ある日氷点下の幼馴染が、もらってやると言ってきた。

 平凡な高校2年生・日向陽には、マンガから飛び出してきたみたいなイケメンの幼馴染がいる。

 ーただし、すっごいクールだけど。


 ◇◇◇
 ピチチチ

 外で鳥の囀る音が聞こえ、俺はうっすらと目を開けた。

 「んんん……」

 どうして朝ってのはこんなに眠いものなんだろうか。どんな天才学者でさえも解き明かせない謎だ。

 「ふぁ……もうちょっと寝よ……」

 「寝んな」

 布団をかけ直したその時、それをバサっと容赦なく剥ぎ取る者がいた。

 「!ややっ、何者」

 「何寝ぼけたこと言ってんだよ」

 はあ。やっぱりか。

 「氷河ー寝起きの人間にはもうちょっと優しくしろよ」

 「無理」

 氷河とは、陽のイケメン幼馴染である。10センチの距離にそれはそれは輝かしい御尊顔がある。

 「朝からギラギラしてんなー氷河は」

 俺はその眩さから逃れるように目を細めた。

 十数年も一緒にいたのに、この顔面の差はなかなか酷い。

 朝からブツブツと不満を垂れる俺。

 すると、氷河は思考を読み取ったようににっこり笑って、

 「それな」

 「あ、処刑決定ー学校まで俺の荷物を持つ刑に処す」

 「いつもやってるが?」

 「そうでした」

 てへぺろ⭐︎と舌を出して見せると、冷たく言い放たれた。

 「俺、陽のお世話係じゃないんだけど」

 「そんなこと言わないでくれよおお」

 俺たち幼馴染だろー?、と下から覗き込む。

 氷河はなんだか難しい顔をしていた。

 やばい、甘えすぎた?

 「冗談ですよー流石にこのままじゃお嫁に行けないし」

 そろそろやばいと感じた俺はそそくさベッドから降り、部屋着を脱ぎ捨てる。

 そのでも氷河は黙ったまま。

 異変を感じて、

 「おい、そこはお前が嫁なんかいって突っ込まんかい」

 ヘラっと笑いながら振り返った、その瞬間。
 
 ーバアン!
 
 ものすごい勢いで、顔の横に手が叩きつけられた。