彼に恋する君に恋した、フェルメールブルーの絵の君へ

 12月25日 金曜日

 スマホを片手に、(シュウ)は部屋の窓を開けた。
 冬の夕暮れの風が頬をかすめ、冷たさに息を吐くと息は真っ白なもやに変わって消えた。

 『16才おめでとう』
 『柊、誕生日おめ!』

 次々に入って来る誕生日のお祝いメッセージに、(シュウ)は『ありがとう』のスタンプを返し続ける。
 でも―――――欲しい彼女からのお祝いは、当然、来ない。

 冬の冷たい風をうけながら画面をフリックすると、視界に入ったのはインスタのタイムライン。

 そこにはクリスマスの輝くイルミネーションの中、幸せそうに微笑む彼女と彼が嬉しそうに笑う姿があった。
 画面を閉じようとして、一瞬止まる。

 (シュウ)はタップして小さなハートを送る。
 これがいまできる、ギリギリの強がりだ。

 おめでとう、ともよかったな、とも今は文字で送れない。
 冷たい風の入る部屋で、ただ、今は、失った自分の恋を噛み締めることしかできなかった。