それ私のお酒よ!勝手に飲まないでよ!」
「えっ!? これ私のジュースじゃなかったの? だってお酒の味はしなかったわよ?」
リリスは慌ててグラスを確認する。
「本当だ。私のジュースがここにあると言うことは、間違えて飲んじゃったのね。ごめんなさい、すぐに代わりを注文するからね」
リリスが慌てて注文をとろうと席を立とうとするが、目の前がぐらついて上手く立てない。
「おい、リリス。大丈夫なのか? この間違えて飲んだお酒って結構強めの度数だったりする?」
俺はリリスの様子からまた泥酔状態になるのではと心配して彼女に聞いた。
「あー、まあまあ強い度数かな? 口当たりが良いからジュースと間違えて結構飲み過ぎる時があるけどそこまでじゃないと思いますけどね」
彼女がそう言うのでホッとしていると別の娘が「あんた蟒蛇なんだからあんたの基準とリリスの基準を一緒にしない方が良いわよ」とツッコミを入れてきた。
「とりあえずリリスは休ませた方がいいからそこのソファを空けてもらえますか?」
俺は酔って立てないリリスをお姫様抱っこしてソファへと移動させる。
その光景を見た他の娘達は「きゃー」とか「いいなぁ」とか「私も彼氏欲しい」とか言いながら勝手に盛り上がっていた。
おかげで俺への質問の弾丸はほとんど飛んで来ず、俺はリリスの傍でちびちびと軽めのお酒を飲みながら幸せそうに眠るリリスの髪を撫でていた。
そして女子会という名のカオスな飲み会は夜遅くまで続き、全員がベロンベロンに酔ってしまい、とてもではないが寮に帰る事が困難になっていた。
「もう、お開きにしましょう」
俺がそう宣言したのはお店が閉店を迎えるので、そろそろ終わりにして欲しいと言われた時だった。
これはマズいな。一体どうしたらいいんだ?
俺は目の前の現状から目を背けたくなる衝動をなんとか堪えて、まずリリスを起こす事にした。
「完全治癒」
前にも同じような状態だった時に治癒魔法で泥酔も治ったので、とりあえずリリスの酔いを醒ますために治癒魔法を彼女にかけた。
「うーん……よく寝た気がするわ。日頃の疲れが全部無くなって体調もしっかりと回復してるし、気分も最高にいいわ」
目を覚ましたリリスは大きく伸びをすると周りを見回したかと思うと次の瞬間、げんなりした表情になっていた。
「リリス、すまないが彼女達を寮に送る手配を頼めるかい?」
俺は回復したリリスに一縷の望みを込めてお願いをした。
「あはははは。………無理ね」
そんな俺の希望はリリスのひと言で打ち砕かれた。
「まず、こんな状態になった彼女達を抱えて運べる人が居ないのと女子寮は当然ながら男子厳禁だからナオキを含む男性に頼む事も不可能なの」
「じゃあどうするんだい? このままだとお店の人にも迷惑だし、彼女達をこのまま放っておく事も出来ないだろう?」
俺の正論にリリスは「そんな事言われても……」と唸る。
その時、俺の頭にはひとつだけこの状態を解決出来る方法を思いついていたがその提案を出せずにいた。
「せめて、ここがいつもの女子寮ならば皆起きるまで放っておくんだけどな。ところで私って何で寝てたの? みんなから質問攻めにあってからの記憶が曖昧だし、いつ寝たのかも覚えていないのよね……」
「ああ、それは君が間違って友達のお酒を飲んでしまったからだよ。結構アルコール度数が高いお酒だったみたいですぐに酔いつぶれてしまったんだ」
その言葉を聞いたリリスは顔を青くして俺に「わたし何か変なことしなかった?」と聞いてきた。
「いや、今回は別に変なことはしてないと思うよ。ちょっと酔いが回って立てなくなったからソファで休んで貰っただけだし……」
「良かったぁ。また何かやらかしたのかと思っちゃったわ。と言うことはナオキが酔いを治してくれたのね。ありがとう」
とそこまで言ったリリスはある事実に気がついた。
「うわぁ……。私、この状況を何とか出来る方法を思いついちゃったわ……」
彼女の言葉に俺がリリスを見るとはっきりと顔が引きつっているのが分かった。
あっ。リリスも俺と同じ結論に辿り着いたんだな。でもあまり乗り気でないから言おうかどうか迷ってる顔をしてるんだな。
俺は素知らぬふりで彼女から言い出すまで待つ事にした。自分から言い出すと何だか話がこじれそうな気がしたからだ。
――時間にしてほんの数分間ほど目を閉じて考えていたリリスはやがて決心したように俺に言った。
「彼女達全員に治癒魔法をかけて酔いを覚まして貰いましょう」
まあ、それしか方法はないだろうな。
「それは良いけど治癒魔法を使うのに本人の同意は得られないけど大丈夫なのか?」
俺が一番心配している事をリリスに伝えると「こんな状態になるまで呑むのが悪い! 文句を言ったら私が倍にして反論してあげるわ」と言いきった。
「リリスがそこまで言うならば俺からは反論はないよ。じゃあ順番にかけていくから回復した人から説明を頼むよ」
俺はそうリリスに伝えると酔いつぶれている彼女達の胸に手を添えながら治癒魔法をかけていった。
――十分もしないうちに全員に治癒魔法をかけ終わった俺は後をリリスに任せて食事会の代金を支払いにその場を離れた。
「ふあぁ……。何だかよく分からないけど凄く気持ち良かった夢をみたわ」
「あっ!私も!」
「私もそう!不思議よね」
目が覚めた彼女達は口々にそんな感想を話し始めた。
どうやら触られた事を覚えている娘は居ないようだったのでリリスも敢えて詳しく説明せずに「酔いをさます治癒魔法をかけさせてもらった」とだけ説明しておいた。
「――ご馳走さまでした!」
店を出た彼女達は支払いを済ませた俺にお礼を言ってきた。
「でも、本当に良いのですか? この人数であれだけの飲食をしたのだから相当な金額になったと思うのですけど、割り勘にしなくて彼女に怒られないですか?」
そう言いながら皆はリリスの方を見る。
「まあ、ナオキが良いと言ってる事だし、皆にはいっぱい迷惑もかけちゃったしね。でも楽しかったから良かったわね」
「うん、本当に楽しかったわ。この後、またサナールに行くんでしょ? 時々は顔を見せに帰って来なさいよ。また女子会をやろうね!」
そう言うと彼女達が全員で声を合わせて言った。
「「「「リリスの彼氏のサイフで!!
あはははは!」」」」
「駄目よ! 駄目駄目! 今度はちゃんと割り勘なんだからね! 《《割り勘》》!」
リリスはそう叫びながらも皆と一緒になって笑いあっていた。
「えっ!? これ私のジュースじゃなかったの? だってお酒の味はしなかったわよ?」
リリスは慌ててグラスを確認する。
「本当だ。私のジュースがここにあると言うことは、間違えて飲んじゃったのね。ごめんなさい、すぐに代わりを注文するからね」
リリスが慌てて注文をとろうと席を立とうとするが、目の前がぐらついて上手く立てない。
「おい、リリス。大丈夫なのか? この間違えて飲んだお酒って結構強めの度数だったりする?」
俺はリリスの様子からまた泥酔状態になるのではと心配して彼女に聞いた。
「あー、まあまあ強い度数かな? 口当たりが良いからジュースと間違えて結構飲み過ぎる時があるけどそこまでじゃないと思いますけどね」
彼女がそう言うのでホッとしていると別の娘が「あんた蟒蛇なんだからあんたの基準とリリスの基準を一緒にしない方が良いわよ」とツッコミを入れてきた。
「とりあえずリリスは休ませた方がいいからそこのソファを空けてもらえますか?」
俺は酔って立てないリリスをお姫様抱っこしてソファへと移動させる。
その光景を見た他の娘達は「きゃー」とか「いいなぁ」とか「私も彼氏欲しい」とか言いながら勝手に盛り上がっていた。
おかげで俺への質問の弾丸はほとんど飛んで来ず、俺はリリスの傍でちびちびと軽めのお酒を飲みながら幸せそうに眠るリリスの髪を撫でていた。
そして女子会という名のカオスな飲み会は夜遅くまで続き、全員がベロンベロンに酔ってしまい、とてもではないが寮に帰る事が困難になっていた。
「もう、お開きにしましょう」
俺がそう宣言したのはお店が閉店を迎えるので、そろそろ終わりにして欲しいと言われた時だった。
これはマズいな。一体どうしたらいいんだ?
俺は目の前の現状から目を背けたくなる衝動をなんとか堪えて、まずリリスを起こす事にした。
「完全治癒」
前にも同じような状態だった時に治癒魔法で泥酔も治ったので、とりあえずリリスの酔いを醒ますために治癒魔法を彼女にかけた。
「うーん……よく寝た気がするわ。日頃の疲れが全部無くなって体調もしっかりと回復してるし、気分も最高にいいわ」
目を覚ましたリリスは大きく伸びをすると周りを見回したかと思うと次の瞬間、げんなりした表情になっていた。
「リリス、すまないが彼女達を寮に送る手配を頼めるかい?」
俺は回復したリリスに一縷の望みを込めてお願いをした。
「あはははは。………無理ね」
そんな俺の希望はリリスのひと言で打ち砕かれた。
「まず、こんな状態になった彼女達を抱えて運べる人が居ないのと女子寮は当然ながら男子厳禁だからナオキを含む男性に頼む事も不可能なの」
「じゃあどうするんだい? このままだとお店の人にも迷惑だし、彼女達をこのまま放っておく事も出来ないだろう?」
俺の正論にリリスは「そんな事言われても……」と唸る。
その時、俺の頭にはひとつだけこの状態を解決出来る方法を思いついていたがその提案を出せずにいた。
「せめて、ここがいつもの女子寮ならば皆起きるまで放っておくんだけどな。ところで私って何で寝てたの? みんなから質問攻めにあってからの記憶が曖昧だし、いつ寝たのかも覚えていないのよね……」
「ああ、それは君が間違って友達のお酒を飲んでしまったからだよ。結構アルコール度数が高いお酒だったみたいですぐに酔いつぶれてしまったんだ」
その言葉を聞いたリリスは顔を青くして俺に「わたし何か変なことしなかった?」と聞いてきた。
「いや、今回は別に変なことはしてないと思うよ。ちょっと酔いが回って立てなくなったからソファで休んで貰っただけだし……」
「良かったぁ。また何かやらかしたのかと思っちゃったわ。と言うことはナオキが酔いを治してくれたのね。ありがとう」
とそこまで言ったリリスはある事実に気がついた。
「うわぁ……。私、この状況を何とか出来る方法を思いついちゃったわ……」
彼女の言葉に俺がリリスを見るとはっきりと顔が引きつっているのが分かった。
あっ。リリスも俺と同じ結論に辿り着いたんだな。でもあまり乗り気でないから言おうかどうか迷ってる顔をしてるんだな。
俺は素知らぬふりで彼女から言い出すまで待つ事にした。自分から言い出すと何だか話がこじれそうな気がしたからだ。
――時間にしてほんの数分間ほど目を閉じて考えていたリリスはやがて決心したように俺に言った。
「彼女達全員に治癒魔法をかけて酔いを覚まして貰いましょう」
まあ、それしか方法はないだろうな。
「それは良いけど治癒魔法を使うのに本人の同意は得られないけど大丈夫なのか?」
俺が一番心配している事をリリスに伝えると「こんな状態になるまで呑むのが悪い! 文句を言ったら私が倍にして反論してあげるわ」と言いきった。
「リリスがそこまで言うならば俺からは反論はないよ。じゃあ順番にかけていくから回復した人から説明を頼むよ」
俺はそうリリスに伝えると酔いつぶれている彼女達の胸に手を添えながら治癒魔法をかけていった。
――十分もしないうちに全員に治癒魔法をかけ終わった俺は後をリリスに任せて食事会の代金を支払いにその場を離れた。
「ふあぁ……。何だかよく分からないけど凄く気持ち良かった夢をみたわ」
「あっ!私も!」
「私もそう!不思議よね」
目が覚めた彼女達は口々にそんな感想を話し始めた。
どうやら触られた事を覚えている娘は居ないようだったのでリリスも敢えて詳しく説明せずに「酔いをさます治癒魔法をかけさせてもらった」とだけ説明しておいた。
「――ご馳走さまでした!」
店を出た彼女達は支払いを済ませた俺にお礼を言ってきた。
「でも、本当に良いのですか? この人数であれだけの飲食をしたのだから相当な金額になったと思うのですけど、割り勘にしなくて彼女に怒られないですか?」
そう言いながら皆はリリスの方を見る。
「まあ、ナオキが良いと言ってる事だし、皆にはいっぱい迷惑もかけちゃったしね。でも楽しかったから良かったわね」
「うん、本当に楽しかったわ。この後、またサナールに行くんでしょ? 時々は顔を見せに帰って来なさいよ。また女子会をやろうね!」
そう言うと彼女達が全員で声を合わせて言った。
「「「「リリスの彼氏のサイフで!!
あはははは!」」」」
「駄目よ! 駄目駄目! 今度はちゃんと割り勘なんだからね! 《《割り勘》》!」
リリスはそう叫びながらも皆と一緒になって笑いあっていた。



