17年前の明日、僕は空の青さを知る。

「あぁ、うん。ちゃんとお昼ご飯買えた?」
「は、はい。おかげさまで」
「あれ? 阿良々木ちゃんと愛知くん、知り合いだったの?」

 ガタッと椅子が激しい音を立てた。見ると、日下部が本から目を上げてこちらを凝視している。なぜ。

「いえ、知り合いというか、偶然廊下ですれ違って」
「廊下ですれ違って、なんで知り合いになってるんだよ」

 日下部が食いついてくる。だから、なぜ。

「いやあの、だから知り合いじゃなくて」
「違うんだよミッくん。愛知先輩が初めてでなにもわからなかった私に、いろいろと教えてくれたじゃんね」

 じゃんね……阿良々木愛は三河弁使いのようだ。このあたりでは珍しくもなんともないが。そしてミックン。日下部ミツルでミッくん。親しい仲なのだろうか。
 ミッくんこと日下部は、僕を呪い殺さんばかりの目でにらんでいる。ほんとに、なぜ。

「はいはい! 全員揃ったところで愛知くんの歓迎会、始めるぞ!」
「全員揃ったということは、阿良々木愛さんが例の一年生部員だったんですか」
「えっ、なんで私のフルネーム知ってるんですか……?」

 一歩後ろに下がって、阿良々木愛。

「えっ、じゃあ知られてなかったの、俺だけ……?」

 悲しそうな顔で、袴田先輩。

 そうだけど、そうじゃない。けど、どう説明してもキモくなってしまいそうなので僕は弁明することを諦めた。人間関係って難しい。皆、なんで上手くできるんだろう。