閉鎖生態系ver.2.0

 それから、秘密基地で映画を観たり、勉強したり、駄弁ったりすることが増えた。
 クラス発表の日、軽く絶望していた俺よ。何やかんや楽しいぞ。
 ここの学園長と繋がりがある祖母の顔を立てるため、高等部から入学したときも不安だった。
 だって、俺は外来種だから。
 中高一貫でない高校に行けるよう、父は祖母を説得したらしいが結局ダメで、泣きながら俺に謝ってくれた。
 父を心配させたくなかった。
 だから、孤立しないように、イジメられないように、部活も友達作りも頑張った。
 当初は、既に出来上がったグループに入れず苦労したが、変わったのは部活でレギュラーになってからだ。
 俺は「よく分からない余所者」から、「サッカー上手いけど嫌味のない奴」になり、「明るくて気さくな仲間」になった。
 そして今は「サッカー部のエースで、明るくて気さくで、誰にでも優しくて、妙に目立つミツの唯一の友人」だ。
 我ながら完璧な装備。
 俺の地位は、卒業するまで安泰であろう。
 学校生活を楽しげに話すと、両親は嬉しそうにする。
 それが俺の幸せ。
 皆の事を利用しているかもしれない、とたまに胸が痛くなる。

 でも、そういうものだろ?
 幸せを維持するために努力する。
 それの一体何が悪い。