イケメンを観察していたら好きになってしまいました

 頭が混乱していた。
「俺の勘違い…?」
 勝手に美咲の為にと杉浦に近づいて、勝手に恋をして、勝手に振ってしまった。
 最悪じゃん…。
 

 杉浦観察ノートをパラパラめくる。
 最初は外見のことばかり書いていた。
 次第に杉浦を知るたびに、彼の内面に触れ、内面を好きになった。
 最後のページ。
『坂本が好き』
 杉浦の字。

 まだ、間に合うだろうか。
 俺はあいつの1番近くに…。これからもいていいのだろうか。

⭐︎

 次の日、俺は意を決した。
「長谷川、桜木!杉浦は?」
「さっき女子に呼ばれてたから告白じゃね?」 
「どっちいったかわかる?」
「右に出てったから校舎裏じゃね?」
「わかった!ありがとう」
 俺は走った。
 走る事は苦手だ。  
 すぐに息が上がる。腹が痛くなる。
 それでも、俺は走らなければならない。



「杉浦!」
 校舎裏、杉浦が1人。女の子の姿はない。
 告白は終わったのだろうか、また杉浦の心はすり減らされたのだろうか。
 俺はそのまま飛び込んだ。
 杉浦なら、受け止めてくれると思ったから。
「坂本?」
「杉浦、ごめん。辛い思いさせて、ごめん。俺、杉浦が好きだ。いっぱい傷つけてごめん。ごめん」
 きつくぎゅっと抱きしめた。
「お前をもう傷つけない。明日から女の子からの告白は俺が全部断ってやる。だから、ごめん。俺はお前の1番近くにいたい。俺をお前の1番にしてくれ」
 頼む、受け入れてくれ。
「坂本…。顔あげて」
 俺の頬を杉浦が優しく包む。
「……って。何で坂本が俺への告白断る役やろうとするかなぁ。全く…」
「知れば知るほど、どんどん好きになってくんだ。頑固なところも、たまにわがままなところも。嫌なところも全部大好きだ。お前に好きだと言われて嬉しかった。なのに…。この前あんな風に言って悪かった。お前には俺しかいない。俺の他なんていないから」
 どうしたら伝わるのだろう。
 伝わるまで、伝え続けてやる。
「……今までの告白で1番グッと来たんですけど…」
 杉浦は俺の額にそっとキスをした。
「俺の事、知ろうとしてくれて嬉しかった。俺は坂本が好きだよ。代わりなんていない」
 そう言って今度は唇にそっとキスをした。
 



【おしまい】