リリスはこの依頼内容を受ける際にサナールのギルマスからある情報を引き出していた。
「別の場所ですがアーリー様にも同じように生まれつきのアザがおありですよね?」
その言葉にアーリーがハッとしてリリスを睨む。
「何処でその情報を?」
「すみません。私達も守秘義務がありますので情報元は秘匿させて頂いてます」
その言葉に「なるほど」とだけ返し、続けて「ふふっ」と笑ったアーリーはリリスの言いたいことが全て理解出来たようで「いいわよ」と返した。
「ありがとうございます。では、アザの確認と治療方法への同意書へのサインをお願いしますね」
「いったい何の話をしてるのよ? 私はまだアザの治療に対して納得してないわよ!」
ナナリーはふたりのやり取りの意味が理解出来ずに自分の治療を勝手に母親が了承したと思い、慌てて否定した。
「はい。それはもちろん分かっておりますので心配なさらずとも大丈夫ですよ」
リリスがナナリーに安心するようにと伝える。
「じゃあ何のはな……し」
ナナリーがさらに説明を求めようとする前でいきなりアーリーがスカートを捲りあげて太ももをあらわにした。
「ママ!? いったい何をしてるの!?」
母親が突然起こした破廉恥な行動にナナリーは何が起きているのか分からずにただただ動揺していた。
「ほら、ナナリー。ここを見て頂戴」
そんな娘にアーリーは右太ももの内側を見るように誘導する。
「これは……」
そこにはかなり大きな黒ずんだアザが存在していた。
「あなたにも話した事は無かったけれど私にも生まれつきのアザがあったの。ただ、私の場合は普段から人には見せない場所にあったからそれほど負担にはならなかった。もちろん旦那様に告白された時にはちゃんと説明して嫌なら婚約を破棄してくださいと言ったのだけど旦那様はそれを気にしなくていいと受け入れてくれたのよ」
娘の前で夫とのなれそめについてデレるアーリーにリリスは「その辺はまたでお願いします」と話を進めさせた。
「ああ、そうね。だからあなたのアザが治るかどうかは先に私が治療を受ければ分かると言う事になるわ」
アーリーの言葉にナナリーは「でも、男の人に触られるんだよ?」と返した。
「別に問題ないわよ。減るものでも無いし、それでアザが消えるのなら……いえ、あなたが治療を受けようと思ってくれるのならば母親である私が手本を示してあげるわ」
アーリーはそう娘に告げると、書類にサインをして「いいわ、案内して頂戴」とリリスに催促した。
◆
「――という事でまずは母親であるアーリー様のアザの治療からお願いする事になりました」
診察室へと入ってきた四人を見て、話を聞いて俺はひと言「何でそうなった?」と呟いた。
「ま、まあ理由は分かりましたので先にアーリー様の治療ですね。リリスから治療方法の説明を受けて同意書にサインを頂けてますね?」
俺がリリスを見ると彼女が頷いたので安心して治療をする準備に入った。
「では、申し訳ありませんがアザの確認をさせて頂きます。リリスの話だと、かなり際どい箇所にあると聞いていますのでシーツなどで出来る限りカバーしてください」
俺の説明に頷いたアーリーは特にためらいもなくスカートの裾を掴み、下着がギリギリ見えない位置まで捲りあげた。
ドキリ。
人妻であり、十五歳の子供のいる彼女はもちろん俺よりそれなりに年上であるが大人の魅力が十分に熟しているフェロモンが溢れていた。
これはマズい。万が一何か間違いがあれば確実に首が飛ぶ話に発展する相手だ。鋼の精神で耐えるんだ!
「あら、どうしたのかしら? もう確認は大丈夫なのかしら?」
アーリーはギルドマスターの立場にいるためかセクハラ系の耐性はもちろん依頼を達成させるためのハニートラップもこなす強者だった。
「はい。もう大丈夫ですのでスカートを下げられても大丈夫ですよ」
俺は平静を装いながらも耳を赤くし、深呼吸をひとつした。
「では、治療を開始します。アーリー様は気持ちを落ち着けて一度深呼吸をされたら患部である右足をこちらに向けてください。少々、際どい箇所に触れることになりますがご了承ください。魔法発動後は魔力の注入が始まりますので少しの間だけご協力ください」
俺はアーリーが頷くのを確認すると、そっと足に手を添えた。
「完全治癒」
魔法が発動して、魔力の注入が始まると余裕の表情をしていたアーリーの頬が少しずつ桜色に染まりだした。
「あっ? なに、これ? こそばい感じなのかしら? それとも……気持ちいい?」
アーリーは『何か』に気を持っていかれないようにしながらその正体を分析していた。
やがて魔力の注入が終わり、俺が手を離した途端に違和感も消え去ったが何とも言えない消失感が残った。
「今の感覚は……?」
アーリーの呟きにリリスが「おそらくですが彼の魔力が体に染み込む感覚だと思います」と補足した。
「ママ、それで治療は終わりなのよね? アザの方はどうなったの?」
治療を見ていたナナリーは自分が体験していない不思議な感覚の事より治療が成功しているかどうかの方が気になっていた。
「え、ええそうね。もともと痛みは無かったから見てみないと分からないわよね」
そう言いながらスカートをまくろうとしたので俺は咄嗟に後ろを向いて彼女を見ないようにした。
「か、確認は女性だけでお願いします。リリス、あとは頼んだよ」
俺はそうリリスに伝えると逃げるように診察室から出て行ったのだった。
「別の場所ですがアーリー様にも同じように生まれつきのアザがおありですよね?」
その言葉にアーリーがハッとしてリリスを睨む。
「何処でその情報を?」
「すみません。私達も守秘義務がありますので情報元は秘匿させて頂いてます」
その言葉に「なるほど」とだけ返し、続けて「ふふっ」と笑ったアーリーはリリスの言いたいことが全て理解出来たようで「いいわよ」と返した。
「ありがとうございます。では、アザの確認と治療方法への同意書へのサインをお願いしますね」
「いったい何の話をしてるのよ? 私はまだアザの治療に対して納得してないわよ!」
ナナリーはふたりのやり取りの意味が理解出来ずに自分の治療を勝手に母親が了承したと思い、慌てて否定した。
「はい。それはもちろん分かっておりますので心配なさらずとも大丈夫ですよ」
リリスがナナリーに安心するようにと伝える。
「じゃあ何のはな……し」
ナナリーがさらに説明を求めようとする前でいきなりアーリーがスカートを捲りあげて太ももをあらわにした。
「ママ!? いったい何をしてるの!?」
母親が突然起こした破廉恥な行動にナナリーは何が起きているのか分からずにただただ動揺していた。
「ほら、ナナリー。ここを見て頂戴」
そんな娘にアーリーは右太ももの内側を見るように誘導する。
「これは……」
そこにはかなり大きな黒ずんだアザが存在していた。
「あなたにも話した事は無かったけれど私にも生まれつきのアザがあったの。ただ、私の場合は普段から人には見せない場所にあったからそれほど負担にはならなかった。もちろん旦那様に告白された時にはちゃんと説明して嫌なら婚約を破棄してくださいと言ったのだけど旦那様はそれを気にしなくていいと受け入れてくれたのよ」
娘の前で夫とのなれそめについてデレるアーリーにリリスは「その辺はまたでお願いします」と話を進めさせた。
「ああ、そうね。だからあなたのアザが治るかどうかは先に私が治療を受ければ分かると言う事になるわ」
アーリーの言葉にナナリーは「でも、男の人に触られるんだよ?」と返した。
「別に問題ないわよ。減るものでも無いし、それでアザが消えるのなら……いえ、あなたが治療を受けようと思ってくれるのならば母親である私が手本を示してあげるわ」
アーリーはそう娘に告げると、書類にサインをして「いいわ、案内して頂戴」とリリスに催促した。
◆
「――という事でまずは母親であるアーリー様のアザの治療からお願いする事になりました」
診察室へと入ってきた四人を見て、話を聞いて俺はひと言「何でそうなった?」と呟いた。
「ま、まあ理由は分かりましたので先にアーリー様の治療ですね。リリスから治療方法の説明を受けて同意書にサインを頂けてますね?」
俺がリリスを見ると彼女が頷いたので安心して治療をする準備に入った。
「では、申し訳ありませんがアザの確認をさせて頂きます。リリスの話だと、かなり際どい箇所にあると聞いていますのでシーツなどで出来る限りカバーしてください」
俺の説明に頷いたアーリーは特にためらいもなくスカートの裾を掴み、下着がギリギリ見えない位置まで捲りあげた。
ドキリ。
人妻であり、十五歳の子供のいる彼女はもちろん俺よりそれなりに年上であるが大人の魅力が十分に熟しているフェロモンが溢れていた。
これはマズい。万が一何か間違いがあれば確実に首が飛ぶ話に発展する相手だ。鋼の精神で耐えるんだ!
「あら、どうしたのかしら? もう確認は大丈夫なのかしら?」
アーリーはギルドマスターの立場にいるためかセクハラ系の耐性はもちろん依頼を達成させるためのハニートラップもこなす強者だった。
「はい。もう大丈夫ですのでスカートを下げられても大丈夫ですよ」
俺は平静を装いながらも耳を赤くし、深呼吸をひとつした。
「では、治療を開始します。アーリー様は気持ちを落ち着けて一度深呼吸をされたら患部である右足をこちらに向けてください。少々、際どい箇所に触れることになりますがご了承ください。魔法発動後は魔力の注入が始まりますので少しの間だけご協力ください」
俺はアーリーが頷くのを確認すると、そっと足に手を添えた。
「完全治癒」
魔法が発動して、魔力の注入が始まると余裕の表情をしていたアーリーの頬が少しずつ桜色に染まりだした。
「あっ? なに、これ? こそばい感じなのかしら? それとも……気持ちいい?」
アーリーは『何か』に気を持っていかれないようにしながらその正体を分析していた。
やがて魔力の注入が終わり、俺が手を離した途端に違和感も消え去ったが何とも言えない消失感が残った。
「今の感覚は……?」
アーリーの呟きにリリスが「おそらくですが彼の魔力が体に染み込む感覚だと思います」と補足した。
「ママ、それで治療は終わりなのよね? アザの方はどうなったの?」
治療を見ていたナナリーは自分が体験していない不思議な感覚の事より治療が成功しているかどうかの方が気になっていた。
「え、ええそうね。もともと痛みは無かったから見てみないと分からないわよね」
そう言いながらスカートをまくろうとしたので俺は咄嗟に後ろを向いて彼女を見ないようにした。
「か、確認は女性だけでお願いします。リリス、あとは頼んだよ」
俺はそうリリスに伝えると逃げるように診察室から出て行ったのだった。



