恋人のやり方がわからない

 次の月曜日、私の瞼は少しだけ重くなっていました。
 別に大したことではありません。悠介くんとのおでかけ……パンケーキのことを思い出していたら、いつの間にか朝になっていたというだけのことです。日曜日もあったはずなのですが。
「おはよう悠介くん」
「はよ、律……なんか元気ねえ?」
「いや……」
 あなたのことを考えていたら、眠れなくなってしまいました。
 なんて、言ってみたら、悠介くんはかわいいと思ってくれるでしょうか……。
 ……。
 いやいやいや、そんなの、私のキャラではありません……。
「ちょっと寝不足なだけ。大丈夫だから」
「本当か……?」
「本当、大丈夫だから心配しないで」
 そう言って笑ってみましたが、悠介くんはまだ首を傾げていました。それから、「なんかあったら言えよ」と、心配そうに言いました。
 心配してくれている……。
 放課後私たちは並んで帰り……久々に、悠介くんの家に行くことになりました。(先週は大半の時間を服選びに使っていたわけですから……。)
 家のドアを開けると、悠介くんのお母さんが、いつものようにヒョイっと顔を出してくれました。
「ただいま」
「お邪魔します」
 これにもすっかり、慣れました。
「お茶持ってくるから……」
 私は一人、悠介くんの部屋で待っていました。
 今日も、手を繋ぐのだろうか。
 かなり、楽しみかもしれない。
 でも、せっかくだから、今日は何か違うことをやってみたい気がする。
 デートも、楽しかったわけだから……。
 ……。
 そうだ、二人おんなじ部屋で、別々のことをやってみるのはどうだろう。
 あれって、かなり、仲の良い人同士の挙動として、よくあるやつなんじゃないか?
 ちょっと待って、今ちゃんと調べてみてから……。
「お待たせ……律?」
「わっ、悠介くん……」
「お前スマホいじってんの珍しいな」
「あ、これはね……」
 私は今考えていたことを伝えました。同じ部屋で、二人一緒にいながら別々のことをやってみるのは、世間一般でよく聞くものである……デートもうまくいったことだし、それも二人でやってみたらどうだろう、と。
 悠介くんは、「いいぜ、やってみるか」とすんなり納得してくれました。そうして私たちは、「別々に何かをやる会」を始めることにしました。