スペースシップの外部を映し出すモニターには、上空からの天下原市の映像が映し出されている。天下原市は、東部が海に面しているこぢんまりした街だ。
沿岸部には家々や店が集中し、人気の少ない西部には森に囲まれた小さな湖がある。
良い街だ。
「もうすぐ着陸だよアハニア」
ヘイリーは、まだ身支度を整えている同乗者に声を掛けた。
「これ、怖がられないか?」
アハニアは、前時代的な宇宙服を着ていた。
2メートルは優に超える長身。白くてずんぐりしたスーツに、丸っこいヘルメットを被っている。その半透明のヘルメットの中は空洞だ。
おまけに,声は女性の自動音声だ。
これから対面するのは18歳の地球生まれ、地球育ちの少女。怖がるなと言っても難しいだろう。
「君の正装の方が怖がられると思うよ」
「そうか?」
「うん。あれなんか、SF映画の悪役みたいだ」
アハニアの種族の正装は、人間の形とはかけ離れている。前衛芸術の彫刻のように鋭く、正気を失ったような形をしている。
「お前の方こそ、この間見たドラマの悪徳弁護士みたいだぞ」
「そんなにかっこいいかな」ヘイリーは笑った。
「地球人の美醜はよくわからん」

