ゾウのおなかに一等星 ~偽タトゥーなあいつと擬態オタクな俺の恋~


 チョータから鍵を預かって、ヨーコさんと一緒にチョータのアパートに行く。
 チョータに頼まれて、軽く掃除と整理をするためだ。
 捨てなきゃいけない生ごみはヨーコさんが、俺はあの屑に繋がるようなものはどんどん捨てていく。
 その中から意外なものを見つけた。

「あ……アルバム?」

 二十枚ちょっとだけの、手のひらサイズのアルバム。
 めくると、あの屑と見たことがない女の人が並んで笑っている写真があった。チョータの母親、初めて見た。
 チョータの要素はほとんどがあの屑そっくりだけど、大きな口で笑う顔は母親にも似ている気がする。

「ああ、懐かしいね」

 目を細めるヨーコさんに、俺は「知ってる?」とチョータの母親を指さす。
 ヨーコさんは手を前掛けで拭いながら頷いて言った。

「チョータの両親は二人ともここから近いとこで育ってるからね。ヤンチャして、ヤンチャなまま子供を作って、そのまま大人になれなかったんだねぇ」

 ぺらりとめくると、大きくなったお腹に手を当てた女の人と、あの屑がダブルピースしている写真がでてきた。
 そして最後の一枚はベビーベッドで寝ているチョータらしき赤子の姿。

「これは、取っておこうかね。捨てるにはもったいない」
「うん」

 いつか、どこかでチョータが見つけた時に懐かしいと思うのか。それとも両親を憎いと思うのか。
 俺には分からないけれど、チョータが決めることだ。
 部屋の中は呆れるくらいに「チョータのエリア」と「屑のエリア」が別れていて、そしてチョータが言った通りチョータのエリアは驚くほど狭い。学校とバイトの制服と教科書があるくらい。屑のエリアはパチンコの景品だろうオモチャやお菓子の景品が乱雑に転がっている。

「店の二階にでも詰め込んでおくかねぇ」

 ヨーコさんの呟きに曖昧に頷く。全て捨てるほど情がないわけではないらしい。
 俺は全て焼き捨ててしまいたいけれど。
 手を伸ばして、ごちゃごちゃなおもちゃの中から一つだけ手に取る。有名な怪獣が口を開けて威嚇している。
 なんとなく、それだけはチョータの物な気がしてそっとチョータの荷物の中に忍ばせた。