17年前の明日、僕は空の青さを知る。

 最近、とあるWeb小説が物議をかもしている。某小説投稿サイトの片隅でひっそりと公開されているその作品が注目を集める理由は、主に三つ。

 一つ。純粋に恋愛小説として完成度が高く、泣けると評判であること。
 二つ。その小説の筆者が弱冠一七歳の少女であること。
 三つ。筆者がその小説を「AI生成作品」であると公言したこと。

 公開された当時、ネットの海の底に静かに埋没しほとんどの読者に見向きもされなかったその作品は、ひとたび発見されると日を追うごとに界隈で話題となり、拡散が繰り返され、とうとう有名作家や編集者たちの目に留まるに至った。
 当初、多くの人々が一七歳という新進気鋭の才能を歓迎し、絶賛し、書籍化のオファーも殺到したという。

 しかしその段階になって初めて、筆者は当該作品が本文の多くの部分をAIによって生成した、いわゆるAI生成作品であることを公にしたのだ(そのサイトには現在もまだAI生成を明記する義務や、タグ付け機能等が実装されていない)。

 AI生成作品であることがわかった途端、当該作品を取り巻く風向きは大きく変わった。



「はい、解散」
「どれだけ面白いって言われててもAI作品って知った瞬間に読む気なくなったわ」
「とんでもない天才が出てきたかと思ったけど結局インチキかよ」
「というかそもそも、途中で読んだことあるようなシーン出てきたんだけど」
「まるっきり名作小説のパクリの箇所とかあったよな」
「あとは際どいエロ描写で釣ってるだけ」
「でもさ、AIをそこまで使いこなせてるならそれはそれですごくね?」
「他のAI小説と差別化できてるってことは、プロンプトからして違うんだろう」
「でもそれってもう小説が上手いのとは別の能力じゃん」
「面白ければなんでもいいって人もいるんでしょ。俺は読まないけど」
「AI作品だって正直に名乗り出たことは評価に値する。それだけ」
「AI作家ってどういうつもりで機械に文章書いてもらってんの? そんなのもう自分の作品じゃないし、ただ売れたいだけじゃん」
「これからはそういう時代なんでしょ。先駆的な存在として私は良いと思う」
「面白かったです」
「事実としてAIのほうが文章優れてるんだし、むしろ人の手で書く意味ある?」



 このように様々な議論がなされているが、少なくとも手放しで称賛するムードではなくなった。実際、現在は書籍化の話も一旦全て白紙に戻ったと聞く。

 なぜ一七歳の若き作家はAI利用に走ったのか。これは時代の転換点か、それとも……