「あと今思えば、文藝部の皆、アンドロイドなんかを部員に誘ってくれて優しかったんだな、とか」
「最初に誘おうって言ったのはミッくんなんだよ」
「本当に?」
「後から照れ隠しに『あんなやつ誘わなきゃよかった』とか言ってたけどね」
「あー……いや、それは本心だと思う」
「? 他には?」
「さっき……と言っても愛さん的には数時間前だろうけど、続きしたかったなとか」
「バカ」
「母さんと和解?できてよかったとか」
「普通もっと怒るところだよ。というか怒りんよ。先輩は優しすぎるじゃんね」
「AI治験体で『愛知賢太』は安直すぎじゃないかとか」
「確かに。せめてもうちょっと愛情込めて名前つけろよって感じ」
「袴田先輩の合格祈願できなかったけど、大丈夫だろうかとか」
「あの人は、まぁ、落ちても自業自得だら。学校に教科書持ってこない人だし」
「来年度は橘さんが部長なんだろうけど、大丈夫だろうかとか」
「ちょっと、あの二人に対する信頼度低すぎだら」
「結局日下部くんはどのジャンル目指してるんだろうとか。純文は無理でしょ」
「ふふ……こんなにいっぱい出てきて、先輩はずいぶん感情豊かじゃんね」
「もっと皆と一緒にいたかったなとか」
「うん」
「愛さんと現実でデートできたの、結局一回だけだったなとか」
「……うん」
「あとはやっぱり、死にたくないな、とか」
「……」
愛はなにも応えなかった。きっと応えられなかったのだと思う。沈黙が残酷な意味を持ち始めた頃、愛がもう一度、僕を壊れ物のように優しく抱きしめた。すると触れあった箇所から、いろんな想いが洪水のように溢れて止まらなくなる。
――そして僕は唐突に、いとも簡単に、真理らしきものに辿り着いた。
そっか。そうだったんだ。
君が僕を想うとき。僕が君を想うとき。そして皆を想うとき。想いと想いが重なった瞬間からやっぱり「それ」は存在していたんだ。
脳でも、心臓でも、肉体でもない。君と僕の真ん中に生じた視認不能なその場所に。最初から。たぶん、きっと。
あぁ、なんて心地いいんだろう。もっとずっと君の心に触れていたい。
ずっとずっと、ずーっと。
だけど時間の流れは待ってくれない。これもまた真理だ。残されたあと一週間、僕にはやらなければならないことがある。
だから。
「愛さん。さよならだ」
「最初に誘おうって言ったのはミッくんなんだよ」
「本当に?」
「後から照れ隠しに『あんなやつ誘わなきゃよかった』とか言ってたけどね」
「あー……いや、それは本心だと思う」
「? 他には?」
「さっき……と言っても愛さん的には数時間前だろうけど、続きしたかったなとか」
「バカ」
「母さんと和解?できてよかったとか」
「普通もっと怒るところだよ。というか怒りんよ。先輩は優しすぎるじゃんね」
「AI治験体で『愛知賢太』は安直すぎじゃないかとか」
「確かに。せめてもうちょっと愛情込めて名前つけろよって感じ」
「袴田先輩の合格祈願できなかったけど、大丈夫だろうかとか」
「あの人は、まぁ、落ちても自業自得だら。学校に教科書持ってこない人だし」
「来年度は橘さんが部長なんだろうけど、大丈夫だろうかとか」
「ちょっと、あの二人に対する信頼度低すぎだら」
「結局日下部くんはどのジャンル目指してるんだろうとか。純文は無理でしょ」
「ふふ……こんなにいっぱい出てきて、先輩はずいぶん感情豊かじゃんね」
「もっと皆と一緒にいたかったなとか」
「うん」
「愛さんと現実でデートできたの、結局一回だけだったなとか」
「……うん」
「あとはやっぱり、死にたくないな、とか」
「……」
愛はなにも応えなかった。きっと応えられなかったのだと思う。沈黙が残酷な意味を持ち始めた頃、愛がもう一度、僕を壊れ物のように優しく抱きしめた。すると触れあった箇所から、いろんな想いが洪水のように溢れて止まらなくなる。
――そして僕は唐突に、いとも簡単に、真理らしきものに辿り着いた。
そっか。そうだったんだ。
君が僕を想うとき。僕が君を想うとき。そして皆を想うとき。想いと想いが重なった瞬間からやっぱり「それ」は存在していたんだ。
脳でも、心臓でも、肉体でもない。君と僕の真ん中に生じた視認不能なその場所に。最初から。たぶん、きっと。
あぁ、なんて心地いいんだろう。もっとずっと君の心に触れていたい。
ずっとずっと、ずーっと。
だけど時間の流れは待ってくれない。これもまた真理だ。残されたあと一週間、僕にはやらなければならないことがある。
だから。
「愛さん。さよならだ」
