17年前の明日、僕は空の青さを知る。

「「リレー小説?」」

 僕と阿良々木愛の声が重なる。
 聞くに、リレー小説とは複数人が順番に文章を書いて一つの物語を完成させる手法のことらしい。今回の場合、僕→阿良々木愛→僕→阿良々木愛と二人でリレーのように繋いで書いていくこととなる。
 事前にストーリーを打ち合わせせずに書くので、メンバーのアドリブ性で物語が好き勝手に流動していくのが難しい点であり、また醍醐味でもあるのだとか。

 なるほど、やはり文藝部部長らしく簡潔でわかりやすい説明だ。じゃなくて。

「なんで僕と阿良々木愛さんが、その、リレー小説を?」
「伝統なんだよ。新入部員の男女が二人一組でリレー小説を書く。去年も橘と日下部でやったよな?」
「うん。日下部くんが、ワンラリーで完結させちゃったけど。超短編」
「なんですかその変な伝統は」
「うちの部は発足当時出会い系の部活でな。そのときの名残らしい。今は至って真面目に小説書いてるけど」
「出会い系? 文藝部が? テニス部とかギター部じゃなくて?」
「すげぇなこいつ、一言で文藝部とテニス部とギター部を敵に回したぞ」

 なにはともあれリレー小説も書くことになった。
 伝統ならしかたない。日下部が般若の形相だったけれど、しかたない。

「よろしくお願いします、愛知先輩」

 阿良々木愛は品評会の話のときとは打って変わって和やかな表情だ。リレー小説は他の部員に公開する必要はないらしく、要するに、共同作者二人だけの秘密にできるから大きなプレッシャーがないのだろう。
 僕自身もそれは気楽ではあるが、阿良々木愛的には本音はもっとまともな男と秘密を共有したかったんじゃないかと勘繰ってしまう。それこそ日下部とか。

 だから、なにを期待しているのかほんの少しだけ高鳴っている自分の胸が、浅ましくて気持ち悪い。