どうみても両思いな幼馴染ズ

 ピチチチ、とどこかで鳥が鳴いた。朝だ。
 
 「んん……」

 赤羽弾は重い体をゆっくりと起こし、しばしぼんやりとする。昨夜は遅くまでゲームをしていたから寝不足だ。

 (やばい、もっかい寝たい……)

 ガチャ

 「おはよ」
 
 「ぅお」

 突如ドアを開けて入ってきた人物に、弾は心臓の音が一段階速くなるのを感じた。

 「何そのリアクション」

 目の前で爽やかに笑っているイケメン。彼こそが弾の長年の幼馴染であり、想い人である白河優弥だ。

 「…‥何でもねえよ。つかなんでいるんだよ」

 「おばさんに起こしてやってくれって頼まれたからだけど?」

 「……」

 何百回も繰り返したやりとり。そう、弾は朝が弱いのだ。

 でもいつまで経っても慣れない、恥ずかしい。

 弾は、完璧な笑顔を浮かべている優弥を恨みがましく見つめた。

 「だんー」

 歩み寄ってくる優弥。比例して胸が苦しくなる。

 この距離を許されているのは嬉しいはずなのに。けどそれは、優弥にとって弾がそういう対象ではないことを示しているのと同じだから。自覚するたび虚しくなる。

 俯いた弾の頭に、ぽん、と手が乗った。そのまま優しく髪をすかれる。

 「昨日夜更かししたでしょ」

 「あぁ……ゲームしてた」

 その真相が、優弥のことを考えていたら苦しくなって逃避した先だったと知ったら、彼はどんな顔をするだろうか。いや、口が裂けてもそんなことは言えないが。

 「今日は早く寝な」

 最後に軽くぽんぽん、と触れて優弥は離れていった。

 もう少しだけ撫でていて欲しかった。つい口に出そうになり慌てて抑える。

 そんなこと、駄目に決まっている。弾と優弥は幼馴染で、親友なのだから。

 間違っても願ってはいけない。

 「弾、行こ」

 ドアの先で振り返った幼馴染を見て、弾は人知れず溜息をついた。

 己の叶わぬ恋を想いながら。