何事も始めが肝心。
良いスタートを切るとリードすることができるし、メンタルも安定するし、良い事づくしなのだ。その後は紆余曲折あれど、これまた最後が上手くいけば、それで事足りる。だって、どうせ最初と最後しか碌に覚えていないのだから。その間にどんなに悪いことが起こったって、よく分かんないけど必要悪だったのだろうと流されてしまう。
今日からまた一週間が始まる。
ユウとの関係を清算して、最初の一週間の初日、月曜日。
だというのに、僕はベッドから起き上がる事ができなかった。
「ミツ。遅刻してしまうよ、ミツ」
制服に着替え肩から鞄を下げたハルが、ベッド脇に立って僕を見下ろしている。遅刻常習犯のハルがそう言っているという事は、きっともう遅刻しているのだろう。
「休む……」
僕はブランケットをぎゅっと掴んだ。
「体調が悪いわけではないのだろう?」
「怠い……」
「やっぱり、体調悪いんじゃないか」
「悪くない……」
「どっちなんだ」
ハルは腰に両手をつくと、呆れたように溜息をつく。
「ズル休みなら、もっと堂々としないと」
「……ズルじゃない」
「分かった、分かった。とりあえず、あいつには体調不良って言っておいてあげる。学校にも私から連絡しておくから。存分に感謝したまえ」
「ありがとう……」
「ただし、明日は絶対に学校に行くこと。いいね? 一度味を占めると、どんどん欲が出てしまうからね。愛する弟が引きこもりまっしぐらだなんて、堪えられないよ」
「……早く行きなよ」
僕はブランケットの下にもぞもぞと隠れた。
もう一度溜息が聞こえると、数秒後、扉の開閉音が鳴った。念のため更に数秒待つと、そろそろとブランケットから顔を出す。ハルは本当に学校に行ったようだ。ほう、と一息つくと、寝返りを打ち、ベッドの中央に移動する。
学校に行きたくない。
だから、ハルの言う通り、これはズル休みだ。ズル休みをしたのは生まれて初めてなので、罪悪感で胸が締め付けられる。どうしてハルは、何の躊躇いもなくこんな事ができるのだろう。改めて、兄の要領の良さを恨めしく思った。
……ユウは学校に来ているのかな。
もし来ているのなら、僕なんかと顔も合わせたくないだろう。だから、今日の僕の休みには正当かつ合理的な理由があるのだ。
白い天井をぼんやりと眺める。見えない重しが自分の上に乗っけられているかのように、全身が重くて動かない。
……単に僕が怖いだけだ。
何て弱くてどうしようもない生き物なのだろう。
これ以上考えると、もっと悲しい気分になってしまいそうで、一眠りすることにした。
明日はちゃんと行くから。
だから、今日だけは許してほしかった。
良いスタートを切るとリードすることができるし、メンタルも安定するし、良い事づくしなのだ。その後は紆余曲折あれど、これまた最後が上手くいけば、それで事足りる。だって、どうせ最初と最後しか碌に覚えていないのだから。その間にどんなに悪いことが起こったって、よく分かんないけど必要悪だったのだろうと流されてしまう。
今日からまた一週間が始まる。
ユウとの関係を清算して、最初の一週間の初日、月曜日。
だというのに、僕はベッドから起き上がる事ができなかった。
「ミツ。遅刻してしまうよ、ミツ」
制服に着替え肩から鞄を下げたハルが、ベッド脇に立って僕を見下ろしている。遅刻常習犯のハルがそう言っているという事は、きっともう遅刻しているのだろう。
「休む……」
僕はブランケットをぎゅっと掴んだ。
「体調が悪いわけではないのだろう?」
「怠い……」
「やっぱり、体調悪いんじゃないか」
「悪くない……」
「どっちなんだ」
ハルは腰に両手をつくと、呆れたように溜息をつく。
「ズル休みなら、もっと堂々としないと」
「……ズルじゃない」
「分かった、分かった。とりあえず、あいつには体調不良って言っておいてあげる。学校にも私から連絡しておくから。存分に感謝したまえ」
「ありがとう……」
「ただし、明日は絶対に学校に行くこと。いいね? 一度味を占めると、どんどん欲が出てしまうからね。愛する弟が引きこもりまっしぐらだなんて、堪えられないよ」
「……早く行きなよ」
僕はブランケットの下にもぞもぞと隠れた。
もう一度溜息が聞こえると、数秒後、扉の開閉音が鳴った。念のため更に数秒待つと、そろそろとブランケットから顔を出す。ハルは本当に学校に行ったようだ。ほう、と一息つくと、寝返りを打ち、ベッドの中央に移動する。
学校に行きたくない。
だから、ハルの言う通り、これはズル休みだ。ズル休みをしたのは生まれて初めてなので、罪悪感で胸が締め付けられる。どうしてハルは、何の躊躇いもなくこんな事ができるのだろう。改めて、兄の要領の良さを恨めしく思った。
……ユウは学校に来ているのかな。
もし来ているのなら、僕なんかと顔も合わせたくないだろう。だから、今日の僕の休みには正当かつ合理的な理由があるのだ。
白い天井をぼんやりと眺める。見えない重しが自分の上に乗っけられているかのように、全身が重くて動かない。
……単に僕が怖いだけだ。
何て弱くてどうしようもない生き物なのだろう。
これ以上考えると、もっと悲しい気分になってしまいそうで、一眠りすることにした。
明日はちゃんと行くから。
だから、今日だけは許してほしかった。
