銀杏並木の毒舌な隣人たち

 そこの店先につるされたカゴの中では、一羽の鮮やかな小鳥が鳴いている。

 カゴの枠の金網を飛んでは止まり、飛んでは止まりと繰り返していた。

(小鳥か……。私ももし飼ったら、少しは癒やされるのかしら)

 寂しさを紛らわせるように、興味を示してしばらく見つめていると、あれほど小刻みに首を動かしていた小鳥だったが、麻美子の視線に気づくと、その動きをピタリと止めた。

 すると、それまで心地よく聞こえていたその鳴き声が、次第に、生意気な女の言葉のように聞こえ始めた。

「私は贅沢よ。ここにいれば外敵に襲われはしないし、食事だっていただけるわ」

 麻美子は思わず、カゴに近づけていた顔をのけぞるようにして遠ざけた。

 そんな彼女の動揺をあざ笑うかのように、小鳥は何事もなかったかのように悠然と毛づくろいをしながら、カゴの外にいる麻美子を見下すように言った。

「貴方はかわいそうね。これからも生きるために、働き続けなきゃいけない。起きて働き、寝るだけ。それの繰り返し……それに比べれば、私はとても贅沢よ」

 麻美子は、あまりにも自分勝手で狭いその理屈に、思わず鼻で笑ってつぶやいた。

「……何が贅沢よ。あんた、カゴの中じゃない。どこにも行けないじゃない」

 自由を失っている。そう突きつけた麻美子の言葉に、小鳥は羽を激しく震わせ、鋭い声で言い返した。

「うるさいわね、フラれた女!」

 その言葉の(つぶて)に、麻美子はのけぞった。