葉桜が目に眩しい四月中旬のとある日の朝。
都立青蘭高校の正門の前にいる俺、雪村紫門、高校三年。
身長は百七十八センチ、やせ型。少し長めのサラふわ黒髪。
昔から何かと頼られることが多くて、気づけば生徒会長になっていた。
挨拶をすれば返してくれる人が増え、困っている生徒を助ければ「王子」なんて呼ばれるようになったけれど――別に特別なことをしているつもりはない。
ただ、自分が理想だと思う〝生徒会長の姿〟を続けているだけだ。
「おはようございます」
「王子~、おはよう」
登校してくる生徒に率先して挨拶をする。
今どき高校でオアシス運動なんて珍しいかもしれないが、これは〝俺がやりたいからやっているだけ〟の習慣だ。
早朝から付き合ってくれている副会長の佐竹耕哉には、正直ちょっと申し訳ないと思っている。
「佐竹、今日もありがとうな」
「はいはい。俺はもう、こういうものだと思ってるからいいけどさ。次の生徒会長が可哀想な気がしなくもないな」
「ははっ、確かに」
このオアシス運動が、青蘭高校の伝統というわけではない。
俺が生徒会長になって取り組み出したことで、最初は佐竹も嫌々参加していた。
それが、いつからだったか……『内申書によさそうだな』と言い出して、今では青蘭高校の名物みたいな感じになりつつある。
今年は高校最後の年。
生徒会の任期も残りわずかになってきて、少しずつ、受験の気配が近づいてきた。
*
放課後。帰宅した俺は、私服に着替えた。
「ペンタブは持ったし、手帳も持ったし、スマホも財布も持ったよな……?」
鞄の中の持ち物をチェックし終えると、キャップを目深に被り、念のためにとマスクをする。
壁掛け時計で時間を確認して、カフェで打ち合わせのため、俺は自宅を後にした。
都立青蘭高校の正門の前にいる俺、雪村紫門、高校三年。
身長は百七十八センチ、やせ型。少し長めのサラふわ黒髪。
昔から何かと頼られることが多くて、気づけば生徒会長になっていた。
挨拶をすれば返してくれる人が増え、困っている生徒を助ければ「王子」なんて呼ばれるようになったけれど――別に特別なことをしているつもりはない。
ただ、自分が理想だと思う〝生徒会長の姿〟を続けているだけだ。
「おはようございます」
「王子~、おはよう」
登校してくる生徒に率先して挨拶をする。
今どき高校でオアシス運動なんて珍しいかもしれないが、これは〝俺がやりたいからやっているだけ〟の習慣だ。
早朝から付き合ってくれている副会長の佐竹耕哉には、正直ちょっと申し訳ないと思っている。
「佐竹、今日もありがとうな」
「はいはい。俺はもう、こういうものだと思ってるからいいけどさ。次の生徒会長が可哀想な気がしなくもないな」
「ははっ、確かに」
このオアシス運動が、青蘭高校の伝統というわけではない。
俺が生徒会長になって取り組み出したことで、最初は佐竹も嫌々参加していた。
それが、いつからだったか……『内申書によさそうだな』と言い出して、今では青蘭高校の名物みたいな感じになりつつある。
今年は高校最後の年。
生徒会の任期も残りわずかになってきて、少しずつ、受験の気配が近づいてきた。
*
放課後。帰宅した俺は、私服に着替えた。
「ペンタブは持ったし、手帳も持ったし、スマホも財布も持ったよな……?」
鞄の中の持ち物をチェックし終えると、キャップを目深に被り、念のためにとマスクをする。
壁掛け時計で時間を確認して、カフェで打ち合わせのため、俺は自宅を後にした。
