イケメンを観察していたら好きになってしまいました

 昔から、顔以外で判断されることがなかった。
 俺自身を見て欲しくて、自分を押さえつけて[いい人]になろうとした。 


 クラスメイトが自分の事を話している。いないところで。この光景も何だか疲れる。
「あー、俺も杉浦の顔面とりかえたらなー。もててぇ」
 まただ。どんなに[いい人]を積み重ねても結局は外見で評価はくだされる。
 
「顔変えたところで関係なくね?普通好きってさ、外見より中身で好きになるんじゃねーの?俺は断然中身重視だな」
 あれは…確か。坂本だっけ?
 
 女の子に好きだと言われても、俺を納得させる理由を言える子はいなかった。元々女子とはあまり話さないようにしていた。だから俺を知って告白してくる子なんていない。
 本気じゃないから、『好きです』と言った後の女の子達の晴れやかな表情がそれを物語る。悲しむものはほぼいなかった。告白はただのイベントのような。女の子の思い出作りに無理やり参加させられているような感覚だった。



 それから、坂本を目で追うようになった。
 坂本なら、俺をちゃんと見てくれるのだろうか。

 ある日坂本も見ていることに気づいた。
 やば、気づかれた。
 いつしか坂本に恋心を抱いていた。
 ずっと一方的に坂本を見ていた。
 視線が交わる日が来るなんて、思わなかった。

 見ている事が、坂本に不快感を与えるのではないかと。坂本を見るのを少し減らしてみた。
 違う。坂本の方から、俺を見ている。
 坂本が、俺を?
 本人はコソコソとしているようだが、分かりやすく視線が合う日々が続いた。

 坂本には想いを伝えるつもりなど、なかったのに。
 初恋は実らないと言うから、大事な思い出として胸に秘めておくつもりだった。
 卒業しても俺は坂本を思い出すんだろうな。
 そんな風に諦めていたのに。
 
 なのに。
 先に始めたのは坂本だ。
 困らせたくないから、好きだから、諦めようとしたのに。


⭐︎

「坂本の他に好きになれる奴なーかいねーよ」
 受け入れてくれたと思ったのに。
 拒絶されてしまった。