17年前の明日、僕は空の青さを知る。

 だいぶ時間をかけて落ち着くのを待ち、ようやく次の質問に移ることができた。

 まず、なんで僕を転校させたのか。
 自分と同じような悲しい想いを愛やその友だちにさせたくなかったため、少しでも傷の浅いうちに離れさせようとしたのだと、母は白状した。

 それと僕に対しても、新しい学校の生徒には僕がAIであることは伝えず、残り少ない人生を普通の学生として謳歌してほしかったと。
 間違っていた、ごめんなさいと、また泣き崩れてしまったが。

 全く、この女の身体は身勝手でできているのか。
 間違いなく僕の母さんだなと、泣きながら思った。

 それから僕の今後の処遇について。
 本来なら16歳最後の日、すなわち12月31日に、治験体本人に対して自身が研究のために作られたAIであり明日機能停止するという真実を伝え、そのうえで最後の検査を行う予定だったらしい。
 だけど僕が今そのことを知ってしまっている時点ですでに頓挫しているし、それだけは母からの強い懇願もあり当初から免除の予定となっていたようだ。

 ちなみに免除が許された理由は、「これまで17年弱のデータ測定で『AIは感情を持ちうるか』という研究目的について、ほぼ間違いない精度の結果が出ているから」とのこと。

 持ちうるのか否か、母は結論については触れなかった。
 けれどそれは別にどうでもよかった。聞かなくとも、僕の中で答えはとっくに見つかっている。

 それと母は以前から僕の延命の道を探ってくれていたらしい。先日のいつもより長い検査は、僕のAIの脳を17年目以降も記憶の保持ができるようにできないか、調整するためのものだったそうだ。
 だけど結論から言えば、それはできないとのことだった。

 つまり僕の寿命はあと一週間。予定どおり1月1日に17歳の誕生日を迎えた瞬間、僕は機能停止する。
 
 その話をしている時の母に、もう以前までの面影は少しも残っていなかった。
 こんなに感情豊かな人だったんだと思わず微笑ましくなってしまうくらい、子供みたいにずっと泣きじゃくっていた。