学園一の女に一目惚れされて

 翌朝、学校に着くと既に望美が席に居た。

「おはよ、望美」

「おはよう、結芽。あぁ……嬉しいですわ久しぶりの結芽成分♡」

 そう言って望美は私に真正面から抱きついた。

「ちょ……!?」

「あら、嫌でした?」

 しょぼんという表現が似合う表情をした望美は、私に問いかける。

「嫌とかじゃなく、びっくりするから!」

「それなら良かったわ、そんなに拒絶されると嫌われたのかと不安になるから」

「わかった、ごめんね?ただ、びっくりしただけなの」

「わかってますわ、先程も仰ってましたもの」

 普段の望美とはかけ離れた対応に続々と登校して来たクラスメイト達はざわついていた。

「えっ!?望美様……南雲さんといつからそんな親しげな関係になりましたの?」

「有り得ない……」

 だが、そんなざわついたクラスメイト達にトドメを刺したのも望美だった。

「昨日から、わたくしのパートナーになりましたの♪」

「「ええええぇぇ!!」」

 クラスメイトの悲鳴で他クラスの方まで集まり騒ぎになると、教師達も駆け付けてんやわんやな事態になった。









 今朝の騒ぎも表面上では落ち着いて来た頃、瞬く間に望美様ファンクラブで出回った情報を聞きつけて事実を確認しに来た生徒で私は囲まれていた。

「南雲 結芽さんですよね?」

「本当にパートナーに?」

「それはどういった意味でのパートナーですの?」

 彼方此方から質問が飛び交う中、戸惑っている私のそばに来た望美は言った。

「勿論、恋愛関係ということですわ。わたくし、結芽のことを愛していますから!」

 その望美の言葉を聞いた他クラスの野次馬達は次第に減り、放課後にはすっかり落ち着いていた。









 望美と一緒に帰っていると、望月 翔瑠が正門で待ち構えていた。

「望美ちゃん、一緒に……」

「今日は大事な方とのデートなので」

「大事って……結芽ちゃんはただの友達だろ?」

「いいえ、大事なパートナーよ」

「恋愛的な意味合いのパートナーってこと?」

「えぇ」

「でも、同性……」

「それがなんですの?」

「いや、なんでもない……」

 そう言って、戸惑った様子で私達を見た望月 翔瑠は一言「キモッ」と言って去って行った。

「まぁ、今の聞きました?他人の人間関係に首を突っ込まないで欲しいものですわ!」

 望美はちょっと怒ってるのか、語尾が強めだ。

「望月さんの連絡先、ブロックした?」

「あ!してませんわ、急いでしなくては!」

 望美がスマホを取り出し、操作し始める。

 私もスマホを取り出して、望月 翔瑠をブロックして望美に報告する。

「できた?」

「えぇ、全SNSブロックしましたわ」

「そっか」

「えぇ!そろそろ行きましょうか」

 そう元気に言い放った望美は私に手を差し伸ばして握った。

「うん!」








 数年後……

 遂に私達は卒業式当日を迎えていた。

「おはよう、望美」

「ごきげんよう、結芽」

「いよいよ今日だね……卒業式」

「寂しい?」

「いいえ。これからも毎日連絡いたしますし、何も変わらないですわ」

「そうだね! 変わらないよね!」

 私はほんの少しだけ感傷的になっていたのを隠すように望美の手を繋ぎ歩き出した。