「成瀬、今度俺んち来ないか?」
お弁当の時、五十嵐くんは突然言ってきました。
「えっ」
本当に突然でした。
「嫌なら別に……」
「嫌じゃない、行きたい!」
撤回されそうになり、私は急いで言いました。勢いで大きな声が出てしまったことにはその後気づき、私は咳払いで誤魔化しました。
一方の五十嵐くんは、「本当か?」と、わかりやすく顔を明るくさせました。そうして今度は、
「今日、来るか……?」
と、やけに遠慮がちな様子で誘ってきました。
急に、遠慮がちになった……!
「うん、行きたい……!」
その後はまた、いつものように無言でした。ですが私の心臓は、ひそかに、静かに暴れていました。
付き合っている人の家……。
いや、家に行くくらい、友達同士でもやるじゃないか……。
でも、付き合っている人の家……。
五十嵐くんの、家……!
・ ・ ・
帰り道、私と五十嵐くんは並んで歩いていました。当たり前です。五十嵐くんの家に行くのですから。
「俺んち、こっちだから……」
いつものT字路を、私は初めて曲がりました。
この先に、五十嵐くんの家がある。
五十嵐くんの生活があるところに行く。そして多分、五十嵐くんと二人きりになる。
付き合っている人として。
……。
「五十嵐くん……俺、人の家行くの慣れてないから、変なことしたらごめんね……」
一体、なんの予防線でしょう。ですが五十嵐くんは、
「大丈夫だよ」
と、いつもの調子で言ってくれました。
「俺んち、別に何されても平気だから……」
「……そんなことはないよね?」
「いや、本当に……」
そんなわけはないでしょう。
ですが、今の言葉でふっと緊張が解けていきました。
そっか、何してもいいのか……なんて、素直に受け取るほど素朴ではなかったつもりなのですが。
「ここ、俺んち」
「ここが……」
五十嵐くんの家は、私の家とそう変わらない、普通の家でした。庭にチラリとバスケットゴールが見えること以外は……。
「親には友達っつった方がいいか?」
ドアを開ける直前、五十嵐くんはそんなことを聞いてきました。
「友達……」
私は意味もなく復唱しました、が……。
その単語を口にした瞬間、チクリと、胸に嫌なものが走りました。
いや、だからと言って、付き合っている人と言ってしまうのは……。
……。
「なんか恥ずかしいから、友達がいいかな」
「了解」
五十嵐くんは、特にガッカリする様子もなく受け入れてくれました。
ガッカリしない……、ガッカリしないのか……。
いや、私の方こそ、何にガッカリしているのでしょう。
お弁当の時、五十嵐くんは突然言ってきました。
「えっ」
本当に突然でした。
「嫌なら別に……」
「嫌じゃない、行きたい!」
撤回されそうになり、私は急いで言いました。勢いで大きな声が出てしまったことにはその後気づき、私は咳払いで誤魔化しました。
一方の五十嵐くんは、「本当か?」と、わかりやすく顔を明るくさせました。そうして今度は、
「今日、来るか……?」
と、やけに遠慮がちな様子で誘ってきました。
急に、遠慮がちになった……!
「うん、行きたい……!」
その後はまた、いつものように無言でした。ですが私の心臓は、ひそかに、静かに暴れていました。
付き合っている人の家……。
いや、家に行くくらい、友達同士でもやるじゃないか……。
でも、付き合っている人の家……。
五十嵐くんの、家……!
・ ・ ・
帰り道、私と五十嵐くんは並んで歩いていました。当たり前です。五十嵐くんの家に行くのですから。
「俺んち、こっちだから……」
いつものT字路を、私は初めて曲がりました。
この先に、五十嵐くんの家がある。
五十嵐くんの生活があるところに行く。そして多分、五十嵐くんと二人きりになる。
付き合っている人として。
……。
「五十嵐くん……俺、人の家行くの慣れてないから、変なことしたらごめんね……」
一体、なんの予防線でしょう。ですが五十嵐くんは、
「大丈夫だよ」
と、いつもの調子で言ってくれました。
「俺んち、別に何されても平気だから……」
「……そんなことはないよね?」
「いや、本当に……」
そんなわけはないでしょう。
ですが、今の言葉でふっと緊張が解けていきました。
そっか、何してもいいのか……なんて、素直に受け取るほど素朴ではなかったつもりなのですが。
「ここ、俺んち」
「ここが……」
五十嵐くんの家は、私の家とそう変わらない、普通の家でした。庭にチラリとバスケットゴールが見えること以外は……。
「親には友達っつった方がいいか?」
ドアを開ける直前、五十嵐くんはそんなことを聞いてきました。
「友達……」
私は意味もなく復唱しました、が……。
その単語を口にした瞬間、チクリと、胸に嫌なものが走りました。
いや、だからと言って、付き合っている人と言ってしまうのは……。
……。
「なんか恥ずかしいから、友達がいいかな」
「了解」
五十嵐くんは、特にガッカリする様子もなく受け入れてくれました。
ガッカリしない……、ガッカリしないのか……。
いや、私の方こそ、何にガッカリしているのでしょう。
