「なに」
橘がこてんと頭を斜めに傾ける。あぁ、僕なんかが話を遮ってごめんなさい。
「なんでさっきから皆さん、好きな本と、得意ジャンル?なるものを言っているんですか?」
「?」
「?」
「愛知くん。文藝部が、なにするところか、知ってる?」
「いえ。なにをする部活なんですか?」
「まじ」
「ウッソだろお前」
「なにをする部活かも知らずにあんな即決で入部を決めたの? なんていうか愛知くん、お人好しがすぎないかい」
呆れ顔の上級生三人。と、話についていけてない様子の阿良々木愛。僕、またなにかやってしまったのだろうか。
「おほんっ。文藝部というのはだな、」
袴田先輩が説明を開始する。
要約すると、文藝部とは各々自作の小説を書くことを目的とした部活らしい。また、ただ書くだけではなく作品の品評会や読書会、文章力を鍛えるための様々なイベントなども行っているという。
非常にわかりやすく整理された内容で、それだけで確かに、日々真剣に言葉を扱っているのだろうなということがうかがえる。
「ま、わからないことがあれば俺になんでも聞いてくれ」
そう言って、先輩は右手でドンと胸を叩いた。あ、ドラミングだ。
「続きやっていいっすか?」
「ああ、どうぞ」
「2―8、日下部ミツル。11月4日生まれ。好きな本は三島由紀夫の『金閣寺』。得意ジャンルは純文……」
「待って」
日下部の自己紹介に待ったをかけたのは橘。
「日下部くん、三島が好きなの? 聞いたこと、ない」
「確かに初耳だな。それに得意ジャンルも純文って言ったか? お前、去年一回も品評会参加してないのに?」
「そうだったんですか?」
阿良々木愛が疑問を口にすると、日下部は早口でまくし立てる。
「言ってなかっただけだよ。品評会もなんか気が乗らなくて参加しなかっただけで別に邪な目的で文藝部に所属してるわけじゃねぇし。なに、なんか文句あるんすか?」
「い、いや、全然いいんですけど」
あまりの勢いに押されなぜか敬語になる袴田先輩。日下部は若干赤らんだ顔であんパンにかじりつく。
「じゃ、じゃあ次は私ですね……1―4、阿良々木愛です。誕生日は4月19日。好きな本はいろいろありますけど、一番は『君の膵臓をたべたい』で、得意ジャンルとかはまだわからないですけど、その、恋愛小説を、いつか書いてみたい、なぁって……」
恋愛と自分で言った後、恥ずかしそうに目を泳がせる阿良々木愛。その様があまりに初々しかったせいか、袴田先輩と橘が「おぉ」と詠嘆に似た声を上げる。
するとそれがまた恥ずかしかったのか、阿良々木愛は話の矛先を逸らすように続ける。
「ミッくんとは幼稚園のときからの幼馴染で、今でも家族ぐるみでお世話になってます。中学三年生のとき……つまり去年ですが、私が『小説家になりたい』って言ったら『実は俺もなんだ』って。さっき話題に出てた『金閣寺』とか阿部工房の『砂の女』とか夏目漱石の『こころ』とか、いつも読んでいたイメージです。この学校に入学したいって思ったのも、ミッくんがここの文藝部に入ったって聞いたからで、」
「ほぉ」
なにやら訳知り顔で、橘がつぶやいた。
橘がこてんと頭を斜めに傾ける。あぁ、僕なんかが話を遮ってごめんなさい。
「なんでさっきから皆さん、好きな本と、得意ジャンル?なるものを言っているんですか?」
「?」
「?」
「愛知くん。文藝部が、なにするところか、知ってる?」
「いえ。なにをする部活なんですか?」
「まじ」
「ウッソだろお前」
「なにをする部活かも知らずにあんな即決で入部を決めたの? なんていうか愛知くん、お人好しがすぎないかい」
呆れ顔の上級生三人。と、話についていけてない様子の阿良々木愛。僕、またなにかやってしまったのだろうか。
「おほんっ。文藝部というのはだな、」
袴田先輩が説明を開始する。
要約すると、文藝部とは各々自作の小説を書くことを目的とした部活らしい。また、ただ書くだけではなく作品の品評会や読書会、文章力を鍛えるための様々なイベントなども行っているという。
非常にわかりやすく整理された内容で、それだけで確かに、日々真剣に言葉を扱っているのだろうなということがうかがえる。
「ま、わからないことがあれば俺になんでも聞いてくれ」
そう言って、先輩は右手でドンと胸を叩いた。あ、ドラミングだ。
「続きやっていいっすか?」
「ああ、どうぞ」
「2―8、日下部ミツル。11月4日生まれ。好きな本は三島由紀夫の『金閣寺』。得意ジャンルは純文……」
「待って」
日下部の自己紹介に待ったをかけたのは橘。
「日下部くん、三島が好きなの? 聞いたこと、ない」
「確かに初耳だな。それに得意ジャンルも純文って言ったか? お前、去年一回も品評会参加してないのに?」
「そうだったんですか?」
阿良々木愛が疑問を口にすると、日下部は早口でまくし立てる。
「言ってなかっただけだよ。品評会もなんか気が乗らなくて参加しなかっただけで別に邪な目的で文藝部に所属してるわけじゃねぇし。なに、なんか文句あるんすか?」
「い、いや、全然いいんですけど」
あまりの勢いに押されなぜか敬語になる袴田先輩。日下部は若干赤らんだ顔であんパンにかじりつく。
「じゃ、じゃあ次は私ですね……1―4、阿良々木愛です。誕生日は4月19日。好きな本はいろいろありますけど、一番は『君の膵臓をたべたい』で、得意ジャンルとかはまだわからないですけど、その、恋愛小説を、いつか書いてみたい、なぁって……」
恋愛と自分で言った後、恥ずかしそうに目を泳がせる阿良々木愛。その様があまりに初々しかったせいか、袴田先輩と橘が「おぉ」と詠嘆に似た声を上げる。
するとそれがまた恥ずかしかったのか、阿良々木愛は話の矛先を逸らすように続ける。
「ミッくんとは幼稚園のときからの幼馴染で、今でも家族ぐるみでお世話になってます。中学三年生のとき……つまり去年ですが、私が『小説家になりたい』って言ったら『実は俺もなんだ』って。さっき話題に出てた『金閣寺』とか阿部工房の『砂の女』とか夏目漱石の『こころ』とか、いつも読んでいたイメージです。この学校に入学したいって思ったのも、ミッくんがここの文藝部に入ったって聞いたからで、」
「ほぉ」
なにやら訳知り顔で、橘がつぶやいた。
