最高のダンスをあなたに

 翌日の夜、直人はカラオケ店へと向かっていた。かつて松岡と三人で通った、懐かしい店だ。
 あの後竜平は、何とこの春帰国したと告げたのだ。そして、こう続けた。
『あの時見せられなかったダンス、見てもらえますか?』
 断る理由など無かった。
 約束の時間に到着すると、店の前には一人の男が立っていた。見覚えのある、すらりとしたシルエットだ。直人を認めると、男はゆっくりと振り向いた。
「『最高のダンスをあなたに』」
 そう言って彼が取ったのは、あの曲の最後の決めポーズだった。

                                       了