17年前の明日、僕は空の青さを知る。

 12月30日。
 残るは一人分。やっぱりどうしても彼女にだけは、他の皆とは違う形で感謝の意を示したい。

 だけど昨日自分の心にも確認したように、形見になるようなものなんてもってのほかだ。
 なにか相応しいものはないか……あっ。

 まるで天からの思し召しのように、とっておきのアイデアが降ってきた。

 ――現実では形見を遺せないなら、夢の世界(・・・・)に置いてこればいいじゃない――。

 問題は今日を含めてあと二日しか時間がないことだが、間に合うだろうか。馬鹿言え、なにがなんでも間に合わせろ愛知賢太。

 ……この忙しいのに、今日も玄関先からやいのやいの声が聞こえる。先というか、玄関中から。

「聞こえるか愛知くん! 俺たち、今日から文藝部の冬合宿なんだ……って、共有フォルダで確認済みかな? こっちは勝手に楽しくやってるから、気にしないでくれ」
「お構いなく。お母さんも、了承済み」
「あー!! めっっっっっちゃ楽しいわー!!! え、参加できない部員がいるんだって? かわいそー!!!!」
「もう、やめりんよミッくん! せんぱーい! 私たち、今日ここに泊まるから! 会えなくても、明日の夜までずっと一緒だから! これだけは絶対譲らんから!!」
「お母さんも、大富豪、やる?」
「あらいいの? じゃあ、お邪魔しちゃおうかしら」
「へぇ。手加減しませんよ、お義母さま」

 ……マジで邪魔だな、こんちくしょう。
 でも、これを書き終えるまでは羨んでいる暇なんてない。ワイワイ楽しさを装う声をBGMに、僕の指先は、ケータイ画面の上でいつまでも蛇行していた。