曇天の空を教室の窓から眺めながら、僕はどこかぼんやりしながら過ごしていた。
最近はいつもこんな感じだ。
ユーレイさんに抱いてた気持ちは、自分で思ってたよりも重たくて、僕の心の大部分を占めていたせいで、埋められない喪失感は十一月になった今でもぽっかりと口を開いていた。
最近は受験勉強だけでなく、授業にも身が入らない。
この間あった小テストの結果は散々で、担任の保坂先生にも顔をしかめられるほどだった。
唯一の救い……と言っていいのかは微妙だけど、ピアノが弾けなくなって以来僕に関心を示さなくなった母親から文句を言われないことだろうか。
「なぁなぁ島ちゃん聞いた?! 今日からさぁ……」
隣の席になった葛西君が興奮を隠さない勢いで話しかけてきた。
彼の持ってるエネルギーにあてられて、羨ましいなぁと思いつつ少し眩しすぎる。
僅かに目を眇めて首を傾げれば、葛西君は我が意を得たりと口をひらこうとして……。
「みんなおはよう。ホームルーム始めるぞー」
保坂先生の入室によって、遮られてしまったのだった。
ざわついていた教室の関心が、一斉に保坂先生へと向かう。
いつもはそこまでじゃないのになと、僕もつられて教室の入り口にいる保坂先生のほうへ視線を向ければ、理由が分かった。
「ほらほらあの人! 噂の教育実習生! 今日からだって!」
コソコソと声を潜めた葛西君が教えてくれたけど、僕は今それどこじゃなかった。
保坂先生の後ろに続くのは、シュッとしたスーツに身を包んだ背の高い男性だった。
保坂先生が入室したことによって、その人の整った顔立ちがハッキリ見えるようになり、女子たちに短い悲鳴が響いた。
そんな女子たちとは別の理由だが、僕も悲鳴をあげたくて仕方がない。
いや……マジで……どういうこと……?
「ユーレイ……さん?」
そう。
さわやかな笑みを浮かべる大人の男性。
と言っても教育実習生だと言ってたからそこまで年が離れてるわけじゃない。
だけとスーツの威力はものすごくて、とても大人びて見える。
だけど……。
見間違いようもないその顔は。
いくつか年を重ねてるとはいえ、変わらない顔の良さは。
……間違いなく成仏したはずのユーレイさんのものだった。
「え……? どういう……こと?」
まるで僕の呟きが聞こえたかのように、ユーレイさんが僕を見た。
バッチリと視線が交差した結果、相手も僕を認識してしまう。
一瞬だけ僅かに目を見開いたユーレイさんだったけど、次の瞬間……。
にやりと微笑んだ。
その表情はとても見覚えのあるものだったからこそ、僕は頭を抱えたのだった。
最近はいつもこんな感じだ。
ユーレイさんに抱いてた気持ちは、自分で思ってたよりも重たくて、僕の心の大部分を占めていたせいで、埋められない喪失感は十一月になった今でもぽっかりと口を開いていた。
最近は受験勉強だけでなく、授業にも身が入らない。
この間あった小テストの結果は散々で、担任の保坂先生にも顔をしかめられるほどだった。
唯一の救い……と言っていいのかは微妙だけど、ピアノが弾けなくなって以来僕に関心を示さなくなった母親から文句を言われないことだろうか。
「なぁなぁ島ちゃん聞いた?! 今日からさぁ……」
隣の席になった葛西君が興奮を隠さない勢いで話しかけてきた。
彼の持ってるエネルギーにあてられて、羨ましいなぁと思いつつ少し眩しすぎる。
僅かに目を眇めて首を傾げれば、葛西君は我が意を得たりと口をひらこうとして……。
「みんなおはよう。ホームルーム始めるぞー」
保坂先生の入室によって、遮られてしまったのだった。
ざわついていた教室の関心が、一斉に保坂先生へと向かう。
いつもはそこまでじゃないのになと、僕もつられて教室の入り口にいる保坂先生のほうへ視線を向ければ、理由が分かった。
「ほらほらあの人! 噂の教育実習生! 今日からだって!」
コソコソと声を潜めた葛西君が教えてくれたけど、僕は今それどこじゃなかった。
保坂先生の後ろに続くのは、シュッとしたスーツに身を包んだ背の高い男性だった。
保坂先生が入室したことによって、その人の整った顔立ちがハッキリ見えるようになり、女子たちに短い悲鳴が響いた。
そんな女子たちとは別の理由だが、僕も悲鳴をあげたくて仕方がない。
いや……マジで……どういうこと……?
「ユーレイ……さん?」
そう。
さわやかな笑みを浮かべる大人の男性。
と言っても教育実習生だと言ってたからそこまで年が離れてるわけじゃない。
だけとスーツの威力はものすごくて、とても大人びて見える。
だけど……。
見間違いようもないその顔は。
いくつか年を重ねてるとはいえ、変わらない顔の良さは。
……間違いなく成仏したはずのユーレイさんのものだった。
「え……? どういう……こと?」
まるで僕の呟きが聞こえたかのように、ユーレイさんが僕を見た。
バッチリと視線が交差した結果、相手も僕を認識してしまう。
一瞬だけ僅かに目を見開いたユーレイさんだったけど、次の瞬間……。
にやりと微笑んだ。
その表情はとても見覚えのあるものだったからこそ、僕は頭を抱えたのだった。



