夏休みにはロマンスのヒロイン?

 二週間の休みは、スマホを見つつ宿題しただけで、あっという間に終わっちまった。
 祭りも何も行かなかった。

 誠大(まさひろ)もポスター気にしてたけど、誰かと行ったりしたのかな?

 わからないとこ聞いてっていってくれたのに、後期のこと以外なんも連絡出来なかったし、向こうからもその返信以外なんも来なかった。
 もしかしたらって、ずっと待ってたんだけどなぁ……って、何をだよ!

 後期初日の授業が終わると、仲良くなった女子がいいだした。

「久々に会ったし、みんなでどっか寄ってかない?」

 他の子たちは乗り気らしいが、オレは誠大と約束がある。

「ゴメン、わたし、先約あるから」

 手を合わせて断ると、なぜかニヤニヤ笑われた。

「理(り)央(お)ちゃん、行きも帰りもいっつも彼氏と一緒だもんねぇ」
「彼氏? って誠大のこと⁉ 違う違う。同じ学校の友達だって」
「えー、本当にぃ?」
「本当だよ!」

 全力で否定すると、急に風向きが変わった。

「じゃあ今度紹介して」
「あ、ズルい、あたしも。カッコいいよね、あの人」
「いいよねぇ、メガネ男子」

 そっか、誠大モテるんだ。
 そりゃそうか。
 あの顔にあの身長で、頭も良くて優しいもんなぁ……。

 なんだろう、このモヤモヤした感じ。

「あーもう、理央ちゃん。冗談だから、そんな顔しないで」

 自分がどんな顔してたのかわかんねーけど、なぜか女子たちにめちゃくちゃ優しくされてしまった。

 頑張ってと謎のエールを贈られ、待ち合わせているロビーへ下りてくと、誠大はもう先にきている。
 でも、ひとりじゃない。
 知らない女子と、一冊のテキストを一緒に見ながら寄り添うように立っていた。
 長い黒髪がキレイな真面目めそうな感じの子で、優等生な誠大と並んですごく絵になっている。

 声をかけるべきか迷っていると、向こうもオレに気付いてくれた。
 すぐ彼女に何かいって、オレの方へ歩いてくる。

「ゴメン、待たせて」
「それはこっちの台詞だよ。ジャマしちゃった?」

 彼女の方をチラッと見ると、逃げるようにどこかへ行ってしまった。

「いや。わからないとこ聞かれただけだから」

 なんだよ、自分だって女子に勉強教えたりしてんじゃねーか!

 また胸がモヤモヤする。
 コイツが誰と何しようと、オレにはまったく関係ねーのに。