気を取り直してディベートである。テーマをどうするか、とりあえずネットでオススメ例を検索してみる。
「おい皆、こんなのはどうだ? 『バナナはおやつに入るか』」
「興味ないっす。却下」
「『甘党か辛党か』とかはどうですか?」
「議論の余地、なし。却下」
「『女子の髪は長いほうがいいか、短いほうがいいか』」
「部室が荒れそうだから却下で」
「『付き合うなら、お互い知り尽くした幼馴染か、それとも、全く新しく出会っ」
「却っ下ぁっ!」
なかなかちょうどいいやつが見つからずにいるとき、僕はたまたま目に留まったテーマ例をつぶやく。
「『人工知能は感情を持ちうるか』、か」
ひとりごとのつもりだったが、部室のざわめきが緩やかに減速してゆく。最初に反応したのは日下部だった。
「そんな答えのわかりきってること、つまんねぇよ。却下」
「同じく。時間の、無駄」
橘も続く。そこまで言わなくてもとしょげていると、袴田先輩がなぜか妙に真剣な面持ちで口を開く。
「いや、俺はこのテーマ、いいと思う」
「部長?」
「マジで言ってんすか?」
「二人はどう思う? 阿良々木ちゃん、愛知くん」
水を向けられた僕たちに、なぜか日下部と橘の視線が鋭く刺さる。
「私はやりたいです。このテーマで」
「愛知くんはどうだ?」
「言い出しっぺですし、全然」
「3対2、多数決で決まりだな。なぁに! 小説を書く練習なんだから、気楽にやればいいさ」
チームはいつもの役割決めよろしく、名称不明のグーとパーのやつでやることになった(袴田先輩は今回、審判役をすることになったので不参加)。
日下部のやつ、また手を交差して組んでからクルッて捻って中を覗くのをやっている。と思ったら愛と橘まで。謎の真剣具合に困惑しつつ、僕も一応同じようにやってみる。
結果、愛・橘チームと日下部・僕チーム。男女に分かれる平和な形になった。
そこからさらにホワイトボードにあみだくじを書いて、ランダムで肯定派と否定派に振り分ける。
今回は愛と橘のチームが肯定派、すなわち「人工知能は感情を持ちうる」派、日下部と僕が否定派「人工知能は感情を持ちえない」派に決まった。
直感だが、これは僕たちのチームのほうが若干有利だ。そもそも僕自身、感情のないAIになりたいと思っていた黒歴史があるのだから、本音とも一致する。
自信を持ってすでに本気の理論を組み立て始めていたところに、袴田先輩から詳細なルールが説明される。
発言は挙手制。特に制限時間は設けず、立論・反駁などの正式な手順も踏まない。「遊びみたいなものだから」と先輩。
なら、こんなところで積極的に僕の悪いところ出して引かれてもなんだなぁと、一旦理論を解体する。その場その場で相手の意見に異を唱えるぐらいの感じでいこう。
ってな緩い具合で、いよいよディベート開始!
「はい!」
「はい、阿良々木ちゃん!」
「AIに感情はありまぁす!」
「同意。議論終了」
「おい皆、こんなのはどうだ? 『バナナはおやつに入るか』」
「興味ないっす。却下」
「『甘党か辛党か』とかはどうですか?」
「議論の余地、なし。却下」
「『女子の髪は長いほうがいいか、短いほうがいいか』」
「部室が荒れそうだから却下で」
「『付き合うなら、お互い知り尽くした幼馴染か、それとも、全く新しく出会っ」
「却っ下ぁっ!」
なかなかちょうどいいやつが見つからずにいるとき、僕はたまたま目に留まったテーマ例をつぶやく。
「『人工知能は感情を持ちうるか』、か」
ひとりごとのつもりだったが、部室のざわめきが緩やかに減速してゆく。最初に反応したのは日下部だった。
「そんな答えのわかりきってること、つまんねぇよ。却下」
「同じく。時間の、無駄」
橘も続く。そこまで言わなくてもとしょげていると、袴田先輩がなぜか妙に真剣な面持ちで口を開く。
「いや、俺はこのテーマ、いいと思う」
「部長?」
「マジで言ってんすか?」
「二人はどう思う? 阿良々木ちゃん、愛知くん」
水を向けられた僕たちに、なぜか日下部と橘の視線が鋭く刺さる。
「私はやりたいです。このテーマで」
「愛知くんはどうだ?」
「言い出しっぺですし、全然」
「3対2、多数決で決まりだな。なぁに! 小説を書く練習なんだから、気楽にやればいいさ」
チームはいつもの役割決めよろしく、名称不明のグーとパーのやつでやることになった(袴田先輩は今回、審判役をすることになったので不参加)。
日下部のやつ、また手を交差して組んでからクルッて捻って中を覗くのをやっている。と思ったら愛と橘まで。謎の真剣具合に困惑しつつ、僕も一応同じようにやってみる。
結果、愛・橘チームと日下部・僕チーム。男女に分かれる平和な形になった。
そこからさらにホワイトボードにあみだくじを書いて、ランダムで肯定派と否定派に振り分ける。
今回は愛と橘のチームが肯定派、すなわち「人工知能は感情を持ちうる」派、日下部と僕が否定派「人工知能は感情を持ちえない」派に決まった。
直感だが、これは僕たちのチームのほうが若干有利だ。そもそも僕自身、感情のないAIになりたいと思っていた黒歴史があるのだから、本音とも一致する。
自信を持ってすでに本気の理論を組み立て始めていたところに、袴田先輩から詳細なルールが説明される。
発言は挙手制。特に制限時間は設けず、立論・反駁などの正式な手順も踏まない。「遊びみたいなものだから」と先輩。
なら、こんなところで積極的に僕の悪いところ出して引かれてもなんだなぁと、一旦理論を解体する。その場その場で相手の意見に異を唱えるぐらいの感じでいこう。
ってな緩い具合で、いよいよディベート開始!
「はい!」
「はい、阿良々木ちゃん!」
「AIに感情はありまぁす!」
「同意。議論終了」
