「と、届かない……っ!」
どうも、みなさんこんにちは!
公立高校に通う花の17歳、高校2年生の岡島晴希です!
現在俺は、読みたい本が後一歩のところで届かなくて困っているところです。
なんせ俺は男のくせに身長が158センチしかない。
スニーカーをバレエシューズのようにして、自分の体を最大限に伸ばしても本棚の天板にギリギリ指をかけることが出来ず約2、3分格闘中という訳です。
高校の図書室ということもあり踏み台がなく先生にもの申そうか悩んだけど、男としてなんか負けた感じがするから言えずにいる今日この頃。
女子なら俺と同じもしくはそれ未満もの人もいるわけだから女子で誰か言ってくれないかなって思ってるけどそもそもそんなに図書室を使う人がいなかった。
使うとしたらテスト勉強のときくらいで実際に本を借りる目的で利用する人は全生徒5、600人いる中でほんの数%くらい。
そして本棚の一番上に並べられた本たちは一度も動いたことのないものばかりでほこりを被ってる。
司書の人が定期的に掃除してるらしいはらしいけどそれでも他の段の本と比べたら寂しさを感じさせる。
「もう少しぃ……」
そんな何年も動いていない本をついに動かそうとしている希少種の俺は後一歩、後少しで届かない。
これでダメだったら公民館に行こうと最後、ジャンプする勢いで手を伸ばしたとき。
「まったく、速く俺呼べばよかったのに」
「シュウ!よくここがわかったね」
背後から現れた手が自分の手にそっと重なる。
「よくわかったねって。帰ろうって言ったら図書室行くから昇降口で待っててって言ったのはるだろ」
「そうだっけ?」
「そうだよ。すぐだからってから向こうで待ってたのに全然来ないから。こんなのはるが届くわけないだろ」
「あ!決めつけはよくないよ。俺だって電車の高い方の吊り革届くんだから」
「肘伸びてるけどな」
「くっ、男のプライドってものがあるんだぞ」
「変なところにプライド持つな」
「俺にとってはだ……っ!」
大事なことなんだって、そう言おうとしたときシュウの手が俺の口を塞いだ。
言葉の出口を失った俺は、軽いパンチをシュウの腹にお見舞いしようとしたら。
「図書室だろ、ここ」
鼻と鼻が触れそうな距離まで近づいたシュウの顔にはっとして腕がたらりと垂れる。
「ごめん」
口先ではそう謝りながらも元はといえばシュウのせいじゃない?と口を膨らませた。
それを見てシュウは切れ長な目の目尻を下げてはにかんで、俺の頭を撫でた。
「ちょ、なんだよ!」
「っはは。文句は後で聞いてやるから。本、これだろ。さっさと借りてこい」
「あ、そうだった!ちょっぱやで行ってくる!」
×××
「おまたせ」
「ここは高校だよ。小学生は入っちゃだめだよ」
「1人で帰ります」
「まてまて。冗談だって、悪かった」
「コンビニでアイス奢ってくれたら許す」
「結構待ったんだからお相子だろ」
「確かに」
「素直だなぁ」
肩を並べ、俺の隣を歩くのは久瀬柊矢という幼稚園からの幼馴染み。
家が近くて暇があったら遊びに行ったり来たりして気づけば高校まで一緒に通ってる。
よくこうやって弄ってくるけど、助けてくれるし頼りになるしなんだかんだシュウ離れできてないのが現状。
小学生1年生までは俺の方が大きかったし背の順も後ろから数えた方が早かったのに、進級する度にどんどん前にいって、中学に入ったら一番前になってしまった。
俺の成長期は小学生1年生で止まったらしい。
そんな俺を余所にシュウはどんどん大きくなって今では180センチ超。
「おい、なに急に人の腹触ってんだよ」
「いやぁ、シュウ腹筋割れてるよなって。二の腕とかの筋肉もあるし」
おまけに脚長でスタイルいいし、筋肉質で細マッチョ。
それに顔はイケメンという言葉を辞書で引いたそのまんまって感じで少しムカつく。
だってそんなの勝ち組じゃん、女子にモテモテじゃん。
「えいえい」
「そんな触んなよ」
「ちょっとムカついたから。俺も筋肉ほしい」
「はるだって腹くらい割れてんだろ。細いし」
「細いのと筋肉があるのは別。誰もがシュウみたいに勝手に割れてくれましたタイプな訳じゃないんだから、ほら」
「お、おまっ!なに急に腹出してんだよ」
「触ってみなよ。ぷにってしてるから」
「はっ!?」
「ほら」
「……。肉というより骨だな」
「最近筋トレ頑張ってるんだけどな」
「とりあえず腹しまえ」
「はーい」
シュウはなぜか手で顔を隠している。
別にそんな恥ずかしがることないのに。
そしてその日は帰るまでシュウは俺の顔を見ることはなかった。
×××
背を伸ばす努力をしなかった訳じゃない。
牛乳は飲んでたし早寝早起きしてたし背が伸びるストレッチなんかもした。
でも遺伝には逆らえなくて両親共に高くないから結局身長は伸びず。
筋肉もつかず。
「岡島くんって小さくて可愛いよね」
「……小さい」
「頭なでなでしたくなっちゃう」
「……可愛い」
女子からかけられる言葉はいつもかっこいいじゃなくて可愛いで。
「岡島くんって見てるだけで癒されるね」
「え?」
「クラスの癒しマスコットみたいな」
「……マスコット?」
向けられる視線は異性ではなく犬や猫を見るときと同じで。
「岡島ばっかずりぃよな。女子に構ってもらえてさ」
「まーな。でも、ありゃしょうがないだろ。だってまぁ、可愛くない?」
「確かに可愛いのは認める」
思わぬ方向から目をつけられてるし。
終いには、授業で使う顕微鏡が重いから運んであげようとしたら。
「俺、持つよ。重たいでしょ」
「大丈夫だよ。私たちでも運べるから。声、かけてくれてありがとね」
と言われ。
俺だって普通の高校生だし、かっこいいって思われたいし、頼ってもらいたいし、恋愛とかしたいし。
身長が低いってだけでみんな可愛いってなにもできなさそうって子供扱いしてきて。
こんなの理不尽すぎるでしょ。
どうすればいいんだ?
まずは筋肉をつける?いや、でも筋肉は継続は力なりだから時間はかかるし。
格好とか、は学校制服だから変わらないし。
性格とか雰囲気、は無駄に頑張りすぎるとストレスたまって爆発するし。
考えてはボツ、考えてはボツを繰り返して結局なにも思いつかなくてスマホの中の友達に相談してみようとスマホを開く。
[かっこよくなりたいんだけどどうしたらいい?]
[かっこよくなるためにまず変えるなら①髪型②服③顔④姿勢⑤立ち回りです]
なるほど、服と顔はどうしようもない。
姿勢はもう少し背筋を伸ばして歩けばいいのか。
立ち回りはもっと頼もしそうに声をかければいいのか。
髪型、あんまり顔は見せたくないって前髪伸ばしてたけどこれは流石に伸びすぎてるかな。
モサッてるよりはすっきりしてる方がいいよね。
「例えば、シュウみたいな」
シュウみたいな……?
なぜだかよくわからないけど思い切りスマホをベッドに投げてしまった。
×××
週明けの月曜日。
ーーーーーピーンポーン。
時間は午前7時40分。
シュウは決まってこの時間に俺の家のインターホンを押しにくる。
ありがたいことに高校は徒歩圏内にあるからこの時間にでても余裕でホームルームに間に合う。
最後にワックスで毛先を整えてっと。
まずは見た目から。
ーーーーーガチャ。
「シュウ、おはよう」
どうも、みなさんこんにちは!
公立高校に通う花の17歳、高校2年生の岡島晴希です!
現在俺は、読みたい本が後一歩のところで届かなくて困っているところです。
なんせ俺は男のくせに身長が158センチしかない。
スニーカーをバレエシューズのようにして、自分の体を最大限に伸ばしても本棚の天板にギリギリ指をかけることが出来ず約2、3分格闘中という訳です。
高校の図書室ということもあり踏み台がなく先生にもの申そうか悩んだけど、男としてなんか負けた感じがするから言えずにいる今日この頃。
女子なら俺と同じもしくはそれ未満もの人もいるわけだから女子で誰か言ってくれないかなって思ってるけどそもそもそんなに図書室を使う人がいなかった。
使うとしたらテスト勉強のときくらいで実際に本を借りる目的で利用する人は全生徒5、600人いる中でほんの数%くらい。
そして本棚の一番上に並べられた本たちは一度も動いたことのないものばかりでほこりを被ってる。
司書の人が定期的に掃除してるらしいはらしいけどそれでも他の段の本と比べたら寂しさを感じさせる。
「もう少しぃ……」
そんな何年も動いていない本をついに動かそうとしている希少種の俺は後一歩、後少しで届かない。
これでダメだったら公民館に行こうと最後、ジャンプする勢いで手を伸ばしたとき。
「まったく、速く俺呼べばよかったのに」
「シュウ!よくここがわかったね」
背後から現れた手が自分の手にそっと重なる。
「よくわかったねって。帰ろうって言ったら図書室行くから昇降口で待っててって言ったのはるだろ」
「そうだっけ?」
「そうだよ。すぐだからってから向こうで待ってたのに全然来ないから。こんなのはるが届くわけないだろ」
「あ!決めつけはよくないよ。俺だって電車の高い方の吊り革届くんだから」
「肘伸びてるけどな」
「くっ、男のプライドってものがあるんだぞ」
「変なところにプライド持つな」
「俺にとってはだ……っ!」
大事なことなんだって、そう言おうとしたときシュウの手が俺の口を塞いだ。
言葉の出口を失った俺は、軽いパンチをシュウの腹にお見舞いしようとしたら。
「図書室だろ、ここ」
鼻と鼻が触れそうな距離まで近づいたシュウの顔にはっとして腕がたらりと垂れる。
「ごめん」
口先ではそう謝りながらも元はといえばシュウのせいじゃない?と口を膨らませた。
それを見てシュウは切れ長な目の目尻を下げてはにかんで、俺の頭を撫でた。
「ちょ、なんだよ!」
「っはは。文句は後で聞いてやるから。本、これだろ。さっさと借りてこい」
「あ、そうだった!ちょっぱやで行ってくる!」
×××
「おまたせ」
「ここは高校だよ。小学生は入っちゃだめだよ」
「1人で帰ります」
「まてまて。冗談だって、悪かった」
「コンビニでアイス奢ってくれたら許す」
「結構待ったんだからお相子だろ」
「確かに」
「素直だなぁ」
肩を並べ、俺の隣を歩くのは久瀬柊矢という幼稚園からの幼馴染み。
家が近くて暇があったら遊びに行ったり来たりして気づけば高校まで一緒に通ってる。
よくこうやって弄ってくるけど、助けてくれるし頼りになるしなんだかんだシュウ離れできてないのが現状。
小学生1年生までは俺の方が大きかったし背の順も後ろから数えた方が早かったのに、進級する度にどんどん前にいって、中学に入ったら一番前になってしまった。
俺の成長期は小学生1年生で止まったらしい。
そんな俺を余所にシュウはどんどん大きくなって今では180センチ超。
「おい、なに急に人の腹触ってんだよ」
「いやぁ、シュウ腹筋割れてるよなって。二の腕とかの筋肉もあるし」
おまけに脚長でスタイルいいし、筋肉質で細マッチョ。
それに顔はイケメンという言葉を辞書で引いたそのまんまって感じで少しムカつく。
だってそんなの勝ち組じゃん、女子にモテモテじゃん。
「えいえい」
「そんな触んなよ」
「ちょっとムカついたから。俺も筋肉ほしい」
「はるだって腹くらい割れてんだろ。細いし」
「細いのと筋肉があるのは別。誰もがシュウみたいに勝手に割れてくれましたタイプな訳じゃないんだから、ほら」
「お、おまっ!なに急に腹出してんだよ」
「触ってみなよ。ぷにってしてるから」
「はっ!?」
「ほら」
「……。肉というより骨だな」
「最近筋トレ頑張ってるんだけどな」
「とりあえず腹しまえ」
「はーい」
シュウはなぜか手で顔を隠している。
別にそんな恥ずかしがることないのに。
そしてその日は帰るまでシュウは俺の顔を見ることはなかった。
×××
背を伸ばす努力をしなかった訳じゃない。
牛乳は飲んでたし早寝早起きしてたし背が伸びるストレッチなんかもした。
でも遺伝には逆らえなくて両親共に高くないから結局身長は伸びず。
筋肉もつかず。
「岡島くんって小さくて可愛いよね」
「……小さい」
「頭なでなでしたくなっちゃう」
「……可愛い」
女子からかけられる言葉はいつもかっこいいじゃなくて可愛いで。
「岡島くんって見てるだけで癒されるね」
「え?」
「クラスの癒しマスコットみたいな」
「……マスコット?」
向けられる視線は異性ではなく犬や猫を見るときと同じで。
「岡島ばっかずりぃよな。女子に構ってもらえてさ」
「まーな。でも、ありゃしょうがないだろ。だってまぁ、可愛くない?」
「確かに可愛いのは認める」
思わぬ方向から目をつけられてるし。
終いには、授業で使う顕微鏡が重いから運んであげようとしたら。
「俺、持つよ。重たいでしょ」
「大丈夫だよ。私たちでも運べるから。声、かけてくれてありがとね」
と言われ。
俺だって普通の高校生だし、かっこいいって思われたいし、頼ってもらいたいし、恋愛とかしたいし。
身長が低いってだけでみんな可愛いってなにもできなさそうって子供扱いしてきて。
こんなの理不尽すぎるでしょ。
どうすればいいんだ?
まずは筋肉をつける?いや、でも筋肉は継続は力なりだから時間はかかるし。
格好とか、は学校制服だから変わらないし。
性格とか雰囲気、は無駄に頑張りすぎるとストレスたまって爆発するし。
考えてはボツ、考えてはボツを繰り返して結局なにも思いつかなくてスマホの中の友達に相談してみようとスマホを開く。
[かっこよくなりたいんだけどどうしたらいい?]
[かっこよくなるためにまず変えるなら①髪型②服③顔④姿勢⑤立ち回りです]
なるほど、服と顔はどうしようもない。
姿勢はもう少し背筋を伸ばして歩けばいいのか。
立ち回りはもっと頼もしそうに声をかければいいのか。
髪型、あんまり顔は見せたくないって前髪伸ばしてたけどこれは流石に伸びすぎてるかな。
モサッてるよりはすっきりしてる方がいいよね。
「例えば、シュウみたいな」
シュウみたいな……?
なぜだかよくわからないけど思い切りスマホをベッドに投げてしまった。
×××
週明けの月曜日。
ーーーーーピーンポーン。
時間は午前7時40分。
シュウは決まってこの時間に俺の家のインターホンを押しにくる。
ありがたいことに高校は徒歩圏内にあるからこの時間にでても余裕でホームルームに間に合う。
最後にワックスで毛先を整えてっと。
まずは見た目から。
ーーーーーガチャ。
「シュウ、おはよう」



