「おい、どういうつもりだよ。俺はもうお前と話すことなんて、」
「僕はある。日下部くんに話すこと」
トイレの隣という愛の告白をするにはいささか香ばしすぎる場所で、僕は日下部と向かい合った。
もちろんそんなものじゃないと日下部もわかっているから、早くしろ、邪魔をするなとイライラしているのが見て取れる。
今から言うことは全て、僕の僕による僕のための身勝手な言葉だ。身勝手ついでにゆっくりと時間をかけ、最後の美味しい空気を堪能する。
「本心で話すよ。僕はたぶん、日下部くんほど阿良々木愛さんのことを知らないし、大きな感情も、まだ持ってないと思う」
「……」
「きっと日下部くんのほうが阿良々木愛さんのことを想ってるし、僕より彼女を幸せにすることができると思う。
そのうえで言うよ。僕は、阿良々木愛さんを君に渡したくない。君にはまだ敵わないとしても……僕も阿良々木愛さんが好きだから」
日下部は一瞬目を見開いた後、どこか満足そうにフッと笑みをこぼした。
「それでやることが告白の阻止か。なかなかいい性格してるな、お前」
「ごめんよ、ずるくて。後でいくらでも罵ってくれ」
「フン、別にいいさ。お前も結局告白できたわけじゃ……」
「言ったでしょ。僕はずるいんだ」
いぶかしげな日下部の前で、ポケットからケータイ取り出し、操作する。
送信ボタンを押した後、僕は震える声で第四ラウンド勝利を宣言をした。
「告白なら、今、したよ」
/
日下部との話を終えて皆のところに戻ると、阿良々木愛の姿がない。僕たちの目配せから意図をくみ取り、袴田先輩が教えてくれる。
「阿良々木ちゃんならトイレに行くって」
「は? 見てないっすけど」
「? なんで日下部くんが、愛ちゃんがトイレ行ってないこと、知ってるの? ……うわぁ」
「違う。引くな橘。俺たち今までトイレの横で話してたんだよ。で、愛が来るところなんて見なかったから」
「!? 大事な話があると、言って、二人でトイレに? うわぁ、うわぁっ!」
「興奮もすんな。お前が期待してるようなことはなにもねぇ」
このタイミングで離席したということはおそらく、阿良々木愛は僕からのメッセージを受け取ったのだろう。さっき、日下部と話している途中に僕は阿良々木愛にLINEでこう送った。
『リレー小説更新したよ。できれば、今すぐ読んでほしい』と。
僕は頭の中で一字一句違わず思い浮べる。僕が卑怯にも直接伝えずリレー小説に託した、阿良々木愛への恋文を。
「僕はある。日下部くんに話すこと」
トイレの隣という愛の告白をするにはいささか香ばしすぎる場所で、僕は日下部と向かい合った。
もちろんそんなものじゃないと日下部もわかっているから、早くしろ、邪魔をするなとイライラしているのが見て取れる。
今から言うことは全て、僕の僕による僕のための身勝手な言葉だ。身勝手ついでにゆっくりと時間をかけ、最後の美味しい空気を堪能する。
「本心で話すよ。僕はたぶん、日下部くんほど阿良々木愛さんのことを知らないし、大きな感情も、まだ持ってないと思う」
「……」
「きっと日下部くんのほうが阿良々木愛さんのことを想ってるし、僕より彼女を幸せにすることができると思う。
そのうえで言うよ。僕は、阿良々木愛さんを君に渡したくない。君にはまだ敵わないとしても……僕も阿良々木愛さんが好きだから」
日下部は一瞬目を見開いた後、どこか満足そうにフッと笑みをこぼした。
「それでやることが告白の阻止か。なかなかいい性格してるな、お前」
「ごめんよ、ずるくて。後でいくらでも罵ってくれ」
「フン、別にいいさ。お前も結局告白できたわけじゃ……」
「言ったでしょ。僕はずるいんだ」
いぶかしげな日下部の前で、ポケットからケータイ取り出し、操作する。
送信ボタンを押した後、僕は震える声で第四ラウンド勝利を宣言をした。
「告白なら、今、したよ」
/
日下部との話を終えて皆のところに戻ると、阿良々木愛の姿がない。僕たちの目配せから意図をくみ取り、袴田先輩が教えてくれる。
「阿良々木ちゃんならトイレに行くって」
「は? 見てないっすけど」
「? なんで日下部くんが、愛ちゃんがトイレ行ってないこと、知ってるの? ……うわぁ」
「違う。引くな橘。俺たち今までトイレの横で話してたんだよ。で、愛が来るところなんて見なかったから」
「!? 大事な話があると、言って、二人でトイレに? うわぁ、うわぁっ!」
「興奮もすんな。お前が期待してるようなことはなにもねぇ」
このタイミングで離席したということはおそらく、阿良々木愛は僕からのメッセージを受け取ったのだろう。さっき、日下部と話している途中に僕は阿良々木愛にLINEでこう送った。
『リレー小説更新したよ。できれば、今すぐ読んでほしい』と。
僕は頭の中で一字一句違わず思い浮べる。僕が卑怯にも直接伝えずリレー小説に託した、阿良々木愛への恋文を。
