学園一の女に一目惚れされて

 そして文化祭の日から早1週間。

 以来、望美と望月 翔瑠は頻繁にやり取りをしているらしく、とうとう正門にまで現れるようになっていた。

『一体何があったの?』

『えっと……友達になりたい仲良くなりたいと言われまして』

『恩があるから無碍に出来ないって?』

『えぇ……』

 私には何も無かったのに?それ、絶対狙ってるやつだよね?

 そんな思考にどんどん引きずり込まれては、私も望美に返事出来てないし、と現実に引き戻されていた。








 そんなある日の放課後、自宅に向けて望美と歩いていると望月 翔瑠が前方からやって来た。

「望美ちゃん!と……誰だっけ?」

 失礼なやつだな連絡先にも入ってるでしょうよと若干モヤッとしつつも、返事を返す。

「南雲です、南雲 結芽!」

「あぁー!思い出した!結芽ちゃんか」

「お前、ひでーやつだなぁ!」

 一緒に居た人にツッコまれつつ、その場は怒りを鎮めて私はそのまま歩き出そうとするも……

 後ろを振り向くと望美は着いて来なかった。

 しかも、私になんか見向きもせずに望月 翔瑠との会話に笑顔で応えていた。

 その瞬間、抑えていた情緒が乱れた。

 やっぱり、望美の好意はもう私ではなく望月 翔瑠に行ってしまったんだ。

 今まで否定してきたことで保っていた本音が一瞬にしてその思考で頭が満たされる。

 私は耐えられなくなり、その場を後にした。









 翌日、憂鬱な気分の中学校に着く。

 望美は今日はお休みだった。

 なんでも風邪を引いたそうだ。

 絶対、嘘だ。

 私はそのまま机に突っ伏して、寝ることにした。








 目が覚めると、3時間目の真っ最中だった。

「おっ、起きたな南雲。ここの問題答えろ」

 数学の谷山が悪意の笑みで私を指名する。

 仕方なく、黒板の前に立って問題を解き始める。

 なんとか問題を解いて席に座ると、谷山は眉間に皺を寄せて私を睨んでいた。









 

 お昼、久しぶりに心愛と一緒にお弁当を食べていると。

「で?望美様と何かあった?」

 ニヤニヤしながら聞いてくる心愛に私は現状を述べる。

「ってことになってるの」

「うわぁ……それ、もう取られちゃうよ!結芽はそれでいいの?」

「それでいいとか言われても……まだ自分の気持ちすら分かってないのに」

「案外、自分の気持ちなんかみんな分からないものだと思うけど」

「そうなのかなー?」

「そうなの。ほら、明日にでもちゃんと話して仲良くなりなね!」

 そう言って、心愛は「次、移動だから早めに行くわ」と去って行った。

 その直後、望月 翔瑠からSNSにDMの通知が届く。

 私は、スマホを開いて内容を確認する。

 《南雲さん、望美ちゃんのことどう思ってるの?》

 その文章を見た途端、望月 翔瑠は望美のことが好きなんだと直感する。

 《俺、望美ちゃんのことが好き》

「私の直感、滅多に当たらないのになぁ……悔しいなぁ」

 そして、私は望美のことが心底好きなんだと実感したのだった。







《私も望美のことが好き。絶対に望美は渡さないから》

 こうして、私はそのまま望美にDMを送る。

 《望美、私望美のことが好き。できることなら、付き合って欲しい》

 その直後、望月 翔瑠からのDMで添付された写真を見て私は絶句する。

 《ね?望美ちゃんこんなにも楽しそうなのに、お前のその歪んだ愛で望美ちゃんを傷付けないで》

 そこにはツーショットで笑みを浮かべてピースする望美と望月 翔瑠が居た。

 確かにこの愛は歪んでいる。

 でも、先に望美が私のことが好きって告白してきたのに……

 望美は本音ではどう思ってるんだろう。