***
サヴァン症候群って知っているかい? いや、知らなくてもいいよ。僕にはそのサヴァン症候群に伴う圧倒的な記憶能力があるとだけ、今は知っておいてくれれば。
愛子さんも知ってるだろ? 僕はどんなことでも、一度見聞きしたら忘れることはない。気持ち悪いぐらいに。でも自分ではそれが「気持ち悪いこと」だという実感が全然なかったんだ。
僕はテストでほとんど100点しか取ったことがない。自慢に聞こえるかい? でも、それで得したことなんて一度もないんだよ。
友だちだった人たちからは化物を見るような目を向けられた。先生からも。親には一度もテストで褒めてもらえた記憶はないな。僕の記憶にないんだから、一度もないってことさ。
だけどね、僕が傷付いている原因はたぶんこの記憶力のせいじゃないんだ。僕の苦しみは全部、他人の心を慮れない僕自身のせい。
中学一年生のとき。勉強で悩んでいるクラスメイトに解き方を教えようとして「その問題は簡単だよ」と言ってしまった。
中学二年生のとき。画家を目指している女の子が葛藤の果てにAIに手を出しているのを知って「そんなもの安易に使っちゃダメだよ」と言ってしまった。
高校一年生のとき。友だちがなかなかできない子を捕まえて「僕と同じだね」と言ってしまった。
気付いてないだけできっと、他にもたくさん。人を傷つけた分だけ自分に返ってきているだけなんだ。
……ほら、今もこうやって愛子さんを困らせてる。
自分でもわかってる。ごめんね。でも、止められないんだ。僕は人の温もりを知りたい。
愛子さんは僕のことを自分と「同じ匂い」だと言ってくれた。そんなことないよ。君は自分自身の「恋心」という感情に鈍いだけ。
僕は逆。いつも自分のことばかりで、人の感情を蔑ろにしてる。
気を遣ってくれてありがとう。そしてそんな君の優しさを利用する卑怯な僕で、ごめん。
***
感情のままに書き殴った文章はグチャグチャで、とても小説と言える代物ではない。ただの愛知賢太の独白だ。第三走者が盛大にずっこけてしまった。
共有のWordファイルに上書き保存はしたけれど、阿良々木愛への報告はやめておいた。テストが終わればまた部室に行ける。それまでの辛抱。
……全く、いつから僕はこんなに辛抱弱くなってしまったのだろう。
サヴァン症候群って知っているかい? いや、知らなくてもいいよ。僕にはそのサヴァン症候群に伴う圧倒的な記憶能力があるとだけ、今は知っておいてくれれば。
愛子さんも知ってるだろ? 僕はどんなことでも、一度見聞きしたら忘れることはない。気持ち悪いぐらいに。でも自分ではそれが「気持ち悪いこと」だという実感が全然なかったんだ。
僕はテストでほとんど100点しか取ったことがない。自慢に聞こえるかい? でも、それで得したことなんて一度もないんだよ。
友だちだった人たちからは化物を見るような目を向けられた。先生からも。親には一度もテストで褒めてもらえた記憶はないな。僕の記憶にないんだから、一度もないってことさ。
だけどね、僕が傷付いている原因はたぶんこの記憶力のせいじゃないんだ。僕の苦しみは全部、他人の心を慮れない僕自身のせい。
中学一年生のとき。勉強で悩んでいるクラスメイトに解き方を教えようとして「その問題は簡単だよ」と言ってしまった。
中学二年生のとき。画家を目指している女の子が葛藤の果てにAIに手を出しているのを知って「そんなもの安易に使っちゃダメだよ」と言ってしまった。
高校一年生のとき。友だちがなかなかできない子を捕まえて「僕と同じだね」と言ってしまった。
気付いてないだけできっと、他にもたくさん。人を傷つけた分だけ自分に返ってきているだけなんだ。
……ほら、今もこうやって愛子さんを困らせてる。
自分でもわかってる。ごめんね。でも、止められないんだ。僕は人の温もりを知りたい。
愛子さんは僕のことを自分と「同じ匂い」だと言ってくれた。そんなことないよ。君は自分自身の「恋心」という感情に鈍いだけ。
僕は逆。いつも自分のことばかりで、人の感情を蔑ろにしてる。
気を遣ってくれてありがとう。そしてそんな君の優しさを利用する卑怯な僕で、ごめん。
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感情のままに書き殴った文章はグチャグチャで、とても小説と言える代物ではない。ただの愛知賢太の独白だ。第三走者が盛大にずっこけてしまった。
共有のWordファイルに上書き保存はしたけれど、阿良々木愛への報告はやめておいた。テストが終わればまた部室に行ける。それまでの辛抱。
……全く、いつから僕はこんなに辛抱弱くなってしまったのだろう。
