17年前の明日、僕は空の青さを知る。

 目が覚めるとそこは病院の真っ白な天井……ではなかった。そうだ。今回は病院の麻酔ではなく、愛と訪れたラブホテルで意識が途絶えたのだった。

 しかし、病院じゃなくとも目に映る天井は、非常に見覚えのあるそれだった。
 ここは僕の部屋だ。どうやら僕は狭い城の牢獄に戻ってきてしまったらしい。

「緊急停止スイッチは、普通に生活していては絶対触れないような場所に付いているの……あなたたちがどこでなにをしていたのかについては、あえて聞かないわ」
「すみません。そうしてもらえると助かります……」

 愛と……母さん? 完全に混ぜるな危険の取り合わせに加え、緊急停止スイッチ?
 いったい、なんの話をしているんだ。なんの……胸騒ぎを通り越して激しい動悸が襲い来る。

 僕は目覚めたのを悟られないよう、震えそうな息を口内にとどめ、もう一度目を閉じた。

「あなた、この子とお付き合いしているそうね? それは全て知ったうえ、覚悟のうえってことでいいのかしら?」
「はい、もちろんです。賢太さんがAIを搭載したアンドロイドだということも……17歳までしか生きられないことも、わかったうえで近づきました。好きなので」
「そう。なら私は、ずいぶんと余計なお世話を焼いてしまったようね」
「そうですね。お母さまにもなにかしら事情があったとは理解してますけど……正直、転校に関しては許してません」
「……ごめんなさい。申し開きするつもりはないわ」



 ……待て。本当に、なんの話をしている?

 僕が、AI? アンドロイド?
 ここまではギリギリ、本当にギリギリだけど、理解できる。

 ……17歳までしか生きられない、って?