季節も秋になり、いよいよ文化祭が近づいていた。
「ねー、今日も文化祭準備で忙しいのー?」
教室ではそんなやり取りがされていた。
帰宅部の私には、縁もゆかりも無く今年も開幕式だけ参加して早々に帰るつもりで居た。
「ねぇ結芽、今年の文化祭は一緒に回ってくださらない?」
「うん、喜んで!」
望美から誘いを受けるまでは……
文化祭当日、開幕式も無事に終わりいよいよ文化祭が幕を開けた。
「どこに行く?」
「んー、そうね……ここに行きたいわ」
望美が行きたいと言った場所はフリーマーケットだった。
保護者が開いたフリーマーケットは不用品を持ち寄って、机に並べただけの簡素なものだった。
「全品100円だよー!」
「結芽、これなんか似合いそう」
望美は一つのヘアピンを取って私に見せてくる。
「可愛いー!」
それは私好みのデザインだった。
「そうだ!なら、これはわたくしが結芽にプレゼントしますわ。だから、結芽もわたくしにプレゼントしてくださらない?」
「わかった。こんなに良いもの貰ったんだから、望美にも良いものを渡したいもんね!」
こうして、私は望美にプレゼントを探し始めた。
こうして、私は大きなリボンの付いたヘアゴムを望美にプレゼントした。
「可愛いですわ♪ありがとう、結芽」
「こちらこそありがとう。大切にするね」
そして、フリーマーケットを去ろうとした所で望美は言った。
「あと、これも」
そう言って、望美が手渡して来たシュシュは既に望美の髪を結んでいた。
「お揃い……?」
「えぇ、丁度ふたつあったから。お揃いのものも欲しいと思ってたし」
「ありがとう望美!これも大切にするから!」
こうしてフリーマーケットを出て廊下を歩いていた所に、私達は出会ってしまった。
「あれーめっちゃお姉さん美人じゃん!ねね、この後暇ー?」
長身・長髪・金髪のいかにもチャラそうな男に声をかけられた私達は無言で男の横を通り過ぎた。
「あれー?無視ですかー?」
だが、男も懲りることなくしつこく話しかけてきた。
あまりにも執拗に声をかけ続ける男に1人の男がナンパに話しかけた。
「あの!」
「あぁ?」
「その子達、嫌がってますよね?執拗いんじゃないんですか?」
「あぁ?それなら、こいつらだって走って逃げるだろーよ?」
ナンパしてきた男は望美と私を指さして男に話しかける。
それはごもっともな意見だ。
だが、望美ならまだしも私は体力が絶望的に無い。
望美はそのことを分かっているからこうして隣を歩いてくれているのだろう。
「普通、女の子は体力的にも男性には勝てない……それを理解した上でナンパをしている貴方は最高にダサい!」
「なんだと?!」
ブチ切れてきたナンパ男は途中で乱入した男を殴ろうと襲いかかる。
「キャー!」
そのせいで辺りから悲鳴が出る。
「なんだなんだ?」
「喧嘩?」
その騒ぎを聞きつけた教員が警備員を引き連れてやって来た。
いつしか、 警備員に囲まれた男2人は呆気なく捕まり別室に連行されて行った。
「貴女達はそこで何をしていたの?」
生徒指導の先生に私達も連行され、事情聴取を受けていた。
「……そう、分かったわ。もう貴女達は早いとこ帰りなさい」
「はい、分かりました」
「どうして被害者の私達が普通に楽しんでただけなのに、早々に帰らされないと行けないの?」
私は思わず不満を漏らす。
その不満を聞いた望美は言った。
「ごめんなさいね、わたくしのせいだわ」
「え……?」
「わたくしは、男性から良く声をかけられますの」
「まぁ……望美なら、綺麗だもんね」
「だから……ごめんなさい」
「望美は何も悪くなくない?」
「あれ、言われてみれば……そうですわね」
「でしょ?だから、ふたりで文化祭の続きをやろうよ!」
「えぇ、やりましょう!折角なら、帰りに花火も買って花火もしましょう♪」
「そうだね!やろ!」
そう言った望美は楽しそうに笑うと、私の手を握り歩き出した。
夜の海は街灯が照らす波止場で私と望美はコンビニで買ったたこ焼きの冷凍食品をふたりで食べていた。
「もう、こんな時間ですわね」
「望美、花火しようよ!」
「そうですね、早くしないと門限も来てしまいますわ」
望美の両親はとても厳しいらしく門限の19時に1秒でも遅れるとこっぴどく叱られてしまうらしい。
私は早速、スーパーで買った花火セットの封を開けて、ライターを準備すると、海の近くに行くべく靴下を脱ぐ。
その姿を見た望美も靴下を脱いで私について来る。
「じゃあ、いくよ」
「はい!」
子供のように無邪気な笑顔を見せる望美は普段のお淑やかさとはかけ離れていた。
花火も底を尽きようとしていた時、波止場から声が聞こえてきた。
「あれー?あれ、俺が昼間に声かけた子じゃーん!」
「えっ!?あれがお前が言ってた美少女?」
「そうそう、今線香花火してる子」
「美人だなー」
「ねっ!高嶺の花って感じっしよ?」
望美を吟味した後、ナンパ男達は持ち前の運動神経で軽々と波止場を乗り越えて私達の元へとやって来る。
「ねぇ、一緒に遊ぼうよー?」
「お断りします!もう、帰るので」
「えー、そんなこと言わないでよー?」
ナンパ男は昼間の出来事に懲りる様子もなく、望美に声をかけ続ける。
「あ……えっと……」
「すみません、やっぱり!貴女方、昼間の……」
「チッ、なんでお前も来るんだよー!」
困惑していると、昼間ナンパ男を止めてくれた方がこちらもグループで来ていたらしく、私達に声をかけて来た。
昼間の続きでもしてしまいそうな雰囲気の中、真面目そうな私達と恐らく同世代であろう子が一言言った。
「だったら、満足いくまでじゃんけんでもしたらどうです?ほら、女の子に殴り合い見せる訳にはいかないでしょ」
「……それもそうだな。よし!じゃんけんで勝負だ、俺が勝ったらお前はここから去れ。そして、二度とこの子達に近づくな」
「おぉ、受けてやんよ。その代わり、そっちが負けたら二度と関わんじゃねーぞ?」
「望むところだ」
「「じゃーんけーん!ぽんっ!」」
「「ぽんっ!」」
何度も何度もあいこが続く中、私達はこっそり帰ろうと波止場に置いてある鞄を取りに向かっていた。
「何してんの?」
「あ……」
勝負法をじゃんけんにしないかと持ちかけた少年が、私達に声をかける。
「門限も近いから帰らなくちゃ、そこを通してくれませんか?」
「じゃ、連絡先交換してよ。そしたら、帰っていいから」
私と望美は顔を見合せてどうしようかと、作戦会議に移る。
「どうする?教える?」
「正面突破は厳しそうですわね、かなり鍛えてそうですし」
「門限ももうギリギリだもんね……わかった、教える」
こうして、私達は彼に連絡先であるSNSのアカウントを共有して急いで帰路に着いたのだった。
家に着いて、SNSを開くとさっきの男の名前が望月翔瑠《もちづき かける》であることに気付いた。
「おかえり、結芽」
「ただいま」
「ご飯ももう出来てるからさっさと食べなさいね」
「はーい」
手を洗って、制服から着替えてからリビングに戻るとお父さんがソファーに座ってテレビを観ていた。
「結芽、終わったら話しがあるからこっちに来なさい」
「……はい」
昼間の件で連絡が行ったのかなと思いながらご飯を食べ終えて、お父さんの元へと行く。
「結芽、昼間の件なんだが……チンピラに絡まれていたのか?」
私は首を縦に振って応える。
お父さんはその様子を見て言った。
「母さんがな、あのフリーマーケットにたまたま居たんだ。それで、とても綺麗な子と一緒に居る娘を見守ってたらチンピラに絡まれたって聞いてな」
そして、お父さんは真剣な眼差しでこちらを見据えながら諭すように私に言った。
「何かあったらちゃんと通報しなさい。助けを呼びなさい、いいね?」
「はい……」
「わかったならよし。もうお父さんと母さんはお風呂入ったから、急いで入っておいで」
「はーい」
「ねー、今日も文化祭準備で忙しいのー?」
教室ではそんなやり取りがされていた。
帰宅部の私には、縁もゆかりも無く今年も開幕式だけ参加して早々に帰るつもりで居た。
「ねぇ結芽、今年の文化祭は一緒に回ってくださらない?」
「うん、喜んで!」
望美から誘いを受けるまでは……
文化祭当日、開幕式も無事に終わりいよいよ文化祭が幕を開けた。
「どこに行く?」
「んー、そうね……ここに行きたいわ」
望美が行きたいと言った場所はフリーマーケットだった。
保護者が開いたフリーマーケットは不用品を持ち寄って、机に並べただけの簡素なものだった。
「全品100円だよー!」
「結芽、これなんか似合いそう」
望美は一つのヘアピンを取って私に見せてくる。
「可愛いー!」
それは私好みのデザインだった。
「そうだ!なら、これはわたくしが結芽にプレゼントしますわ。だから、結芽もわたくしにプレゼントしてくださらない?」
「わかった。こんなに良いもの貰ったんだから、望美にも良いものを渡したいもんね!」
こうして、私は望美にプレゼントを探し始めた。
こうして、私は大きなリボンの付いたヘアゴムを望美にプレゼントした。
「可愛いですわ♪ありがとう、結芽」
「こちらこそありがとう。大切にするね」
そして、フリーマーケットを去ろうとした所で望美は言った。
「あと、これも」
そう言って、望美が手渡して来たシュシュは既に望美の髪を結んでいた。
「お揃い……?」
「えぇ、丁度ふたつあったから。お揃いのものも欲しいと思ってたし」
「ありがとう望美!これも大切にするから!」
こうしてフリーマーケットを出て廊下を歩いていた所に、私達は出会ってしまった。
「あれーめっちゃお姉さん美人じゃん!ねね、この後暇ー?」
長身・長髪・金髪のいかにもチャラそうな男に声をかけられた私達は無言で男の横を通り過ぎた。
「あれー?無視ですかー?」
だが、男も懲りることなくしつこく話しかけてきた。
あまりにも執拗に声をかけ続ける男に1人の男がナンパに話しかけた。
「あの!」
「あぁ?」
「その子達、嫌がってますよね?執拗いんじゃないんですか?」
「あぁ?それなら、こいつらだって走って逃げるだろーよ?」
ナンパしてきた男は望美と私を指さして男に話しかける。
それはごもっともな意見だ。
だが、望美ならまだしも私は体力が絶望的に無い。
望美はそのことを分かっているからこうして隣を歩いてくれているのだろう。
「普通、女の子は体力的にも男性には勝てない……それを理解した上でナンパをしている貴方は最高にダサい!」
「なんだと?!」
ブチ切れてきたナンパ男は途中で乱入した男を殴ろうと襲いかかる。
「キャー!」
そのせいで辺りから悲鳴が出る。
「なんだなんだ?」
「喧嘩?」
その騒ぎを聞きつけた教員が警備員を引き連れてやって来た。
いつしか、 警備員に囲まれた男2人は呆気なく捕まり別室に連行されて行った。
「貴女達はそこで何をしていたの?」
生徒指導の先生に私達も連行され、事情聴取を受けていた。
「……そう、分かったわ。もう貴女達は早いとこ帰りなさい」
「はい、分かりました」
「どうして被害者の私達が普通に楽しんでただけなのに、早々に帰らされないと行けないの?」
私は思わず不満を漏らす。
その不満を聞いた望美は言った。
「ごめんなさいね、わたくしのせいだわ」
「え……?」
「わたくしは、男性から良く声をかけられますの」
「まぁ……望美なら、綺麗だもんね」
「だから……ごめんなさい」
「望美は何も悪くなくない?」
「あれ、言われてみれば……そうですわね」
「でしょ?だから、ふたりで文化祭の続きをやろうよ!」
「えぇ、やりましょう!折角なら、帰りに花火も買って花火もしましょう♪」
「そうだね!やろ!」
そう言った望美は楽しそうに笑うと、私の手を握り歩き出した。
夜の海は街灯が照らす波止場で私と望美はコンビニで買ったたこ焼きの冷凍食品をふたりで食べていた。
「もう、こんな時間ですわね」
「望美、花火しようよ!」
「そうですね、早くしないと門限も来てしまいますわ」
望美の両親はとても厳しいらしく門限の19時に1秒でも遅れるとこっぴどく叱られてしまうらしい。
私は早速、スーパーで買った花火セットの封を開けて、ライターを準備すると、海の近くに行くべく靴下を脱ぐ。
その姿を見た望美も靴下を脱いで私について来る。
「じゃあ、いくよ」
「はい!」
子供のように無邪気な笑顔を見せる望美は普段のお淑やかさとはかけ離れていた。
花火も底を尽きようとしていた時、波止場から声が聞こえてきた。
「あれー?あれ、俺が昼間に声かけた子じゃーん!」
「えっ!?あれがお前が言ってた美少女?」
「そうそう、今線香花火してる子」
「美人だなー」
「ねっ!高嶺の花って感じっしよ?」
望美を吟味した後、ナンパ男達は持ち前の運動神経で軽々と波止場を乗り越えて私達の元へとやって来る。
「ねぇ、一緒に遊ぼうよー?」
「お断りします!もう、帰るので」
「えー、そんなこと言わないでよー?」
ナンパ男は昼間の出来事に懲りる様子もなく、望美に声をかけ続ける。
「あ……えっと……」
「すみません、やっぱり!貴女方、昼間の……」
「チッ、なんでお前も来るんだよー!」
困惑していると、昼間ナンパ男を止めてくれた方がこちらもグループで来ていたらしく、私達に声をかけて来た。
昼間の続きでもしてしまいそうな雰囲気の中、真面目そうな私達と恐らく同世代であろう子が一言言った。
「だったら、満足いくまでじゃんけんでもしたらどうです?ほら、女の子に殴り合い見せる訳にはいかないでしょ」
「……それもそうだな。よし!じゃんけんで勝負だ、俺が勝ったらお前はここから去れ。そして、二度とこの子達に近づくな」
「おぉ、受けてやんよ。その代わり、そっちが負けたら二度と関わんじゃねーぞ?」
「望むところだ」
「「じゃーんけーん!ぽんっ!」」
「「ぽんっ!」」
何度も何度もあいこが続く中、私達はこっそり帰ろうと波止場に置いてある鞄を取りに向かっていた。
「何してんの?」
「あ……」
勝負法をじゃんけんにしないかと持ちかけた少年が、私達に声をかける。
「門限も近いから帰らなくちゃ、そこを通してくれませんか?」
「じゃ、連絡先交換してよ。そしたら、帰っていいから」
私と望美は顔を見合せてどうしようかと、作戦会議に移る。
「どうする?教える?」
「正面突破は厳しそうですわね、かなり鍛えてそうですし」
「門限ももうギリギリだもんね……わかった、教える」
こうして、私達は彼に連絡先であるSNSのアカウントを共有して急いで帰路に着いたのだった。
家に着いて、SNSを開くとさっきの男の名前が望月翔瑠《もちづき かける》であることに気付いた。
「おかえり、結芽」
「ただいま」
「ご飯ももう出来てるからさっさと食べなさいね」
「はーい」
手を洗って、制服から着替えてからリビングに戻るとお父さんがソファーに座ってテレビを観ていた。
「結芽、終わったら話しがあるからこっちに来なさい」
「……はい」
昼間の件で連絡が行ったのかなと思いながらご飯を食べ終えて、お父さんの元へと行く。
「結芽、昼間の件なんだが……チンピラに絡まれていたのか?」
私は首を縦に振って応える。
お父さんはその様子を見て言った。
「母さんがな、あのフリーマーケットにたまたま居たんだ。それで、とても綺麗な子と一緒に居る娘を見守ってたらチンピラに絡まれたって聞いてな」
そして、お父さんは真剣な眼差しでこちらを見据えながら諭すように私に言った。
「何かあったらちゃんと通報しなさい。助けを呼びなさい、いいね?」
「はい……」
「わかったならよし。もうお父さんと母さんはお風呂入ったから、急いで入っておいで」
「はーい」



