イケメンを観察していたら好きになってしまいました

 しばらく抱き合った後、俺はふと冷静になった。冷静になった途端恥ずかしさで逃げ出したくなった。
 俺、杉浦とキスした?
 いや、それ以前に、俺、杉浦を押し倒した?
 あわわわわわ…。俺、どうしちゃったんだろう。

 パニック状態の俺を杉浦が笑う。「かわいいな…坂本は」
 まただ。杉浦には一体、俺がどう見えてるんだろうか。

「あのノートある?」
 杉浦が口を開いた。「あるよ」
 俺は机の中からノートを出し、杉浦に渡す。
 パラパラめくり、「だからさ、坂本君。肝心な事が書いてないんだよ」
「何がダメなんだよ。もうノート一冊終わるくらい書いたのに…」
「わからない?」
「わかんねーよ」
「仕方ないなぁ」
 
 杉浦がノートにかく。

『坂本が好き』

「俺の観察してたんだよね。…俺の好きな人。坂本だから。気づかない?ずっとアピールしてたのに。俺、ずっと坂本の事が好きだ」
「え…」
 しまった。
 俺は猛烈に後悔した。
 杉浦のことが好きだと気づいて、美咲に嫉妬して。なんて事をしてしまったんだ…。
 美咲は杉浦の事が好きなのに。大事な妹なのに。
 好きになっては行けない人を好きになってしまった。 
 これは、叶えてはいけない恋だ。

「ごめん…。杉浦。お前にはもっと相応しい子がいる。俺じゃなくて…。だから、ごめん」
 
 杉浦の手を解き、淡々と伝えた。
 ごめん、杉浦。
 杉浦の顔が、見えない。
 ごめん、杉浦。
 本当は大好きだ。ごめん。好きになっちゃった…。