ショッピングモールでガチャガチャをやったり、服を見たりしているうちに部員たちの機嫌はすっかり元通りで、むしろ楽しく全員で遊んで充実した日を過ごした。
そろそろ暗くなるので帰ろうという時間になり、柊はりおに尋ねた。
「な、このまま帰って大丈夫か?アイツ、なんかお前に言ってこない?」
「うん……ちょっと怖いけど、でも大丈夫だと思う」
「怖いってなにが?」
「実は、この連休に勉強教えてもらう予定を入れてたけど、……いまは茜に会いたくない」
だよな、と柊は頷く。
(女の子の前で、あのバチギレ方はねーわ)
「じゃさ、勉強俺としよ」
柊の誘いに、りおは顔を上げた。
「なんなら他の奴も呼んでさ、一緒でいいじゃん。マックとか」
「本当にいいの?」
「いーよ。そしたらりおも言い訳できるんだろ?」
頷くりおに、柊は「決まり!」と笑う。
「おーい、部員―、この連休中、誰か俺らとマックで勉強しねえ?」
「えぇえ、いやだよ」
「めんどい」
「そういうなって。あ、なんなら俺の自慢のユニ、本物見せてやるからどうだ?」
すると部員連中の瞳が輝いた。
「まじ?まじで?本物!本物のユニフォーム!」
「おーよ、ブルロに出て来たクラブの、ガチのユニもあるぞ!着てきてやるよ」
「まじか!だったら参加する!」
「わたしも!」
次々に部員連中が挙手したので、柊は「な」とりおに笑顔を見せた。
それぞれが帰る方向に向かって別れることになり、部員連中とハイタッチしながら別れた。
「じゃーまた!明日か明後日!」
「またPINEで知らせて」
りおもバスで帰る事になり、柊はロータリーまで見送る事にした。
列に並んでそのままバスに乗り込むりおに、柊は紙袋を渡す。
「じゃーなりお。あとこれ」
「え?なに?」
「見てただろ。使えよ」
後ろから並ぶ客に押され、りおはそのままバスに乗っていく。
座る事ができたらしく、座席にちょこんを腰を下ろし、不思議そうに紙袋を抱えた。
中、見て、という風に柊がジェスチャーするとりおは袋のなかを見て驚き、首をぶんぶんと横に振る。
中にあるのは、りおが写真にとっていたカラーチェンジカップだ。
貰えない、ということだろう。
「いーから。じゃあな!」
気にするな、みたいに笑って手を振ると、りおはバスの中から目をうるませて、『ありがとう』とぱくぱくと言った。
互いに声は聞こえないけれど、柊も『いーって!』とサムズアップで応える。
りおを乗せたバスは発車して遠ざかり、柊もまた、伸びをした。
「さーて、俺も帰るか!」
明日からの連休、誰かはマックに来るだろうし、面倒だけど勉強でもするか。
そう思っていると、スマホが揺れた。
りおからのPINEで、『大変!』とあったので、何事かと焦ったのだが。
「……なんだよもお。脅かすなって」
用件は柊のキャップを被ったまま、バスに乗ってしまったことだった。
『ごめんね、気づかなくて』
『キャップずっとかぶったままで忘れてた』
『ヒイラギ君の大事なものなのに』
『それにカップありがとう!本当にいいのかな』
焦っているのか立て続けにメッセージと『どうしよう』と落ち込むスタンプを送って来るりおが愛しくて、柊はベンチに腰を下ろしてすぐに返信のメッセージを送り続けた。
『気にすんなって。明日か明後日、マックで会えるだろ』
『カップも使えよ!学校でも使えるし。一緒にまたスタバいこうぜ!』
『キャップは、かぶっとけ。ちょっとは威嚇になるかもよ?』
そう送ったら、りおから返信が来た。
『うん!お守りだね!じゃあちょっと借りておくね!絶対に返すから』
「おぉお」
柊は思わず口を手で覆った。
(俺のキャップが、お守りだって!)
ヘラヘラと思わず笑っていると、突然上から覗き込んできた。
「おいシュウ、お前さっきからなにニヤニヤしてんの。まじきめーんだけど」
「うえ?」
呆れた表情で柊を見下ろしていたのは、ショッピングモールに遊びに来ていた親友のヨータだった。
結局ヨータの兄の車で家まで送って貰い、柊は無事に家に着いた。
スマホにはりおの感謝メッセージと、早速家でカップを使っている報告があって、明日は無理だけど明後日みんなでマックで待ち合わせようという事になった。
他の部員らも、それでいいよね、という事になり、柊は早速、じゃあどのユニを着るべきかとクローゼットの扉を開き、吟味し始めたのだった。
「でさ、ヨータ。おい話聞けって。俺に一番似合うユニってどれと思う?」
真夜中のPINEで呼び出されたヨータは眠い目をこすりながら呆れた。
いつものように夜中の海外サッカーの試合を見た後、いきなり連絡してきたのでてっきりサッカーの話だと思ったのだが、実際は画面の向こうで親友の柊がベッド一面に大切なコレクションユニを広げて唸っていた。
『知らん。なんか赤い奴』
「赤ならどの赤だよ。俺的にはさ、さわやかさはやっぱ青とか水色とか、いっそ古参っぽく前の代表ユニなんかもありかなーって思うんだけどさ、もしくはどっか別の国の代表もいいよなー、イングランドとか」
『知らねーよ!もう全裸で行け!』
「捕まるじゃん。ヨータじゃあるまいし俺はさすがにできねーな」
『俺だって全裸にはならねーよ!このタコ!』
「そういやタコのチームってどっかあったっけ?」
もう駄目だコイツ、と思いながらヨータは強引に通話を切ったのだが、すぐさま柊はかけなおした。
「でさ、実はまだ種類があんだけどさ」
『うるせぇ―――――!!!!眠らせろ!もうシティで行け!』
「シティってユニシロでコラボしてたからかぶりそうなんだよなー」
もううるさいこいつ、と思いながらヨータは諦めてスマホをほったらかしにしてベッドに寝っ転がった。
そろそろ暗くなるので帰ろうという時間になり、柊はりおに尋ねた。
「な、このまま帰って大丈夫か?アイツ、なんかお前に言ってこない?」
「うん……ちょっと怖いけど、でも大丈夫だと思う」
「怖いってなにが?」
「実は、この連休に勉強教えてもらう予定を入れてたけど、……いまは茜に会いたくない」
だよな、と柊は頷く。
(女の子の前で、あのバチギレ方はねーわ)
「じゃさ、勉強俺としよ」
柊の誘いに、りおは顔を上げた。
「なんなら他の奴も呼んでさ、一緒でいいじゃん。マックとか」
「本当にいいの?」
「いーよ。そしたらりおも言い訳できるんだろ?」
頷くりおに、柊は「決まり!」と笑う。
「おーい、部員―、この連休中、誰か俺らとマックで勉強しねえ?」
「えぇえ、いやだよ」
「めんどい」
「そういうなって。あ、なんなら俺の自慢のユニ、本物見せてやるからどうだ?」
すると部員連中の瞳が輝いた。
「まじ?まじで?本物!本物のユニフォーム!」
「おーよ、ブルロに出て来たクラブの、ガチのユニもあるぞ!着てきてやるよ」
「まじか!だったら参加する!」
「わたしも!」
次々に部員連中が挙手したので、柊は「な」とりおに笑顔を見せた。
それぞれが帰る方向に向かって別れることになり、部員連中とハイタッチしながら別れた。
「じゃーまた!明日か明後日!」
「またPINEで知らせて」
りおもバスで帰る事になり、柊はロータリーまで見送る事にした。
列に並んでそのままバスに乗り込むりおに、柊は紙袋を渡す。
「じゃーなりお。あとこれ」
「え?なに?」
「見てただろ。使えよ」
後ろから並ぶ客に押され、りおはそのままバスに乗っていく。
座る事ができたらしく、座席にちょこんを腰を下ろし、不思議そうに紙袋を抱えた。
中、見て、という風に柊がジェスチャーするとりおは袋のなかを見て驚き、首をぶんぶんと横に振る。
中にあるのは、りおが写真にとっていたカラーチェンジカップだ。
貰えない、ということだろう。
「いーから。じゃあな!」
気にするな、みたいに笑って手を振ると、りおはバスの中から目をうるませて、『ありがとう』とぱくぱくと言った。
互いに声は聞こえないけれど、柊も『いーって!』とサムズアップで応える。
りおを乗せたバスは発車して遠ざかり、柊もまた、伸びをした。
「さーて、俺も帰るか!」
明日からの連休、誰かはマックに来るだろうし、面倒だけど勉強でもするか。
そう思っていると、スマホが揺れた。
りおからのPINEで、『大変!』とあったので、何事かと焦ったのだが。
「……なんだよもお。脅かすなって」
用件は柊のキャップを被ったまま、バスに乗ってしまったことだった。
『ごめんね、気づかなくて』
『キャップずっとかぶったままで忘れてた』
『ヒイラギ君の大事なものなのに』
『それにカップありがとう!本当にいいのかな』
焦っているのか立て続けにメッセージと『どうしよう』と落ち込むスタンプを送って来るりおが愛しくて、柊はベンチに腰を下ろしてすぐに返信のメッセージを送り続けた。
『気にすんなって。明日か明後日、マックで会えるだろ』
『カップも使えよ!学校でも使えるし。一緒にまたスタバいこうぜ!』
『キャップは、かぶっとけ。ちょっとは威嚇になるかもよ?』
そう送ったら、りおから返信が来た。
『うん!お守りだね!じゃあちょっと借りておくね!絶対に返すから』
「おぉお」
柊は思わず口を手で覆った。
(俺のキャップが、お守りだって!)
ヘラヘラと思わず笑っていると、突然上から覗き込んできた。
「おいシュウ、お前さっきからなにニヤニヤしてんの。まじきめーんだけど」
「うえ?」
呆れた表情で柊を見下ろしていたのは、ショッピングモールに遊びに来ていた親友のヨータだった。
結局ヨータの兄の車で家まで送って貰い、柊は無事に家に着いた。
スマホにはりおの感謝メッセージと、早速家でカップを使っている報告があって、明日は無理だけど明後日みんなでマックで待ち合わせようという事になった。
他の部員らも、それでいいよね、という事になり、柊は早速、じゃあどのユニを着るべきかとクローゼットの扉を開き、吟味し始めたのだった。
「でさ、ヨータ。おい話聞けって。俺に一番似合うユニってどれと思う?」
真夜中のPINEで呼び出されたヨータは眠い目をこすりながら呆れた。
いつものように夜中の海外サッカーの試合を見た後、いきなり連絡してきたのでてっきりサッカーの話だと思ったのだが、実際は画面の向こうで親友の柊がベッド一面に大切なコレクションユニを広げて唸っていた。
『知らん。なんか赤い奴』
「赤ならどの赤だよ。俺的にはさ、さわやかさはやっぱ青とか水色とか、いっそ古参っぽく前の代表ユニなんかもありかなーって思うんだけどさ、もしくはどっか別の国の代表もいいよなー、イングランドとか」
『知らねーよ!もう全裸で行け!』
「捕まるじゃん。ヨータじゃあるまいし俺はさすがにできねーな」
『俺だって全裸にはならねーよ!このタコ!』
「そういやタコのチームってどっかあったっけ?」
もう駄目だコイツ、と思いながらヨータは強引に通話を切ったのだが、すぐさま柊はかけなおした。
「でさ、実はまだ種類があんだけどさ」
『うるせぇ―――――!!!!眠らせろ!もうシティで行け!』
「シティってユニシロでコラボしてたからかぶりそうなんだよなー」
もううるさいこいつ、と思いながらヨータは諦めてスマホをほったらかしにしてベッドに寝っ転がった。
