イケメンを観察していたら好きになってしまいました

 お家デートの日。
 俺は前日からそわそわしてなかなか寝付けなかった。
 部屋はいつもより念入りに片付けた。
 今日ここに。杉浦が来る。
 緊張感と胸の熱さで俺のテンションは朝からおかしかった。
「へー、ここが坂本の部屋か」
「汚ねーからあんま見るなよ」
「…坂本の匂いする」
「臭いか?」
「いや。落ち着く匂いだよ」
 コンコン。
 ノックの後美咲がお茶とお菓子をお盆に乗せてやってきた。
 助かった。
 俺、今めちゃくちゃドキドキしてる。
 美咲の登場で空気の流れが切り替わった気がした。
「妹の美咲です。同じ高校で1年です。…あの。杉浦先輩、いつも見てます。きゃー。かっこいー」
 心の声全開に俺以上に舞い上がっている美咲のおかげで、少し冷静になれた。
 そうだ、美咲は杉浦の事が好きなんだった。
 元はと言えば美咲の目を覚ますために杉浦に近づいた事を思い出す。俺は最低だ。杉浦はこんなにいいやつなのに。胸がえぐられそうだ。
「美咲ちゃんだね、ありがとう。よろしくね」
「きゃー、は、はい。いつもお兄がお世話になってます。あ、よかったら連絡先交換してもらえませんか⁉︎」
「いいよ」
 積極的な美咲の行動に、スマートに対応する杉浦をみていると、今度は泣きそうになった。「ごゆっくり〜」
 美咲が出た後も、俺の心にはモヤがかかっていた。
 昨日まであんなに楽しみにしていたのに。感情がジェットコースターのように激しく揺れる。
 「妹さん、可愛いな。少し坂本に似てる」
 チクリ。胸が痛い。
 俺は、美咲に嫉妬してるんだ。
 気づきたくなかった。
 最悪だ。
「坂本?」
「な、杉浦…。お家デートって何するんだ?教えてくれよ」
「坂本?どうした?」
「教えてくれるんだろ」
 俺は杉浦に覆い被さった。
 体格は杉浦の方がいいのに、容易に倒れた。
「うわあ、坂本。だいだん」
「おま、ふざけんな」
 パシ。
 手首を掴まれる。
「ふざけてないよ」
 杉浦の真剣な眼差し。
 そのまま引き寄せられ、俺達は唇を重ねた。
 唇が離れた後、杉浦は優しく俺に笑いかける。
 そのまま俺を抱きしめる。
「可愛すぎるんですけど…。坂本君?」
 俺はそのまま杉浦の胸に顔を埋めた。