「この後まだ時間ある? 観たい映画があるじゃんね」
そういえば、このモールは別棟に映画館もあったんだっけ。うんと応えると、愛はケータイをちょちょいと操作して、画面をこちらに向けてくる。
「この映画なんだけど、ね?」
反射でブッと息を拭き出す。タイトルが甘い、甘すぎる! キャラメルマキアートよりも! 観なくても、めちゃくちゃ恥ずかしい映画であることが容易に想像できる。
「えっと、その」
「観よ?」
「は、はい」
観念した僕は、顔の熱を冷ますように残ったドリンクを一気に飲み干した。女神に小首を傾げられて、断れる人類などこの世にいないのだ。
愛は「まだ時間あるんだから、ゆっくりしりんよ」とけたけた笑っていた。
さらに一時間ほど時間を潰した後、映画館に移動するため愛は読みかけの本を購入し、僕は10冊全て覚えてから購入せず元の位置に返却した。
「本屋の敵」
愛が僕の脇腹を肘で小突く。面白い返し一つ思い浮かばず、苦し紛れに「いつもごめんなさい」と謝ると、「私は本屋じゃありません」と言われた。
はぁ? 可愛いんだが。好き。
映画館に着いたら思いのほか時間がギリギリで、僕がフード担当、愛がチケット担当で分担することにした。
「なにかしょっぱいもの!」という橘風要望に応え、ポップコーンの塩味と適当なドリンクを購入して愛を待つ。
「お待たせ!」
「待ってないよ。僕も今着いたとこ」
「だろうね」
どうでもいいことで笑い合って、カップル席のチケットを係員に……へ? カップル席??
「ここしかいい席空いてなかったの!!」
言い訳するように愛は言う。確かに、館内の真ん中あたりの席はだいたい埋まっているようだけど……いいのだろうか? カップルでもないのにカップル席を利用して、なにかの法律に抵触したりしないのかな?
「いいじゃん、だって……」
その先の言葉はもごもごと濁されてしまった。だって、なんだろう。もうそういう関係みたいなもんだし……なんて自惚れきるにはまだ「資料」が足りない。
そういえば、このモールは別棟に映画館もあったんだっけ。うんと応えると、愛はケータイをちょちょいと操作して、画面をこちらに向けてくる。
「この映画なんだけど、ね?」
反射でブッと息を拭き出す。タイトルが甘い、甘すぎる! キャラメルマキアートよりも! 観なくても、めちゃくちゃ恥ずかしい映画であることが容易に想像できる。
「えっと、その」
「観よ?」
「は、はい」
観念した僕は、顔の熱を冷ますように残ったドリンクを一気に飲み干した。女神に小首を傾げられて、断れる人類などこの世にいないのだ。
愛は「まだ時間あるんだから、ゆっくりしりんよ」とけたけた笑っていた。
さらに一時間ほど時間を潰した後、映画館に移動するため愛は読みかけの本を購入し、僕は10冊全て覚えてから購入せず元の位置に返却した。
「本屋の敵」
愛が僕の脇腹を肘で小突く。面白い返し一つ思い浮かばず、苦し紛れに「いつもごめんなさい」と謝ると、「私は本屋じゃありません」と言われた。
はぁ? 可愛いんだが。好き。
映画館に着いたら思いのほか時間がギリギリで、僕がフード担当、愛がチケット担当で分担することにした。
「なにかしょっぱいもの!」という橘風要望に応え、ポップコーンの塩味と適当なドリンクを購入して愛を待つ。
「お待たせ!」
「待ってないよ。僕も今着いたとこ」
「だろうね」
どうでもいいことで笑い合って、カップル席のチケットを係員に……へ? カップル席??
「ここしかいい席空いてなかったの!!」
言い訳するように愛は言う。確かに、館内の真ん中あたりの席はだいたい埋まっているようだけど……いいのだろうか? カップルでもないのにカップル席を利用して、なにかの法律に抵触したりしないのかな?
「いいじゃん、だって……」
その先の言葉はもごもごと濁されてしまった。だって、なんだろう。もうそういう関係みたいなもんだし……なんて自惚れきるにはまだ「資料」が足りない。
