私は誇り高きブルースター家の現当主、マリア・ブルースター。
代々続く名門の血を引き、夜の世界を統べる者としての威厳を背負っている。この屋敷の空気は、いつだって静謐で、重厚で、そして私にふさわしい。
今日も私は、人間の生き血……
「あっ、マリア様……」
夜になったしなんとなく外に行こうかと思って門の近くへ行くと、メイラが何かを後ろ手に隠した。
「メイラ……」
「はい!なんでしょうか、マリア様!」
「今、あなた何を隠したの?」
「お菓子です!」
「……素直で結構」
なんで仕事をサボっていると言うのにこんなに威勢よく言えるのかしら……。本当に謎だわ。減給される可能性もあるというのに。
「なんで仕事中にお菓子とか食べているのかしら?」
「お月見……しようと思って」
「月見の時は餅ではないの?」
すると、メイラはにこっと笑って自分の背後を示す。
「フローラ様はお餅が苦手ですので!」
そこには、両手で抱えきれないほどのお菓子を持ったフローラが立っていた。
「えっと……どういうことかしら」
「はい、先ほどなのですが……
私が一眠りを終え、業務に入った時なのですが、今日は綺麗な、満月の1日前だと言うことに気がついたんです。
「今日は月が綺麗だなぁ……。そうだ!お月見でもしようかな」
そう言った時、後ろからがサッと音がしたんです。
「メイラ!私と一緒にお月見しましょ!」
「フローラ様!」
フローラ様が、閉じた門の上に尻尾でぶら下がって、たくさんのお菓子を持って私に話しかけてきたのです」
なんで寝てるのよ。
……というか、フローラが、メイラに、ねぇ……。私を差し置いて?二人で月見?私のかわいいかわいいフローラと二人きりだなんて、許せないわ!
私は眉を顰めて翼を広げる。
「そ、それで、私は初め断ったんです。
「いけません、フローラ様。私は業務中です。すみません」
と言うように」
あら、断ったのね。ならいいわ。私は翼を折りたたんで話の続きを聞く。
「そうしたら、フローラ様が泣きそうな顔になってしまいまして」
反射的に翼がバサッと開く。何勝手に私の大事な妹泣かせてるのよ!コイツ、クビにしようかしら……。
「そこで、私は宥めて一緒にお月見することになったんです。その……マリア様も一緒にどうですか?」
私は腕を組んで言う。
「そうね……。たまには休むことも大切ね。いいわ、特別に一緒に月見をしてあげてもいいわよ」
メイラは、私の様子を見て、ほっと胸を撫で下ろす。……私、何かしたかしら。
「ではマリア様!フローラ様がレジャーシートを持ってきてくださいましたから、一緒に座って食べましょう」
「ええ、もちろん。でも、貴女……」
そう言って、座り込んだメイラに耳打ちをする。
「次フローラを泣かせたらタダじゃおかないわよ」
メイラは、コクコクとものすごい勢いで頷く。すると、フローラが眉根を下げて叫ぶ。
「あー!お姉様とメイラだけ仲良くしてるー!ずるい!私も一緒にお月見したいのに!」
「ふふ、三人で仲良くお花見しましょうね。さ、フローラ、おいでなさい」
フローラは、嬉しそうに笑って駆け寄ってくる。
「うん!わかったわ、お姉様!サラには内緒ね!」
「妹様!お呼びになられましたか?」
「呼んでないわ、サラ!」
「なら勝手に混ざりますね!」
そんなわちゃわちゃを側から見るのも、たまには悪くないような気もした。
代々続く名門の血を引き、夜の世界を統べる者としての威厳を背負っている。この屋敷の空気は、いつだって静謐で、重厚で、そして私にふさわしい。
今日も私は、人間の生き血……
「あっ、マリア様……」
夜になったしなんとなく外に行こうかと思って門の近くへ行くと、メイラが何かを後ろ手に隠した。
「メイラ……」
「はい!なんでしょうか、マリア様!」
「今、あなた何を隠したの?」
「お菓子です!」
「……素直で結構」
なんで仕事をサボっていると言うのにこんなに威勢よく言えるのかしら……。本当に謎だわ。減給される可能性もあるというのに。
「なんで仕事中にお菓子とか食べているのかしら?」
「お月見……しようと思って」
「月見の時は餅ではないの?」
すると、メイラはにこっと笑って自分の背後を示す。
「フローラ様はお餅が苦手ですので!」
そこには、両手で抱えきれないほどのお菓子を持ったフローラが立っていた。
「えっと……どういうことかしら」
「はい、先ほどなのですが……
私が一眠りを終え、業務に入った時なのですが、今日は綺麗な、満月の1日前だと言うことに気がついたんです。
「今日は月が綺麗だなぁ……。そうだ!お月見でもしようかな」
そう言った時、後ろからがサッと音がしたんです。
「メイラ!私と一緒にお月見しましょ!」
「フローラ様!」
フローラ様が、閉じた門の上に尻尾でぶら下がって、たくさんのお菓子を持って私に話しかけてきたのです」
なんで寝てるのよ。
……というか、フローラが、メイラに、ねぇ……。私を差し置いて?二人で月見?私のかわいいかわいいフローラと二人きりだなんて、許せないわ!
私は眉を顰めて翼を広げる。
「そ、それで、私は初め断ったんです。
「いけません、フローラ様。私は業務中です。すみません」
と言うように」
あら、断ったのね。ならいいわ。私は翼を折りたたんで話の続きを聞く。
「そうしたら、フローラ様が泣きそうな顔になってしまいまして」
反射的に翼がバサッと開く。何勝手に私の大事な妹泣かせてるのよ!コイツ、クビにしようかしら……。
「そこで、私は宥めて一緒にお月見することになったんです。その……マリア様も一緒にどうですか?」
私は腕を組んで言う。
「そうね……。たまには休むことも大切ね。いいわ、特別に一緒に月見をしてあげてもいいわよ」
メイラは、私の様子を見て、ほっと胸を撫で下ろす。……私、何かしたかしら。
「ではマリア様!フローラ様がレジャーシートを持ってきてくださいましたから、一緒に座って食べましょう」
「ええ、もちろん。でも、貴女……」
そう言って、座り込んだメイラに耳打ちをする。
「次フローラを泣かせたらタダじゃおかないわよ」
メイラは、コクコクとものすごい勢いで頷く。すると、フローラが眉根を下げて叫ぶ。
「あー!お姉様とメイラだけ仲良くしてるー!ずるい!私も一緒にお月見したいのに!」
「ふふ、三人で仲良くお花見しましょうね。さ、フローラ、おいでなさい」
フローラは、嬉しそうに笑って駆け寄ってくる。
「うん!わかったわ、お姉様!サラには内緒ね!」
「妹様!お呼びになられましたか?」
「呼んでないわ、サラ!」
「なら勝手に混ざりますね!」
そんなわちゃわちゃを側から見るのも、たまには悪くないような気もした。
