閉鎖生態系ver.2.0

 このまま行かせたら、二度と戻らない。
 誰かの恋人になって、夫になって、父親になって。
 私の事など忘れていく。
 お願いだから行かないで。捨てないで。
 君が好きなんだ。
 慌てて言葉を飲み込む。
 口にしてどうする。
 気持ち悪がられて終わりだろ。
 では、親しい友人として彼の今後を見守り続けるか?
 ……想像しただけで吐き気がする。生き地獄だ。

 私の幸福と彼の幸福は、分かれた道の先にある。

 ああ、もう。これだから現実が嫌いなんだ。私の人生、本当に碌な事が起きない。この先もずっとこうなのか? 苦痛に耐えて誤魔化して、ただ生きるだけなのか? やってられない。私にだって一つくらい恵んでくれてもいいじゃないか。

 彼がソファから立ち上がろうとする。

 待ってくれ。
 どうすれば。
 どうすれば彼を――。

 スクリーンが目に映った。